GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

2015年最後のトラブル 北浜の王将での出来事

2016-01-01 03:52:20 | FOOD&DRINK
商売の街大阪。
そこに北浜って街がある。
豊臣秀吉が大坂城を建てて周辺を整備した時代から息づく街。
もともとは大坂で一番北になる浜だから北浜。

船での運搬や商取引がメインだったから、今の御堂筋や堺筋が整備されたりして、大阪城周辺は各武将、大名の屋敷が立ち並んだ。
江戸時代になって江戸が政治の中心になってからも、大坂(上方)は商売の中心だったから、各藩の出先機関として存在して商人たちと交易して発展させた。
中之島、淀屋橋、本町、土佐堀、そして北浜は今でも大阪有数のオフィス街だ。

したがって、仕事納めがされた三十日は、とたんに人も車もいなくなってしまう。
梅田や難波はまだ買い物客目当てで、開いてる店もあるが、北浜や淀屋橋はまるでゴーストタウン。
普段はランチでにぎわう店も、ビジネスマンが商談したり休憩したりするカフェも、サラリーマン達が1日の疲れをねぎらう居酒屋も全部閉まってる。
ワインバー、スペインバル、ラーメン屋、定食屋、割烹、焼き鳥屋閉まってる。
開いてるのはコンビニとチェーン店くらいなもんだ。

2時くらいに手が空いたから今のうちに昼飯にしようと思ったが、コンビニのイートインコーナーはいっぱい。
そうだ、王将なら開いてるんじゃないかな?
正解。開いてたよ。やはりチェーン店はこんなときありがたいね。
しかも店内の客は数人しかいない。かなり空いてるっていうよりガラガラ。LUCKY!

中国語訛りの店員(女の子)が「イラシャイマセ、オヒトリサマデスカ」って。
どう見ても一人だろ?後ろに背後霊でも見えてるのか?なんて野暮なことは言わずに頷く。
もちろん、誘導なんてしてくれない。勝手に座ってねって。
いいのよ、君たちに「接客はこうあるべきだ」なんて言っても無駄なのは知ってるから。
王将で中国人がバイトしてたって熱に今更驚かない。他の王将でも結構中国人バイト使ってるからね。
北浜周辺のコンビニや飲食店でも結構中国人留学生とかがいっぱい働いてるからもう慣れたよ。

確かこの店は喫煙区画と禁煙区画が分かれてたなって思い出し、店員に「どこが喫煙できる席だったっけ?」って聞いた。

「三時までは禁煙です。」

おいおい、それは通常の平日に適用してるルールやろ?
このガラガラの店内で何故三時まで禁煙。さすがチェーン店さっきは開いててありがたく思ったが。こういうマニュアル通りで融通きかないのは嫌だなぁ。

まぁいいや、天津飯を頼む。ビールも飲みたいところだがまだ仕事が残ってる。
普段なら「これ別の人の注文分と違う?」と勘違いするほど早く出てくるのに今日はやたらと遅い。
忘れられたのかしら?バイトの子が厨房にオーダー通し忘れた?

暇なので店内ウォッチング。
俺以外には男二人の客と、奥の方にもう一人男の客、旅行客のようなカップルが一組いるだけ。
店員はなんか喋ってる言葉から判断するに、一人のおばちゃんを除いてすべて中国人(留学生?)みたいだ。

それでもまだ来ない天津飯。
何でこの客数でこんなに遅いんだ?
まさか今、米を研いでるところ?って古典的ジョークを思いながら、メニュー表を手に取りじっくり見て時間をつぶす。
王将はチェーン店ごとに独自のセットがあったりするから、結構楽しい。
餃子とかチャーハン、ラーメンとか唐揚げを組み合わせた、なんとかセットってのが幾つかあって、メニュー見てたら余計に腹が減ってきたよ。俺の天津飯はまだか?

そうこうしてる時、奥の客がいきなり店員(男)に怒られてる。
「アナタ、禁煙ッテ言ったでしょ、ナゼ煙草スッテル。」
今にも青竜刀を振り回しそうな剣幕で怒鳴ってる。
この奥に座ってた男は店員の剣幕から察するに「禁煙」って言われてたのに煙草を吸ったってことか?灰皿もないはずなのにね。
男は店員に何か言い返してる。全くわからん。台湾語か中国語か?
しばらく言い合いしてたが、さらに奥から何人かの店員が出てきて口々になじってる。
ありゃま、出てきた店員のほとんどは中国語らしき言葉。
奥の男は出ていった。

って、ちょっと待て。
今奥からぞろぞろ出てきたお前ら。休憩中か?
まかない(昼飯)食ってたのか?それはいいが一体何人おんねん。
慌てて厨房見たらコック服の店員は一人しかいない。しかも学生バイトみたいなやつ。
俺の天津飯は一体どうなってしまったんだ?
作ったことなかったのか?

いくら客が少ないとはいえ、何人同時に休憩取ってるねん。役所かここは?

男と入れ替わりでおばちゃん二人組みが入店。
あらま一人は派手なメッシュ、一人はヤクザもびっくりなくらいのパンチパーマ。
しかも派手な服。
どう見ても在日韓国人。声の大きさ、喋ってるてる言葉からそう判断した。
俺の席から一つ開けて四人掛けの席に座った。と同時にいきなり片方のおばちゃんが言った。

「生ビール二つ」
豪気だねぇ。昼の2時におばちゃん二人組みで王将でビール。メニューも見ずにビール。
ただものじゃないね。

おばちゃんたちのビールが届くより前に、俺の天津飯がようやくきた。
さっさと食べて帰ろう。
一口食べて「?」えらい餡が濃いいぞ。まぁいいや。

届いた生ビールを半分くらい一気に飲んで、おばちゃんAが大声で店員を呼び寄せた。食い物を注文するんだろう。
そりゃ、ビールにはアテがいるだろう。
勝手に予想する。
餃子?いやいや焼き豚とか一品ものか?八宝菜とかチンジャオロースとか麻婆豆腐とかかもしれない。

おばちゃんA、店員に言った。
「キャベツ」

えっ?王将って焼肉屋とか串カツの店みたいにキャベツってメニューあったっけ?

ここからはダイジェストで。
店員「えっ?キャベツですか?」
おばちゃん客A「そう、キャベツ」
店員「キャベツというのはちょっと」
おばちゃん客A「なんで無いの。年末だから?」
おばちゃん客B「あれって夜だけのメニュー?だから昼は無いの?」
店員「はい。多分」

ちょっと待てお前ら。高校時代から長年王将は利用してるが、王将にキャベツというメニューは昼も夜も無いはずだ。聞いたことも無い。
俺はメニューを手に取り、見渡してみたがやっぱりキャベツという単品メニューは無い。
その間も不毛な会話は続いてる。

しつこく「キャベツ」と言い張るおばちゃん二人。前世は青虫か?
困った店員は古参のおばちゃん店員に聞きに行った。

おばちゃん同士のバトルが始まるんちゃう?って懸念したが意外とあっさり。
おばちゃん店員「キャベツの炒め物ならすぐできるよ」
おばちゃん客A「そう。それ。それ頼んでんの」
おばちゃん客B「やっぱりあったやん。なのに無いって。あかん子やなぁ」

おばちゃん、悪いけどキャベツだけではわからんって。
しかもキャベツ炒めってメニューも無いよ。キャベツと○○の炒め物(○○の部分はもやしとかレバーってのが入る)ならあるけどな。
おばちゃん店員、その後何も聞か無いでオーダー通してたけど、キャベツと何との炒め物だったんだろう?
まさか、裏メニュー?常連さんだけのキャベツだけの炒め物が存在するのか?
そんな融通がきくんなら、年末のこのガラガラの店内で「三時まで禁煙」って無いだろう?

なんか2015年最後の昼飯がこれかよってちょっと悲しくなった。
と思いきや、まだ続きがあった。
さっきの店員を呼び止めてる。なんか文句でもいうのかと思ったら
「ショコシュ」
店員またもわからず戸惑ってる。
「ショコシュ無いの?」

さっきと同じようなシチュエーションになったら、これ以上は面倒臭いので、横から声をかける。
「多分紹興酒だと思うよ」

おばちゃん客A,B「そう、ショコシュ」
そうか紹興酒はショウコウシュと読むんじゃなくて韓国ではショコシュって読むんだ。そんなワケないだろ。

もう今のうちに出よう。って伝票持って立ち上がろうとしたその時、おばちゃん客A,Bが言った。
「私ホットで」「あっ私も」

お湯割?それともお銚子や徳利みたいなものに移して熱燗?まさか瓶ごと湯煎したりするの?
まだまだ謎は尽きなかったが、これ以上は頭がグラグラするから、この先は聞きたくもないし知りたくもない。

そう、逃げた。
関係ないのに、敗北感を感じながらレジに行く。
俺より前にいた男二人組が先にレジで精算してた。
金額が結構高い。君たち昼間からよく飲んで食べてたのね。まぁ君たちは休日だろうから昼間から飲んでても誰も咎めないよ。イスラム教徒じゃない限りね。

なんて思って待ってると、割り勘にしたいからかなんかもめてる。
しかも財布を取り出すのが遅い上にモタモタしてる。さっさとどっちがが払って後で割り勘でもおごりでも決めてくれ。
イライラしてるこっちのことなんてお構い無しに、喋りながらモタモタ。

その時気付いた。
あれ?こいつらも中国語(台湾語か広東語か知らん)でしゃべってる。
ってことは、古参おばちゃん店員と俺以外は全て他のアジア人だったのか?

店の階段を上がり地上に出たところでタバコを吸おう。
くわえタバコで階段を上りつつzippoで火をつける。
あ~、うまい。

目の前をトランクケースを引きずった中国人家族と、お揃いのキャリーバックを転がしてる韓国人が通り過ぎて行った。
ここはどこだ?
大晦日の北浜はリドリースコットのブレードランナーの世界が味わえるぞ。