「全数把握」見直し、高齢者・基礎疾患者に限定へ…水際対策は緩和
2022/08/24 09:10
政府は、新型コロナウイルス感染者の「全数把握」を見直し、把握の対象を重症化リスクが高い高齢者と基礎疾患を持つ人らに限定する方針を固めた。厚生労働省令の関連規定を改正する。また、近く水際対策を緩和し、入国・帰国時の陰性証明書提示を条件付きで不要とする方向だ。
感染者数が高止まりしているため、全数把握を早急に取りやめ、医療機関などの負担を軽減する必要があると判断した。省令改正は速やかに実施する。岸田首相と加藤厚生労働相らが24日にも協議し、発表する。
感染症法12条は新型コロナを診断した医師に対し、全患者の氏名と年齢、性別などを保健所を通じて都道府県に届け出るよう義務づけている。届け出は主に国のシステム「HER―SYS(ハーシス)」を使うが、入力作業が医療機関の負担となり、日本医師会などが見直しを要望している。保健所も事務処理の負担が重いとして、全国知事会などが見直しを求めている。
関係省令には届け出対象の例外規定がある。厚労省はこの規定を改正し、リスクの低い患者を例外に位置づけて対象外とする方向で調整している。
一方、重症化リスクが低い患者を含め、医療機関がコロナ患者だと診断した人数は引き続き保健所への報告を求める方向だ。個々の患者の詳しい情報の届け出は重症化リスクの高い人に限定する一方、都道府県の感染動向を把握するには、感染者数の集計は続ける必要があると判断した。
自治体指定の病院だけが患者の情報を届け出る「定点把握」の導入は引き続き検討する。高リスクの患者に対象を絞る手法との併用も視野に入れるが、指定病院の選定方法などについて専門家の意見を踏まえ、導入の可否や時期を探る。
水際対策では、現在は入国・帰国者全員に、滞在国からの出国前72時間以内の陰性証明書の提示を義務づけている。旅行者の負担が重いとの批判があり、ワクチン3回接種などを条件に、不要とする方向だ。1日当たり2万人としている入国者数の上限も引き上げる方針だ。5万人とする案が出ている。添乗員なしのパッケージツアーを認める案も浮上している。