台湾ワン!(Taiwan One!)

台湾にまつわる様々な話、中国語教室の出来事、日々の生活...

2013年04月20日 | おすすめの本
路(ルウ)

日本人の友人に紹介されて知ったこの本。日本人が書いた台湾を題材にした小説というもの珍しさもあって、興味深く読ませていただいた。

日本の新幹線が台湾で根を張って育っていったドキュメンタリーの部分と、登場人物の日本人・台湾人が織り成す人間模様のフィクションで構成された。

日本では当たり前のことが「海外」という壁にぶつかったとき、いかに現地事情に合わせて乗り越えていくか。台湾新幹線の開通をきっかけに、戦後日本に引き揚げた日本人が数十年ぶりに台湾の地を踏み当時の台湾友人と再会する...。

台湾にしばらく住んでいないと絶対描けない感覚的な部分はよく捉えている。きっと小説を書くためにしばらく台湾で生活したんだろうな。台湾人での私でも「よくぞそこまで観察してる」と納得してしまう。おかげで、あのムワ~としたじとじとの空気が懐かしく思えた。もちろん実際いたらやっぱり嫌だけど...。
..................................................................
【amazonより】
1999年、台湾に日本の新幹線が走ることになり、入社4年目の商社員、多田春香は現地への出向が決まった。春香には忘れられない思い出があった。台湾を旅した学生時代、よく知らないまま一日を一緒に過ごした青年がいた。連絡先をなくし、それ以後ずっと会えないままだった……。台湾と日本の仕事のやり方の違いに翻弄される日本人商社員、車輛工場の建設をグアバ畑の中から眺めていた台湾人学生、台湾で生まれ育ち終戦後に日本に帰ってきた日本人老人、そして日本に留学し建築士として日本で働く台湾人青年。

それぞれをめぐる深いドラマがあり、それらが台湾新幹線の着工から開業までの大きなプロジェクトに絡んでいきます。政治では問題を抱えていても、日本と台湾の間にしっかりと育まれた個人の絆を、台湾の風土とともに色鮮やかに描く『路(ルビ:ルウ)』。大きな感動を呼ぶ、吉田修一さんの渾身の力作です。

ホテルの前でエリックからメモを渡された。彼の電話番号だった。「国番号も書いてあるから」とエリックは言った。すぐに春香も自分の電話番号を渡そうと思った。しかしエリックが、「電話、待ってる」と言う。「電話を待っている」と言われたはずなのに、春香の耳には「信じてる」と聞こえた。春香は自分の番号を渡さなかった。信じている、あなたを、運命を、思いを、力を―。商社員、湾生の老人、建築家、車輛工場員…台湾新幹線をめぐる日台の人々のあたたかな絆を描いた渾身の感動長篇。

吉田/修一
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。97年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。02年『パレード』で第15回山本周五郎賞、「パーク・ライフ」で第127回芥川賞を受賞、07年『悪人』で第61回毎日出版文化賞、第34回大佛次郎賞、10年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


単行本: 447ページ
出版社: 文藝春秋 (2012/11/21)
言語 日本語
ISBN-10: 4163817905
ISBN-13: 978-4163817903
発売日: 2012/11/21
商品の寸法: 20.2 x 14.2 x 3.6 cm
おすすめ度: 5つ星のうち 4.2



路(ルウ)


台湾華語・台湾中国語は任せて!台湾人による中国語教室・翻訳・通訳サービス T-Chinese
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする