きょうもテレビで値上げのラッシュが押し寄せていると叫んでいた。
日本と欧米の金利差が円安を招いているという。きょうの日銀の会合で、日本の経済が、コロナ禍の影響を抜けていず、依然と脆弱であるから、金利があげられないと結論した。
アメリカの連邦準備理事会(FRB)はきのうの委員会で0.75%の利上げを決めた。物価高を止めるには、金利上げるしかないと言う。
私の定期預金の利子は年率0.04%である。
私は、なぜ物価高を抑えるに金利を上げなければならないのか、また、なぜ不況から脱出するためにゼロ金利にしなければならないのか、わからない。何か、本質を抑えていないのではないか、と私は感じる。
国の経済活動を管理するための学問がマクロ経済学である。私が大学生のとき教養学部で習ったのは線型経済学で、現在のマクロ経済学は確率論にもとづいている。しかし、現状は経済の何も制御できていない。
ガルブレイスの『ゆたかな社会 決定版』(岩波現代文庫)を取り出して再度読むと、1930年代の不況脱出に、金利政策も財政出動も効果をあげなかったとある。そのまま、世界大戦に突入し、1945年の世界大戦の終了とともに、景気はゆっくりと回復した。そして、1960年代の平和時のインフレーションに、景気を悪くすれば抑えられると、高金利政策をとったが効果は疑問であったとある。
考えてみると、おなじように、2008年のリーマン不況を抜け出るために、世界で低金利政策をとった。そして、負の金利など、これまでありえないような金融緩和政策をとっているなか、世界はコロナ禍に突入した。アメリカではコロナ禍があけるとインフレが始まった。
私の専門の物理学に「マクスウェルの悪魔」がある。この「悪魔」は「サタン」でなく、「デーモン」である。「デーモン」はいたずらっ子の魔物である。物理学の基本法則に、何もしなければ、高い温度のところから低い温度のところへ熱が流れ、同じ温度になるという法則がある。
気体状態は粒子(原子や分子)があらゆる方向に飛び交っている状態のことで、このとき、温度とは速度の2乗の平均となる。2つの部屋A、Bに同じ温度の気体を閉じ込め、その間のドアをデーモンが管理しているとする。デーモンは、速く飛んでいる粒子が来ればドアを開けてAの部屋に、遅い粒子はBの部屋にいれると、最初2つの部屋が同じ温度だったのに、Aの部屋がBの部屋より高くなる。基本法則と反対のことが生じる。
物理学は、たくさんの粒子から自然ができており、何か意思をもったデーモンがいないとするから、確率論で議論できる。
マクロ経済学が現実の経済活動に無力なのは、現実は、少数のプレーヤ(少数の政治家、少数のファンドのトップ、少数の資本家)の意思によって動かされているからである。少数の者の意思で世界が動くというのは、民主主義に反する。人間社会が少数の者の意思で動かないようにしないと、マクロ経済学は無力となる。不況やインフレは金利や財政出動だけでは解決つかない。
〔J.K.ガルブレイスの言葉〕
金融政策は、経済を操縦する道具としては、鈍い、頼りにならぬ、差別的な、幾分危険な手段である。
『ゆたかな社会 決定版』(岩波現代文庫)p.282より
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