恩師のご著書「講演集」より
講演集、三
子供は親に目覚めを導く
先の続き・・・
そうしますと、子供にとって都合がよくなってきたのです。
今まで気が狂ったようになって、その子のためを思って、
言ったりしていたことを、子供はよく知っています。
それが全く怒らなくなり、自分を大事にしてほしいということだけを頼んで、
早くお風呂に入りなさい、休まないといけない、と言っていますと、
だんだん都合がよくなってくるのですね。
叱りつけている時は、それが分かるものですから、
私が部屋で子供の帰りを待っていると、
ソーッと音を立てないように表の戸を開けまして、
或いは雨縁からソーッと入ってくるのです。
盗人のように抜き足、差し足で音を立てないように自分の部屋へあがっていきます。
こちらは知らないものですから、朝まで待って腹を立てているのです。
朝になって、二階からおりてくると、またよけいに腹が立つのです。
「帰っているのなら、そう言えば、こんなに心配はしないのに」と言ってね。
しかし、以前はそうでしたが、だんだんと私が変わりますと、
今度は子供が変わってきます。
そして帰りが遅くなりましても、私が部屋におりますと、戸を開けましてね、
「ただいま。パパごめんなさい、遅くなりました」と、
言ってくれるようになりました。