きょう、内閣総理大臣、菅義偉が3度目の緊急事態宣言を決定し、記者会見をした。私はリアルタイムで、菅のスピーチを聞きたかったのだが、妻や息子は野球中継をみたがり、あとで、YouTubeで見ることになった。しかし、4回みても菅が何を言いたいのか、よくわからなかった。
若者に菅のメッセージが届いたのか心もとない。政府の方針は、菅が話す何日も前に、また、新型コロナ対策本部を開催する前に、マスコミに流されており、若者は今さら菅が何を言うのかという気持ちで、聞きもしなかったのではと私は思う。
菅のスピーチが心に響かないのは、「大都市の人流を抑え」「遊興施設」「行楽」という、耳ではわかりにくい言葉がでてくるのも一因だろう。菅のスピーチ原稿を書いた人のセンスを疑う。(なぜか、私は「人流」という言葉から「乾いた人糞」を連想してしまう。)
スピーチの構成は、固い選挙基盤の個人後援会向けのものであり、何を誰にお願いするのかが意識されていない。
今回の緊急事態宣言は、ゴールデンウイークで多くの会社や工場が休暇に入る期間に絞って、すなわち、経済界の反対が出ない期間、4月25日から5月11日に限って、人出を徹底的に抑制するという作戦と思われる。まず、本当に心から、この作戦の成功を祈る。
しかし、もったいぶった言い方ではなく、菅は、家から出ないでください、東京や大阪に来ないでください、遊びに地方に行かないでください、と率直に言った方がよかったと思う。小池百合子や吉村洋文の呼びかけの方が誠実さを感じる。
記者会見での菅義偉と尾身茂との間にはずれがあった。尾身は記者からの質問に答えて、緊急事態宣言解除の後に必ずリバウンドするから「重点措置」を十分にやってから解除すべきと言っている。菅は、ゴールデンウィークの機会を利用して、短期間に徹底的に「人流を抑える」が政府の作戦だと言っている。
尾身は「重点措置」が何であるかを説明しなかったが、今年3月の緊急事態解除のときに、つぎの発言をしている。
第1に、引き続き対策の中心となる飲食を通じた感染防止、
第2に、変異株に関する監視体制の強化、
第3に、感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査の実施、
第4に、安全・迅速なワクチン接種、
第5に、次の感染拡大に備えた医療体制の強化、
菅政権が、本当に、第2、第3、第5の措置を行ったのか、そのうえで、感染拡大が起きたのかが、今回の緊急事態宣言の記者会見では明らかでなかった。
また、今回の緊急事態宣言の対象から神奈川県、埼玉県、千葉県が抜け落ちているのも不可解である。これらの県は、東京への通勤圏である。
経済界の顔色をみながら「人流」を抑えるだけという菅の感染対策はうまくいくとは、私には思えない。
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