GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

粉もん文化,大阪のソース

2016-02-01 01:19:55 | FOOD&DRINK
大阪人は並ぶのが嫌い。
人気のラーメン店とかに長蛇の列なんてのは大阪では無縁だと思ってくれ。
いらちでせっかちな大阪人が、たかがラーメンごときを何時間も待って食うはずがない。それなら他の空いてるラーメン屋を探した方が早いもの。
旨くて安くて早い。これが大阪のスタンダードだから、東京のように行列を並ばせたいのなら、郊外でそこでしか買えないようなものを売るしかない。

とはいえ最近は、大阪でも並んでるのをちょくちょく見かけるようになった。阪急や阪神の地下のスィーツとかに並んでるなぁ。今は改装で無い阪神地下のイカ焼きも並んでたな。まぁあれは待ち時間知れてるからな。いくらせっかちな大阪人でも、30分くらいなら並んでも平気だよ。インディアンカレーとかね。
若い子は並びなれてるのか、暇なのか、時間の感覚が無いのか、結構並ぶのが苦じゃ無いみたいだね。USJとかで育ったからかね?エキスポや東条湖ランド、あやめ池遊園地、ポートピアランドで育った世代には理解できない。

さてそんな大阪で行列ができてるところがある。
お好み焼き屋だ。まぁ並んでるほとんどの人が地方人、外国人観光客なんだが、これがまた解せない。
いくら美味しいからといっても所詮粉物。秘伝のソースを使ってるとか、隠し味のだしが決め手!とかいう店ならわかるが、ゆかりや風月というチェーン店に並ぶ人たち。ガイドブックに紹介されてるのか?自分で焼かせてくれないお好み焼き屋(ゆかりは店によって焼かせてくれるとこあり)になぜ並ぶ。東通り商店街の老舗、三舟とかに並ぶのならまだわかるが、ここで並んでるのなんて見たことないな。並んでるのは開店前くらいだわ。
EST-1どんつきのねぎ焼きのやまもとにも並んでる人がいるが、その並ぶ時間があれば、十三の本店まで行って食って戻ってこれることにさえ気づいていない。

大阪は粉もん文化。
うどんはもちろん、パンもパスタもラーメンも好きだ。でも大阪で粉もんといえば、お好み焼き、焼きそば、やこ焼き。
共通するのは小麦粉と紅生姜とソース。他県では珍しいらしいが大阪で天ぷらの定番といえば紅生姜の天ぷら。それくらい紅生姜はマストアイテム。
小麦粉にこだわってる話なぞ聞かないな。タスマニア産でも国産でもなんでもいい。メリケン粉って言ってたくらいだからね。
ただしソースには各自こだわりがある。

大阪の家の冷蔵庫には最低5本のソースが入っている。ウスターソース、トンカツソース、お好みソース、やいそば用、たこ焼き用は定番。これ以外に新参者の中濃とかオイスターソース、チリソース、タバスコ、ケチャップ、マヨネーズ、ポン酢。大阪の家庭の冷蔵庫の戸棚はにぎやかだ。
一口にウスターソースと言っても、本格的なリー&ペリン社のウスターシャーソースを使う人は稀で、カゴメとオリバーとイカリがシェアを競う。



ちなみにオリバーはどろソースが有名だが、日本で最初にトンカツソースを売り出した会社だ。
トンカツソースやお好み、たこ焼き、焼きそばのソースラインナップは店によって品揃えが違う。場所や客層で売れ筋が変わるくらいバラバラのソース文化。
この3メーカーにブルドックソースが加わるのが定番で、さらに店によってはヘツメスソース(大阪)、三ツ矢(和歌山)ツバメ(京都)、おたふく(広島)などがある。もちろん各地の地ソースなんかもある。そしてさらに各メーカー、特選だの有機だのプレミアムだの贅沢だのってグレードを分けて畳み掛けるように攻めてくるから、選ぶのは至難の技だ。



トンカツにはトンカツソースが定番だが、中濃やウスターソースで食う人もいる。お好み焼きにはお好みソース?ポン酢派もトンカツソース+マヨネーズ派もいる。もちろん議論になりやすいアジフライや目玉焼き、コロッケなんかは醤油かソースか以前に、ソースなら何をかけるのかでもめる。
甘いのか甘辛いのか、スパイシーなのか辛いのか、シャバシャバなのかドロドロなのか、記事に染み込ませたいのかカリッとしたままコラボレーションを楽しんで食いたいのか。
大阪人のソース文化をもう一つ物語るのが串カツ。二度づけ禁止はもう日本全国定番になったが、店によってソースが違う。ウスター、トンカツ、濃口。業務用を混ぜ合わせて独自の味にしてるところもあれば、一斗缶からそのまま注いでるところもある。
全国区と思っていたが実は関西ローカルだったYKKやとん晴といったトンカツ屋のソースもたまに無性に食べたくなる。
市販の焼きそば、日清、マルちゃんの粉ソースに独自でウスターソースやトンカツソースをブレンドして家庭の味にする。お好みパーティやたこ焼きパーティーを普通に行う大阪。街を歩けばソースだらけ、家でもソース複数充実の大阪。お好み焼きも焼きそばもたこ焼きも、自分の家で自分の味と自分好みのソースで食うのが当たり前の大阪人が、寒い冬空の下や炎天下、並んでまで粉もんを食べるでしょうか?
並んでたら「こんなとこに並ぶとはイナカモン?」「他に店知らん馬鹿?」、さらには「暇やねんな。アホちゃうか?」と思われてますので気をつけてね。

ちなみに今日買った「めしばな刑事タチバナ」最新刊20巻はソースがメインテーマだった。
これ書いてたら、この本の内容がシンクロしてしまったよ。ソースたっぷりかかった焼きそばが食いたくなった。あったかなぁ?