昨年今年

 昨年今年貫く棒の如きもの
 「昨年今年」と書いて「こぞことし」と読む。行く年も迎える新しい年も、何も変わることなくしっかりとした一本の筋(棒)によって貫かれている。高浜虚子の名句である。

 まさに、行く年も迎える新しい年も何も変わることは無い。子供期から青年期にかけては、やれ卒業だ入学だと数年おきに身のまわりの環境が大きく変わるイヴェントがあったけれど、それもはるか昔のこと。今となっては行く年と変わらぬ新しい年がやって来るばかりである。

 一年というと時の流れを、少しはゆっくりと噛み締めたいと思う歳になったけれど、現実は言えばますます慌しく時が過ぎ去っていくばかり。N響の、やたらとテンポの速い今年の第九を聞きながら、そんなに急いで時を追いやることも無いのに思う郷秋<Gauche>なのである。

 この一年、まったく得手勝手なことを書き連ねたこのページを度々お尋ねくださった皆さんに感謝を申し上げます。来年こそは、いま少しなりとも味わいのある文章と写真とでお尋ねくださった皆さんをお迎えしたいと思ってはおりますが、どうなりますことやら。

 新しい年が、皆さんと皆さんの愛する人たちの健康が守られ、幸と稔りの多いものとなりますようお祈り申し上げております。

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