これは図書館にはないです。他のピーター・リンチの著作では入っているものがありますが。
あ、そうそう、木曜・金曜とお勉強に行っていた同志社大学の今出川キャンパスですが、昼休みに大学内の書店をのぞいてみました。
まあ、それなりに大学らしい品揃えですが、経済のところに投資関連の書籍も少しありました。
株式投資の入門書もありましたが「ウォール街のランダム・ウォーカー」や「まぐれ」があったりするのは、そこそこのセンスが感じられました(って、上から目線かい)。
できれば「敗者のゲーム」や「投資の行動心理学」あたりもあるといいかな。国内の作家の人のものがなかったなー。橘玲とか山崎元さんなんかはあってもいいと思うのだけど。って、これはほとんど私の趣味ですけど。
あ、ピーター・リンチでしたね。
この「株で勝つ」は株式投資を始めた頃、しばらくしてから読み、なにか随分と励まされた記憶があります。多分、今読んでも、基本的には、納得しやすい、いい本だと思います。
ただ、ピーター・リンチの本によく出てくる「一般の個人投資家でもプロに打ち勝つような株式投資、銘柄選択は可能」みたいなことは、これは「両刃の剣」的だと思います。
率直に言ってそうかもしれないし、そうでないかもしれない。個人投資家の日常の生活感覚を活かした銘柄選択というのは、それを実際にうまく活用し続けるのは、相当に困難で「実力」が必要だろうと思います。
例えば、目の前のスーパーの小売店で大ヒットしている商品がある。あるいは、今はそこまででなくても、これはここからすごくはやるだろうと思えるものがある。
逆に、お店は閑古鳥状態でいつもガラガラ、かつてのにぎわいはどこへやらという店舗がある。
こういう、今、リアルタイムで、目の前で進行している状態、状況というのは、マーケットに織り込まれていない、株価に反映されていない場合というのがあります。
というのは、その目の前の状態は会社の売上なり利益なり、数字としてはまだ具体的に反映されたものは出てきていない可能性があるから。
だから、こうした状況をうまくとらえて、マーケットに先回りする売買ができれば、これは利益につながる可能性は十分にあるというわけです。
ところが、悲しいかな、一般の消費者、個人投資家は、この眼の前の状況をうまく正確にとらえることができません。
一つはいったい、それが会社全体の業績にどう影響するのかがつかめないということ。例えば、製薬会社の主力の薬品なんて、一つの製品で何百億の売上になったりすることはありますが、そのお菓子がよく売れているということは、確かによく売れていても、製菓会社の多くの製品の中の一つにすぎず、さして業績そのものには影響はないかもしれない。
その店舗ががらがらな状況というのは、単にその支店だけのことで、他の店ははやっていて、新規出店によって売上そのものは全体としては大きくのびているのかもしれない。
その目の前の状況を見て、それがどういうことなのかを適切に判断するには、やはり相応の判断力が必要です。
で、たとえ、その判断そのものは正しかったとしても、マーケットがいつそれを織り込んでくれるのかはわかりません。
ということで、このピーター・リンチさんの「個人投資家でも勝てるよ」コメントというのは、励まされはするし、そういう視点はあるし、実際、それで成功することはあるけれど、逆にうまくいかない場合だって十分にありえるという、「危うさ」が感じられます。