あの頃(苦悩)10

2020-05-26 07:40:12 | 日記
Aは、謎の金持ちイケメンKと付き合っていた。

最初の頃は、人目を忍んで、レッスン終了後に、こっそりと待ち合わせをして、Kに送って貰っていた。

もともと、Kは、それなりに忙しくて、なかなか会えない。…なので、レッスンで会うのが精一杯だったようだ。

付き合って一ヶ月もすると、レッスン終了後も送ってくれなくなった。

まぁ、それも仕方がない…と、それも我慢していた。

そんなある日、先輩の◯◯さんを乗せたKの車を見掛けてしまった。

我慢できなかったAは、Kに、◯◯さんの事を聞いた。

「あの日、なぜ◯◯さんを車に乗せてたの?」

「頼まれて送って行っただけだよ」

と、言っていたけど、◯◯さんは、自分の車があるし、運転してくれる人もいる。

『嘘』が見え見えの言い訳。

むしろ、『気づけよ❗』と言われた気がした…と。

そして、ある日のこと。。。
Aにとって、大切なオーディションがあるという日に、体調を崩してしまった。

どうしてもオーディションに行きたい❗這ってでも行きたい❗

そんな時、Kにお願いをした。

「お願い、車で送って欲しいの。」

「いいよ。」

意外にあっさりとOKの言葉。

『やっぱり、優しい…』

と、思ったそうな…。

あの頃(苦悩)9

2020-05-25 07:09:38 | 日記
団子屋でAが突然泣き出した。

しかも、エチュードの出演者、待ち人は、
仲間のKだと言う…。

「え?K…?」

そ…そうなんだ…、Kとお付き合いしてたってこと…なのか…。

突然の交際宣言に、これ以上聞くべきか、さらりと聞き流すべきか迷った…。

まるで芸能リポーターのように、そこら辺のところを聞いてもいいものなのか…?

『食い付くつとろはソコじゃない!』と言われそうだし…。

「待ち人は、先輩の◯◯さんかと思っちゃった…」

「待ち人は◯◯さんじゃないけど、◯◯さんも関係あるよ。」

…???

頭の中に『?』が踊った。

Aは、私にすすめたお茶を飲むと、ゆっくり話しはじめた。

あ、そうそう!事の真相に入る前に、突然浮上したKとは、どんな人なのか…。

確かに、Kは、仲間うちでも目立つ存在でした。

若いのに外車を乗り回し…高級ブランドに身を包み、裕福そうな出で立ちでした。

…かと言って、仕事は何なのか、誰も知らず…、近寄りがたく、仲間とつるむこともせず、『謎』そのもの。

どこかの社長なのか、ボンボンなのか…と、噂されてましたが、まぁまぁのイケメンで、モテるのは確かでした。

そんな彼とAが…。

まぁ、お似合い…といえばお似合い…。

どうして二人は付き合うようになったのか…までは聞けませんでしたが、Kは、Aの所属する事務所にいる人なので、あまり驚く展開ではありませんてした。

AはKと付き合うようになって数ヶ月…、ある日、Kの外車の助手席に先輩◯◯さんの姿を見た。

まぁ、何かしらの事情があって、乗せてあげているだけだろう…と、あまり心配していなかった。

何と言っても、◯◯さんは、Kより、ずっと年上だったし、◯◯さんはある程度世間に知られた人だし、Kと"何か"があるとは想像できなかった。

…でも、それは、Aの希望だっただけで、現実はそうでは無かったようだ…。



あの頃(苦悩)8

2020-05-24 08:45:48 | 日記
待ち人が来ず、泣き崩れる迫真の演技…、あれ、実話だから…。

Aの告白に焦った💦

しかも、泣き崩れたのは、先輩◯◯さんに対してのことでは無い…と。

第三者の存在…?

私には、あのエチュードで、そこまで見抜けなかったなぁ…。

これ以上聞けないし、聞いても気まずくなりそうなので、先に店を出よう…💦

残った団子を急いで頬張った。

…うっ…喉に詰まる…。

お茶を飲み干しても、団子が喉元で存在をアピールする💦💦

「よかったら…」

Aが、自分のお茶を差し出してくれた。

「ありがとう」

…Aから貰ったお茶を飲むと、団子が食道を通過した💦💦

「そんなに、急いで食べて…、急いで店を出ようとしなくても…聞きたくないよね。私の話しなんて…」

…見抜かれてた💦💦

あ、いやいや、聞きたくないワケじゃない。むしろ聞いてみたい。しかも、時間はたっぷりあるし…。

ただ、Aの心情としたら、いつも目障りな私なんかに弱味を見せるような事をしたくないんじゃないか…と、忖度したワケで…。

この後、どんな返事をしようか…頭の中をぐるぐると、言葉を探してさ迷っていた。

…すると、また、ポロポロ…と、Aが涙を流した。

…あ~💦💦これは、聞くべき状況だ💦

「私で良ければ……聞きたい…」

それを言うのが精一杯だった。

「待ち人は、◯◯さんじゃなくて、Kなの…。」

「え?K?」

「そう。仲間のK。」

いつも、一緒にレッスンを受けている仲間のKだと言う…。


あの頃(苦悩)7

2020-05-23 08:02:29 | 日記
Aのエチュード。

待ち人との決別を表すような演技で、最後に座り込んで泣く…。

見ていた仲間たちもため息が出た。

やっぱり、彼女は勢いがあるなぁ…。


翌日…。

通う道すがらの団子屋さんに寄って、草団子とお茶を頬張っていた。

「ここ、いい?」

Aがやってきた。

何だかんだ言って、この団子屋は、仲間内では私とAしか立ち寄らない。

今日は、他にもテーブルが空いているのに、直接私が座っている座席に来た。

「昨日のエチュード、良かったね。やっぱり、Aは、すごいね。」

「………。」

あれ?なんか、気にさわること言った?

Aは、しばらく無言でお茶を飲む。

「あれ、実話だから…」

「…え?」

「◯◯さんとの間に起きた実話だから…」

…そうだったんだ…。

なんだか鬼気迫る感じがしたんだよなぁ…。

あのエチュードを、実話として想像すると、Aは、◯◯さんと待ち合わせしていて、すっぽかされた…ワケだ。

だけど、◯◯さんとのエピソードで、あんなに泣く?

悔しかったのかな?

「あ、待ち人は◯◯さんじゃないから…」

…あ、心読まれてたかな?💦


え?それじゃ、誰と?

Aのエチュードには、◯◯さん以外にも、出演者がいたの?

…そこまでは、見抜けなかった💦💦

あの頃(苦悩)6

2020-05-22 06:40:03 | 日記
Aが得意のエチュードなのに、4日も休んだ。

エチュードのお題。。。

『待ち合わせの場所で、長い時間待つが、相手が来ない…。時計を見ながら帰ろうか、もう少し待とうか…と悩む…。…そして、この後は、帰るかとどまるかを自分で決める』

「はい❗」

少し間をおいて、Aが立ち上がった。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

待ち合わせの場所で待ってるA…。

椅子から少しだけ立ち上がると、ふっと笑うA…。…しかし、ため息をついて、椅子に座る。
(どうやら、何度も何度も、待ち人らしき人が見えて…人違いか…を繰り返したんだろう…と思わせる演技。…ため息も、何度目かのため息…という感じ。ため息をつくのにも疲れた…と感じ)

時計を見る…。見るでもなく見る…。
(待たされ過ぎて、時計を見るのもイヤになってしまったのかな?…という感じ)

『よし、もう、帰ろう‼️』…と、決心したような立ち上がり方…。あらためて、その日一番深いだろう…と思われる深い深いため息をついて、待ち人が来る方向に背を向けると、(決心したように)強く一歩踏み出し…。(よほど大切な人を待っていたんだろう…と思わせる決心と振り切り)…退場❗

…と思ったら、その時Aは、突然しゃがみこんだ。

…ん?まだ、エチュード続いてたんだ…。

Aは、ポロポロと涙を流す。

…よほど、大切な人を待ってたんだ…。まるで『別れ』を表すような演技。
    
    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ーーーぱん❗

「はい。」

先生が終了を表し手をたたいた。

仲間からため息💨

ちょっとした表現力で、彼女の周りの景色が見えてくる。そして、待ち人との関係性も見えてくる。

やっぱり上手い。

……だけど私は、最後の『待ち人が来なくて泣く』…というのは、Aの演技では無い部分だと思った。

きっと、ここ数日、何かあったに違いない…。