アコースティック・フォト(その2)

 さて、今日はAcoustic Photoの、お二人の先生のことから書きはじめてみたいと思います。
 アコースティック・フォトには二人の先生がいることを昨日書きましたが、そのうちのお一人はアコースティック・フォトの名付け親にして仕掛け人、富士フイルムイメージング株式会社プロフェッショナル事業部チーフの上野隆さんです。上野さんはアコースティック・フォトだけではなく、女性だけを対象にした写真教室Photodaysを企画した方でもあるようですし、フィルムで撮る写真に特化した季刊誌FILM&IMAGEも上野さんの発案のようです。

 もうお一人の先生は写真家の内田ユキオさん(blogはこちら)。ミュージシャンや街の写真を中心に、雑誌、コマーシャル、CDジャケットなどで活躍されている売れっ子です。失礼ながら私は今回の教室まで存知上げませんでしたが、実は内田さんの書かれた本を持っていたのです。「ライカとモノクロの日々」(エイ文庫、税込み630円)がその本ですが、面白そうだな、と思って買ってはいたのですが、実は読んでいませんでした。初日に本のタイトルをお聞きして、以前に買っていたことを思い出し慌てて読んだ次第です。モノクロームの写真と筆致から優しいお人柄が伝わってきます。

 さて、このお二人が講師を務めてくださったわけですが、お二人ともライカがお好きで、写真はフィルムで撮る、という強い信念をお持ちであることがヒシヒシと伝わってきました。

 考えてみればNikonがフィルム方式一眼レフ(とマニュアルレンズ)のラインナップを大幅縮小(詳細はこちら)、さらにはCanonもフィルム方式一眼レフの新規開発をしないことを発表したこともあり、風前の灯のカメラ。フィルムもアグファ、コニカ(間もなく)が撤退し、残った富士フイルムとコダックが値上げと、フィルムで撮る写真はますます肩身が狭くなってきています。だからこそ、フィルムで撮ることに拘りたいお二人なのでしょう。

 プロの写真家でも、仕事はデジタルだけれど、自分自身の楽しみのために撮るときにはフィルムを使うという人は少なくないようですね。確かに「撮る」という作業だけを考えても、フィルムの場合には多くの「儀式」が必要ですから手間がかかる。手間がかかるだけではなく、その一つひとつの手順を上手に出来るかどうかによって写真の出来具合が変わってきます。だからこそ手間をかけることに喜びを見出すことができるのでしょう。

 その意味では、フィルムを使うカメラと言っても、露出は言うに及ばずフォーカスもフィルムの巻き上げもオートのカメラでは、撮る喜び、楽しさは半減してしますかもしれませんね。そうは言っても露出計もついていないカメラでの撮影は難しい(郷秋<Gauche>はPENTAX SLという露出計なしのカメラを使っていた時期があります)ですからフィルムの巻上げとフォーカス(ピント合わせ)は手動、絞りは自分で決めてシャッタースピードはカメラ任せ、という辺りがほど良いところのような気がします。

 でも、新品で購入できるそんなカメラはほとんどなくなってしまいました。レンジファインダーでは昨日ご紹介したBESSA R2A(等倍ファインダー搭載のR3Aもあり)の他、ZEISS IKONも新品で購入が可能です(いずれも製造はコシナ)。

Nikonの一眼レフでは惜しまれながら今年1月に販売終了となったFM3A、2000年に販売終了となったF3あたりでしょか。FM3Aについては24日にも書きましたが、程度の良いものは新品価格よりも高くなってしまっていますし、売り物が非常に少なくなっている状況です。F3は名機中の名機ですが、新品のD50と同程度の価格から購入できますから、「買い」かもしれませんね。<明日に続く>


 今日の1枚は、郷秋<Gauche>が撮った「銀座」の2枚目。銀座は世界中の人と物が集まるインターナショナルな街。だからと言ってVUITTONやCHANELではいやらしいのでVWのニュービートルをモチーフにして、躍動的な街を表現するためにシャッタースピードを遅くして人を軽く流してみました。
 「サラリとしたオープニングに対して、計算し、創り込まれ絵がミスマッチな感じですね」とは内田ユキオさんの評。でも、裏を返せば、「しっかりとした技術に裏付けられた、言いたいことをちゃんと表現している写真」であることをお褒め頂いたと、私は思っているのですが・・・。
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