猫じじいのブログ

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気候変動の研究者、真鍋叔郎がノーベル物理学賞を受賞

2021-10-05 23:20:26 | 科学と技術

きょう、ノーベル物理学賞の発表があって、「日本出身で米国籍」の真鍋叔郎が受賞した。日本外の報道では、「Japan-born American(日本生まれのアメリカ人)」となっている。この報道の違いは、日本人とは何かという問題を、提起している。

私も4年間カナダの大学で働き、その後、外資系の企業に務めたので、日本人とは国籍(citizenship)のことで、国籍とはどこの国の政治に関与できるか、ということと思っている。日本に生まれ、日本に住んでいても、選挙で投票権を行使しない人は、日本人と言えないと考える。

きょうのNHKテレビに、90歳の真鍋が出てきて、とても うれしそうにしていた。気象の研究をしていた者がノーベル物理学賞をもらえると思っていなかったという。真鍋は地球温暖化のモデルを最初に提起したことに、賞を与えられたという。おめでとう。

この気候変動モデルというものはどういうものか、私は知らない。ノーベル賞受賞のとき、例年、ストックホルムで受賞者が講義することになっているので、それを私は楽しみにしている。

10年前、大学での「光学」の講義に温暖化の話を取り入れるために、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書を私は読んだが、各国の温暖化のシミュレーションの結果が一致しているから、温暖化は確実だとしか書いてなかった。気候変動モデルが、すべて、同じなら、そのモデルパラメータの違いとコンピュータの使用した計算時間しか違いがない。シミュレーション結果の一致が結論の正しさを証明しない。モデルに問題がないか、モデルパラメータが適切か、モデルの妥当性の実測による裏付けは何か、そこの議論を報告書に盛り込まない官僚って、権威に寄り掛かるだけのバカ者だと思った。IPCCは世界の科学技術の政府官僚によって構成されている。世界中の官僚がバカっていうわけだ。

大学の光学の「講義」では、分子レベルで赤外線の吸収という観点から温暖化ガスの説明をして、私はお茶を濁した。IPCCの報告書だけでは、温暖化を定量的に信じることを私はできない。

気候変動というのは、長期における温度変化の問題を扱っている。すなわち、熱の問題を扱っている。小学校のときにならったように、熱は、熱伝導、対流、輻射で伝わる。熱伝導は、原子や分子が衝突することで、対流は熱運動している原子や分子が運ばれることで、熱エネルギーが伝わることである。輻射は光や赤外線などの電磁波がエネルギーを運ぶことである。温暖化とは本質的には輻射の問題である。

真鍋の論文を読んだことがないが、想像するに、大気の垂直方向の温度変化を説明しようとしたのが、きっかけではないか。大気の温度は上空に行くほど温度がさがる。しかし、ずっと単調に温度が下がるのではなく、高度10kmで温度の低下が止まり、高度20kmで今度は温度が上がる。高度50kmでまた温度が下がる。この現象を説明するに、輻射のモデルを高度と気温の関係の説明にとりいれないといけない。

真鍋は、ここで温暖化ガスというものに出会ったのではないか。

ついで、地表からの赤外線で暖められた上空の大気が、地表の大気にどう影響するかの、すなわち、大気の対流を取り入れた研究に広がり、さらに、温暖化が地球上一様に進むのでないことを説明するのに、熱輻射を取り入れた大気の循環モデルに 海流の循環を取り込んだのだろう。

気候変動モデルは、気象モデルと異なり、時間のスケールが異なる。気象モデルでは対流(流体方程式)と水蒸気(降雨のモデル)が中心となる。IPCCの報告書では、水蒸気は人間が制御できないから、として除外しているが、気候変動モデルでも水蒸気の効果を取り上げないといけないはずである。時間のスケールの長い気候モデルでは、日々の気象の変化をランダム現象(フラクチュエーション)として平均化して扱っているのではないか。

いま、私は、ノーベル賞講義でモデルの具体的な話を聞きたくて、うずうずしている。

[補遺]

真鍋叔郎の受賞から半日たったが、プリンストン大学で行われた会見では米国籍に変更した理由について質問が飛び、その答えにネット上で話題になっているという。「私はまわりと協調して生きること(living harmoniously)ができない。それが日本に帰りたくない理由の一つです」と、最後に答えたという。アメリカでも、チームプレーがあるから、この「協調」とは「同調」のことで、周りの空気をうかがって自分の意見を率直に言わないことである。



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