Feelin' Groovy 11

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どこであれ,それが見つかりそうな場所で

2005-11-06 | 村上春樹
  「このあたりで捜しものをしているんだよ」
  「どんなものを?」
  「わからない」と私は正直に言った。
  「たぶんドアみたいなものだと思うけど」

  「でも一目見れば、その場でぱっとわかるはずなんだ。
   ああ、そうだ、これが捜していたものだって。
   たとえそれが雨傘であるにせよ、ドアであるにせよ、
   ドーナッツであるにせよ」
  「ふうん」と女の子は言った。
  「おじさんはそれを長いあいだ捜しているの?」
  「ずいぶん長く。君が生まれる前からずっと」

  (『東京奇譚集』新潮社より
   「どこであれそれが見つかりそうな場所で」村上春樹著)


この感覚よく分かります。
生まれてからずっと、捜し続けているんだけれど、
そしてこれからも捜し続けていくんだけれど、
それが何なのか自分で分かっていません。
「これか」と聞かれたら
「それではありません」とはっきり分かるのに。


奇妙な夢②・③
奇妙な夢④

  求道すでに道である。
 (『農民芸術概論要綱』の序論 宮沢賢治著)
  

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