早期リタイア&移住生活

早期退職し信州へ移住しました。呑んで、走って、耕して、作って、野鳥を眺めて、自然を楽しむ日常を綴ります。

ワイン産地と年間降水量・気温の関係

2018-07-17 | 食・ワイン
 先般の豪雨では数日で1000ミリ近くも降った地域がありました。7月の1ヶ月で降る雨の1.5倍とか言われて、相当の豪雨あることは認識できるのですが、普段の雨ではそれが何ミリぐらいなのか気にしていません。雪と違って流れていくからかな、とも思います。また、土地の広さを東京ドームの何個分とか言われてもピンとこないのと同じで、降っていない時に150ミリの雨というのがピンとこないのかもしれません。
 群馬と長野の県境の峠は雨量が150ミリを超えると通行止めになります、と書かれていますので、大体150ミリくらいになると坂道での車の運転に支障があるくらい降っている雨なのでしょう。それが一気に1000ミリとは、やはりただ事ではなかったということです。

 数日で1000ミリと書いた後だと少なそうに見えますが、日本の年間降水量の平均は1700ミリを超えています。インドネシア、フィリピンには及びませんが、タイを上回る降水量で、平均する意味はないですが世界平均の880ミリの二倍くらいあります。日本の最上位は高知県の3600ミリ、最下位(という言い方が正しいかは?)が長野の900ミリ、その上が岡山、山梨となります。実は、日照時間が長く降水量が少ないことが果樹の適地要件です。そういえば、岡山も山梨も果樹の産地ですね。

 一方日照時間の長い地域は?と言えば、実は上位は高知県が並んでいました。降水量の少ない県では上位に山梨県の市町村が入っています。山梨が昔からブドウの産地であり、ワイン産業も進んでいることがうなずけます。もちろん、気温の日格差も重要で、夜間の気温が低いと呼吸による養分の消耗が少なく多くの養分が蓄積されるのだそうです。
 日格差という点ではもう一つ。通常日中の最高気温は午後2時くらいなのですが、西側に向いた斜面だと日中の最高気温が午後4時くらいになることがあるのだそうです。日が暮れるまで太陽が降り注いで日照時間が長いのはいいけれど、気温が下がり切らないというデメリットも考慮する必要があるということですね。他の農作物でも半日陽があたるのならば午前中に当たる場所に植えた方がいい、と言われますが、これは気温の問題ではなく野菜の光合成が午前中気温が上がるのにつれてより盛んになるからだそうです。

 ちなみに、世界のワイン産地の年間降水量は500~800mm。ボルドーでは約830mm、ブルゴーニュは680mmくらいです。長野の900ミリっていいとこ行ってるな、と思うのですが、実はちょっとからくりがあります。単純に年間降水量で比べるのは間違いで、ブドウの生育期間の降水量が問題となります。日本は梅雨から台風のシーズン、つまりブドウの生育期間の雨が多く、冬は乾燥する気候です。フランスの銘醸地は夏はほとんど雨が降りません。肌がぱさぱさになるくらいカラッとしている一方、日本ではブドウが育つ間、蒸し暑さは最高潮に達しているという状況です。
 そんな気候でも日本人は色々工夫してブドウの生育に最適ではない環境でも美味しいブドウをつくり、そして日本人らしい繊細で高品質なワインをつくるんですね。本当に日本人ってなんて努力家で真面目な人種なんだろう、と日本に生まれたことを誇りに思います。
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最後になりましたが、今回の豪雨で被害に遭われた方々へ心からお見舞い申し上げます。