機能美

 合目的的かつ無駄を排除したものは美しい。例えばゼムクリップ。例えばスパナ。戦闘機は極言すれば人殺しの道具であるが同時に自分が生き残るための道具、自分が死なないため究極の道具であるからその形には一切の無駄が無い。だから美しい。F1や競技用自転車が美しいのも、誰よりも速く走ると云う目的のためだけに作られ、速く走るために必要なもの以外の一切を排除しているから美しいのである。


【昨日に続いてNikon F3Pだが、今日はモータードライブMD-4を装着した様子。レンズはオーナーの好みによりNikkorではなくCarl Zeiss  Planar T* 50mm F1.4が装着されている】

 ジョルジョット・ジウジアーロ(伊・1938-)がデザインしたフィルム式一眼レフの最高峰、Nikon(ニコン)F3は取り分け報道写真家、ニュースカメラマンにとっては限りなく合目的的であり一切の無駄がない。その中で施された格調高いデザインはさすがとしか云いようがない。

 このF3は戦場でも使われることも念頭に、反射光によって敵に発見されることを防ぐためにブラックのボディしかない(チタン外装のF3/Tのチタンカラーが市販モデルでは唯一の例外)。戦場で使われる機関銃と同様に合目的的かつ無駄が排除された、美しいF3なのである。

 趣味で使うカメラであるならば、F3程にストイックな合目的性は求められないから、レトロ調であったりカワイらしかったり色とりどりであったりと、デザイナーが活躍できる部分が多く残されている。しかし、それらはマーケティング戦略上の必要から求められたデザインであって機能的に必要な部分ではないから、写真を撮る道具としてのカメラの性能には影響しない。影響しないどころかデザインのために機能を犠牲にしていることも少なくないので要注意である。

 Website「恩田の森Now」
 7日に撮影した写真を掲載いたしております。今回は4点とも「散歩道」です。あなたが歩いてみたい道は見つかるでしょうか。なお今週末は、日曜日の撮影・掲載を予定しております。
http://blog.goo.ne.jp/ondanomori/

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