ロシアとポーランドの微妙な関係

 タイトルだけは立派そうだが、恥ずかしながら実はほとんど何も知らないことを最初に白状しておく。

 カチンスキ大統領を乗せたポーランドの政府専用機がロシア西方の都市、スモレンスクの空港近くに墜落し、大統領をはじめ96名が死亡したのはご存知の通り。カチンスキ大統領は、第二次世界大戦中にポーランドの将校・兵士ら2万人以上がスモレンスク郊外で旧ソ連軍によって虐殺された「カチンの森」事件の追悼式に参列する予定であったのだが、この事故に際してのロシア政府・プーチン首相の対応は注目に値する。

 プーチン首相は10日夜に墜落現場を訪れ、ポーランドのトゥスク首相を出迎え共に献花。11日にもスモレンスクの空港でカチンスキ大統領の遺体を乗せた飛行機を見送っている。ロシア政府・プーチン首相は、この因縁の地で繰り返された悲劇が両国の間に新たな緊張を生まないよう細心の配慮をはらったのである。

 ポーランド政府高官が「プーチン氏自らがこれ程真摯に対応してくれるとは思わなかった」と発言するなど、ポーランド側に好感を与え、両国の歴史的対立が更に深まることを回避することが出来たと見られている。専門家の一部からは、今回の事故が両国が関係修復に歩み出すきっかけになるのではないかと指摘されるほどであるらしい。

 墜落の原因がポーランド政府専用機パイロットの操縦ミスの可能性が大きく指摘される中で、大国ロシアが隣接する小国の大統領の事故死に対しこれ程の配慮をする裏には、単に「人道的」では済まされない戦略が隠されているのかも知れないが、それにしても実に見事な、したたかな外交手腕であると郷秋<Gauche>は思ったぞ。日本では何かと評判のよろしくない旧ソ連、ロシアであるが、こと外交センス・手腕に関しては幾枚も上手のようである。

 最後になったが、カチンスキ大統領夫妻をはじめとする96人の死に謹んで哀悼すると共に、ご家族を亡くされた皆さん、そしてポーランドの多くの皆さんの悲しみが一日も早く癒されることをお祈りする。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、昨日に続いて箱根・宮ノ下の富士屋ホテルのメインダイニング「The Fujiya」。女性誌や旅行雑誌のグラビアで見るたびに思っていたのだが、実際に現場を見るとやはりテーブルは小さく隣なりとの間隔も狭い。まぁしかし、それがどれ程のマイナスポイントになるのかは、実際にそこで食事をしてみないことには知る由もないだろう。郷秋<Gauche>には生涯縁のないことか(^^;。
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