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ふと自分が初めて行った外国のことを考えた。
比較的遅い年齢で初海外を体験することになった。
本来は、フランスへ行きたかった。その準備をしていて、思ったのだ。
でもそこは、フランス語。
全くできない。
日本人はつねに第1外国語は英語になる。
私は大学で何故かドイツ語を専攻した、なんでそうなったんだか、記憶はないが、かつて音楽を習っていて、音階をドイツ語で教えていた。
まだ親しみがあるかもしれないと思ったんだったんだろうかと思う。
でもすぐに後悔して、あの頃からつねに本棚にはフランス語の辞典があった(使っているかどうか別として)。
そういう経緯があって、とにかく最初なら英語圏に行かなくてはいけないと思った(ただの思い込みね)。
オーストラリア、英国という選択はなかった。
米国内で場所を探してそのときのツアーの値段などを考慮した結果が
ラスベガス
だったと思う。
ただここって人工的に作られた、観光客のための街だった。
とにかく、日本じゃない所、この当時すでに日本料理店があり、その前に店員が客の呼び込みで立っているから、日本語できるかと聞いても、恐らく違う国のアジア人なのだろう。
日本語通じない。
私が英語に問題があり過ぎる。当然相手が誰でも英語だけだと話が通じない。
日本人はそうでなくても、外国人に話しかけることが怖い。
その中で無口にやっていくことになって、最初から物凄いカルチャーコンプレックスというか、とにかく日本人と違うテンションに当てられ、日本人のように外国人に優しい風もなにも感ぜず途方に暮れたような初日から始まっている。
不思議なことに、外国(のちに行ったフランスでも、ドバイでも)観光旅行社から支社として紹介されたようなところでも、対応が冷たい。
普通に答えてはくれるんだけど、それ以上のフォローがない。
凄く心細いのに、放り出された気分になる(私が必要以上に神経が細いというのもある)。
日本人が駐在していても、自然にその国のやり方に染まる。
あとになれば、毎日旅行者と接しているのもあって、その無知ぶりに驚いて相手にしていられないんだろうと思う。
しかし冷たい。
それでも無事帰国するには、とにかく自分で立ち向かうしかなかった。
そうだったと思う。
ラスベガスは各ホテルの前で無料のショーがそれぞれの決まった時間に始まる。
それだけを見て歩くだけで十分だった。
規模も何もかも違う。
この国の大きさにただ当てられた。
些細な冷たさは忘れるほど大きな体験だった。
そのあと、違う国にも迎える強さ、行ける所は行きたいと思わせる気持ちにしてくれた。
世界は広い、見られるなら見た方がいい。そう思うには十分な国だった。
下町にも見世物があって、そちらに移動したが、その間にこの国の現実があった。
観光客が通らない裏路地に行けば、ホームレスがたくさんいる。
その風景は荒廃した印象を与えた。
その国の本来の姿だった。
それを見たこともまた大きな収穫だった。
初めて行く外国で行きかえりの送迎、ホテルだけ決める。もしかして下町の催しの見学ツアーはオプションか何かで申し込んでいたのかもしれない。
たまたまあるホテルのブッフェが有名でそこへ行きたかったんだけど、言葉ができないというだけで、ホテルまでたどり着いて挫折した。
帰りはシャトルバスで帰った。
同国の人々と一緒になり、そのテンションの高さの中でやっぱりノレなくて、怯えさえ感じた。
今となってはいい思い出でしかない。
あのテンションが、あの国なのだ。
そして私は、この3か月後、初めて、愛しさしか感じない、フランスに向かうことになった。