猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

ギフテッド・チャイルド、笑わない女の子の場合

2022-04-16 23:40:10 | 愛すべき子どもたち

母親がマンガを描くのが趣味で、それに影響されてか、本人もアニメが大好きでイラストを描く女の子がいる。

その子が心から笑う姿を私は見たことがない。だから、いまでも私は気がかりである。現在、23歳ではと思う。

その子を知ったきっかけは、「私達は、人とつるむ事が好きです。一人でいることがとても寂しく感じます」ではじまる『半熟ゆでたまご』という作文が、NPOの回覧で回ってきたからである。この作文は、「いじめ」の本質は何かをいじめられる側から書いている。私には、中学1年生の書いたものとは到底思えなかった。

その子が中学2年の秋に、私に担当が回ってきた。渡された記録を見ると、小学校高学年でいじめを受けた。中学1年でもいじめを受け、幻聴がおきたが、幻聴はいまはおさまっている。いじめがまたはじまっているようなので、支援級と普通級のあいだを行き来しているとのこと。私は、型通りの学習指導に加え、パソコンの指導をはじめた。パソコン検定4級を受けさせたところ、難なく受かった。中学3年には3級をとった。

その子は、中学3年になると、普通級に戻れなくなっていた。高校進学になって、支援級の子は内申書に成績がつかず、普通の公立高校に行けないとは知らなかった。親はその子を特別支援学校に進学させた。今から考えると、その選択は誤りだったと私は思う。その子に別に知的に問題があるわけではなく、知的に問題がある子のなかに放り込まれたことによって、話しが通じる同世代の子がますますいなくなった。その上に、特別支援学校では、高卒の資格が取れないので、大学や専門学校に行く道が断たれる。その子は美大に行きたかったのだ。

母親は善意の人である。その子のためにいつも必死であった。娘を発達障害であると思ったようだ。障害児教育者の話を熱心に聞き、障害を受け入れないといけないと思いこんだ。そして、自分だけでなく、娘も受け入れないといけないと思った。ネットに発達障害のことをとりあげた漫画サイトを作った。自分の娘をアスペルガーと書きこんでいた。娘にも自分の障害を認め、障害者を差別しないよう強要した。

彼女が、高等部1年のとき、小説を書かせてみた。手順だけを教えて、後は、自由に書かせたのだが、とても生き生きとしたファンタジーの群像劇ができあがった。本人の希望でMOSのワードのスペシャリスト検定受け、無事パスした。また、中学3年に支援級で勉強できなかった英語がやりたいというので、教科書と問題集で教えたが、非常にセンスがよく、苦労もせず習得できていた。

本当の彼女の悩みは、知的な話が通じる同世代の友だちがいないことである。特別支援学校高等部を卒業して、障害者ばかりが集まる職場にはいって、いまだにうつ状態を繰り返している。彼女は運動神経が鈍いのである。手先が不器用なのである。単純な作業を早く行うことができないのである。

当時、私が経験がなく、進学でアドバイスできなかったが、現在では、支援級で成績がつかないとき、どうすれば良いか、わかっている。お金がある程度あれば、中学の成績にこだわらず受け入れる私立高校が横浜市にいくつもある。また、公立でも、以前の定時制高校が単位制高校になって、受けて入れてくれる。私がいるNPOから何人も単位制高校に通い、不登校などでの勉学の遅れを取り戻し、幸せな高校生活を送っている。また、大学に進学したいだけなら、高卒認定をとる手もある。

母親は熱心な善意の人である。母親から連絡があると、彼女が入選した展覧会をいつも見に行った。そのうち、彼女自身から連絡があるようになったのだ。その子の絵は色彩が素晴らしく、また、ユニークでダイナミックな構図を描ける。まさにギフテッドなのだ。

彼女は母親の勧めで3年前パラアートに応募し、大賞をとった。彼女はそれで自信をもった。しかし、私は逆に心配した。彼女の絵は、他の応募作品と異なり、明るい。パラアートの審査委員たちが本来の彼女のもつ明るさをパラアートにふさわしくないと考えたらという不安が私の心に横切った。

彼女は去年の暮れのパラアートで賞をとれなかった。ただ1つの誇りが崩れ、職場も休みがちになった。うつが重くなった。

ギフテッド・チルドレンについて つぎが 一般的にいわれている。

  • 理由に納得できないと指示に従うことができない
  • 感覚が非常に敏感である
  • 想像の世界に入り込んでしまう
  • 心が繊細で傷つきやすい
  • 完璧主義者である
  • 道徳に対して敏感である
  • 年齢とそぐわないほどの知識や判断力がある
  • 同年代の友達と話が合わない、孤独感を抱えている


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