公立高に全国初の「マンガ学科」誕生、東京の出版社が全面支援…学生寮や鉄道環境も整備へ
2023/01/21 20:32
(読売新聞)
公立高では全国初となる「マンガ学科」が今春、熊本県立高森高に誕生する。授業を全面支援する漫画出版社「コアミックス」(東京)が進出し、新学科の開設を実現した高森町の草村大成町長に期待と展望を聞いた。(聞き手・前田敏宏)
――マンガ学科がいよいよ始まる。
「漫画を義務教育、(公立の)高等教育できちんと学べるところはない。専門学校や大学にも学科はあるが、プロの漫画家、編集者がセットで教えるのは珍しい。学習環境の質の違いを示せるのではないか」
――全国では定員割れが続く高校も少なくない。
「自治体が進める学校の魅力向上策が本当に生徒側に立てているか。その視点が大切だ。マンガ学科には全国から志を持った生徒が集まり、地元の同世代にも良い影響が期待できるだろう。高校の魅力向上策として、後世に誇れる好事例になると思っている」
――町はどう支えるか。
「生徒が暮らしやすい町営の学生寮を整える。南阿蘇鉄道をJR肥後大津駅まで乗り入れられないか、JR九州と協議も進めている。駅から所要時間30分台で、乗り換えなしで高森まで通えるようにしたい」
――今後の展望は。
「日本で漫画の技術を学ぶことは、漫画家を志す世界中の若者にとって、野球でいう大リーグでプレーを磨くことと同義だ。漫画は世界に誇れる日本文化の一つで、人々をひきつける力がある。持続可能な文化にしていく必要がある」
「交流人口拡大につながるイベントも重要だが、次世代の人材育成が一番大事だ。マンガ学科では学ぶ時期としてベストなタイミングで、大人の情熱を打ち込む。高森で学び、東京、世界へ羽ばたいてほしい」
――マンガ学科を志す生徒へメッセージを。
「大自然の中の小さな町で、温かい町民性がある。町総出で迎え入れ、サポートする。プロを目指せる環境を約束したい」