yyyy/mm : 2006/03
notes : 「枝垂れ桜」は英語では? 和英辞典に droopong cherry (tree)。「枝垂れ」にはもうひとつあって、柳。こちらは weeping willow。昨日、近くの公園で。快晴。(cf. BBS)
【memo】now streaming:Musica Antiqua Koln - QUENTIN - Concerto op. 12 no. 1*
http://65.19.173.132:4086
2006-0327yms010
誘われて遠くへ行くなどしないわよ
嵐が紅葉を散らしてみても 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=「また、その人の」、と詞書。嵐が紅葉の葉を誘って散らしても、私は木に付いている方がいいわ。第八歌からここまでの間に、決心が固まった。(なおBBS紫も併照)
¶木のした(このした)=新潮版は「親の許」だが、「都」としても素直に
読める。
¶行く心かは=「行きたいかですって? いえ、いえ、とんでもない」。
□紫10:もみぢばを さそふあらしは はやけれど
このしたならで ゆくこころかは
□悠010:さそわれて とおくへいくなど しないわよ
あらしがもみじを ちらしてみても
*now streaming:BOULOGNE, Chevalier de Saint George - Nishizaki, violin - Violin Concerto in G, Op 8*
http://65.19.173.132:4086
2006-0325yts
幸福と長寿の草の葉も花も
伸び広がりて弥生去ぬらん 悠山人
○短歌写真、詠む。
○福寿草の花期は1~4月(関東地方)。わが家では二月中浣から、地植えもの満開中。写真は昨日、十数花のひとつ。
□かうふくと ちゃうじゅのくさの はもはなも
のびひろがりて やよひいぬらん
*now streaming:BACH - Savall and Koopman - Sonata III (g moll) BWV 1029*
http://65.19.173.132:4086
2006-0324yms009
山里に嵐が吹けば危ないな
紅葉と一緒に飛ばされるのよ 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=いつもは静かな山里でも、嵐となれば紅葉どころではないわ。紅い葉っぱもあなたの涙も、そのままってわけにはいかないのかもね。(やっぱり都落ちしか、選択肢はないのかなあ・・・) 前の「返し」。藤式部(とうしきぶ。のちに紫式部)は、一所懸命に親身な手紙を送る。(詠人についての諸説はBBS紫)
¶もみぢ葉(ば)=現代人でもふつうは、「紅葉。もみじ。楓。かえで。~
の木。~の葉」を区別しない。当時、「もみじの葉っぱ」を意味させると
きは、この表記がふつうだったらしい。
¶つゆもとまらむこと(露も留まらむ事)=「露さえも溜まらない、というこ
と」「少しも留(とど)まらない、という可能性」、を掛ける。
¶かたさ(難さ)=難しさ。
□紫009:あらしふく とほやまざとの もみぢばは
つゆもとまらむ ことのかたさよ
□悠009:やまざとに あらしがふけば あぶないな
もみじといっしょに とばされるのよ
*now streaming:William Byrd- Davitt Moroney - ... The galliarde, BK2b (harpsichord HB)-CD6*
http://220.95.210.103:8000
2006-0323yts
わが胸の燃ゆる思ひにくらぶれば
煙はうすし桜島山 国臣
○短歌写真、詠む。
○平野国臣は幕末の人。恋歌に通用するから、いまだに広く流布。資料ごとに用字が異なり、原本未確認。自席からの写真に、桜島山(借用)をコラージュした。
□わがむねの もゆるおもひに くらぶれば
けむりはうすし さくらじまやま
*now streaming:gilberto santa rosa - mana y teoria*
http://205.188.215.231:8010
2006-0322yms008
山奥の紅葉に染まったこの服は
遠地行きかの涙なのよね 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=詞書に、遠くへ行こうか、行かないでいようか、と「思ひわづらふ人」が、山里からもみじの枝を添えて寄越した歌、とある。露の乾かないような山奥で、真っ赤な紅葉を見ながら考えたのよ。都落ち赴任に付いて行くべきか、行かざるべきか、とても迷っているの。紅くなってしまった、この服を見せてあげたいわ。ところで作者、赴任者に各説がある。新潮版は赴任者を、夫(国司)とだけ記す。私は、式部の女友だちとその父、に傾く。
¶おく山里の=露を置く、奥山の里、が互いに掛かる。
¶かよへる(通へる)=似ている、通じる。「かよへる袖の色」で、「もみ
じの紅に似た衣服の色」。服が紅葉を映す、涙で服が紅くなる、が掛
詞。「悲しみ・悩み苦しみの涙」は「紅涙」(私の新古今集で既出)。
□紫008:きりふかく おくやまざとの もみぢばに
かよへるそでの いろをみせばや
□悠008:やまおくの もみじにそまった このふくは
えんちゆきかの なみだなのよね
*now streaming:Heinrich Schiff - Suite 3 BWV 1009 in C - IV Sar-JS Bach: Cello Suites 1-3*
http://220.95.210.103:8000
title : A fictious view of Mt.Fuji rouge
yyyy/mm : on the net
notes : コラージュ作品。昨夜の富士山は、神神しいまでに美しい残照だった。今朝もこちら太平洋側は晴れ、わが家からも、静かな雪衣富士が見られそう。fictious scenery made by myself. A mysteriously beautiful morning will soon come up, with Mt. Fuji in red robe.
【memo】now streaming:Albinoni - Concerto No.05 in C Op.9 Mvt.2 Adagio-Academy of Ancient Music-Hogwood*
http://220.95.210.103:8000
【memo+】☆BBS紫(see bookmark)、試用中。☆
2006-0319yms006
仲よしのあなたは筑紫へ行っちゃうの?
月を見るたび泣けてくるわね 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=お父さま、九州へ赴任ですって? そうと聞いてからは、月を見るたびに涙が出てしょうがないのよ。詞書に「筑紫へ行く人のむすめの」。筑前・筑後を合わせて筑紫(福岡県)。西海道なので「西の海」とも。防人の府としての大宰府(ださいふ。[のちに]だざいふ。現在の太宰府市。用字に注意)も指す。また漠然と九州全体を指すこともある。親友との別離を、月(友だち)が西へ没する(筑紫へ行く)、と掛けた。詞書がなければ、そのまま恋歌である。
¶泣かるる=(抑えても)泣いてしまう。泣けてしまう。泣けてくる。
○補説=四番、五番歌で「男女」はないと書いたが、平王ク(平安王朝クラブ。初回にURL紹介)の説では、その可能性を認め、関連して六番、七番でも筑紫と合わせて諸説を詳しく展開している。
□紫006:にしのうみを おもひやりつつ つきみれば
ただになかるる ころにもあるかな
□悠006:なかよしの あなたはつくしへ いっちゃうの?
つきをみるたび なけてくるわね
*now streaming(when writing):Ferdinand Ries / Mendelssohn T - Piano Trio Op. 143 In C Minor*
http://radioio.sc.llnwd.net:8170/
*now streaming(just before uploading commented in Czech?!?!):Smetana - Certova stena Komentar P3-Certova stena*
http://220.95.210.103:8000