ここ数年、頭が痛い日々がつづく。眠りが浅いのだと思う。
数日前、夢を見た。というより、見た夢を起きても覚えていたのである。その日は起きても頭が痛くなかった。
夢は、何か大きくて重いものを母に買って、たぶん電化製品だと思うが、奮発してタクシーで母の家に向かったところから始まる。最近、母は郊外に引っ越したのだという。母の家は、郊外の太い道路の脇にあった。まだ まわりには家がそんなに建ってなく、明るい陽射しのもとに、原っぱが広がっていた。
母の家には三つ子の幼い女の子がいた。眼は、大きいのだが、野球帽を横から見たように、眼の下が平らで上が膨らんでいた。鼻は、小さいが、いわゆる「獅子鼻」で小鼻が膨らんでいた。
母にどうやって帰れば良いかと尋ねると、太い道路をずっと歩いていけば、街並みがにぎやかになり、鉄道にのって帰ることができるよ、と教えられた。教えられたとおりに、明るい陽射しの中を歩いていると、急に にぎやかな街並みが見えてきた。
夢はそこで覚めた。それだけで、なにも起こらなかった。しかし、何か平和で幸せだった。
不思議なことに、夢で母の声は聴いていたのだが、顔を見たのか定かでない。夢の中の母の顔を覚えていない。いま、私のそばにあるのは、私の妻が母の葬式でもらった写真で、笑っているが年老いて死ぬちょっと前の写真である。私の子ども時代の母の顔が、もはや、思い出せないのである。母の記憶が薄れている自分に気づいた。
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