絵手紙

パソコンによる絵手紙をはじめて・・・

ナチス狩り   (ハワード・ブラム)

2005-10-30 15:31:40 | 読書
1944年9月、イギリス統治下のパレスチナのユダヤ庁は、
イギリス軍傘下でナチと戦う事を望む。
そしてユダヤ史上初の戦闘部隊、ユダヤ旅団ができる。
ユダヤ旅団の3人の兵士を中心に、ドイツに対する憎しみが綴られている。
終戦後ナチス狩りが始まったが、人としての生き方に疑問を持ち
各国に溢れるユダヤ難民をいかにしてパレスチナに移民させるか
命を懸けて行動する。その民族意識、同胞愛には感服させられる。
あのイスラエルという国の底力が見えるような気がする。
(すべて実話、記録に基づいて書かれてりる)
★★★★

人質カノン (宮部みゆき)

2005-10-23 23:07:10 | 読書
長編を読んだ後短編で肩を解す?
そんな感じで短編を選んでみた。
人質カノンほか、6篇の短編集
「人質カノン」はコンビニで強盗に遭遇してしまったOL
左遷された中年サラリーマン、夜食を買いに来ていた中学生
が人質にされる。人と人のかかわりを拒否する
コンビに事情?が描かれている。
★★★★

弥勒   (篠田節子)

2005-10-10 13:51:48 | 読書
以前パスキム共和国(チベット、インドに隣接する国)を訪れた時
その仏教美術に魅了された新聞記者永岡、
パスキム美術展開催に向け奔走するが、パスキムでクーデターが起きた事を知る。
インド出張の折、危険を顧みず国境閉鎖されたパスキムに入る。
そこで見たものは・・・・
人間皆平等の名において伝統、宗教、カースト制度廃止、無政府社会・・・
過酷な気象条件のもとしだいに疲弊していく山岳民族の悲劇・・・
過酷な条件の元に生きる人々にとって宗教の必要性
それ故に生まれた土着信仰の何たるかが、伺い知れる。
★★★★★

幸せのねむる川   アン・ドヒョン

2005-10-04 23:51:12 | 読書
鮭のカムルが色々な出来事と出合い、成長しながら母なる川に帰えり
子孫を残すという大仕事を終えるまでの物語。
カムルに寄り添い共に海から川に旅をしている気持ちにさせられる。
生きる理由・・・川をさかのぼる事の意義・・・夢・・希望・・愛・・
過去を振り返り、自分はどう生きてきたか?これからどう生きるか?
今の自分は、自分以外のものの背景、つまり誰かの支えになっているのか?
深く考えさせられる。同じ目線で見るのではなく、心で見る。
見えないものを見ようとする目、見えないものを見ることが出来る
目を持てるよう心がけたい。
優しくて綺麗な文章。二度も読み返しました。
★★★★★


水底の祭り  (皆川博子)

2005-09-21 23:43:24 | 読書
水底の祭りほか4篇の短編集
退廃的な匂いがする。
その中で印象に残ったのは「水底の祭り」
M湖の湖底は、数百年昔合戦に敗れ湖底に追い落とされた落ち武者や
事故で・自殺で湖底に沈んだ者が死蝋と化す。
そして湖の底から死蝋と化した水死体があがった。
疎開中、姉を不幸な惨劇に陥れた湖を訪れる弟の
過去・・・
これもまた戦争被害者と言えるかもしれない。
★★★★

警察回り(サツまわり)  本田靖春

2005-09-12 23:06:37 | 読書
昭和30年代、若き新聞記者たちと彼らに「バアさん」と親しまれた
バーのマダムの波瀾に富んだ半生。
他社の記者との交流など昔TVで見た「事件記者」を彷彿させる。
又売血と言う社会悪を「黄色い血キャンペーン」として追及し
売血廃止を厚生省に働きかける。
ここに新聞記者あり・・・と言う感じがする。
★★★★★

黒い雨 (井伏鱒二)

2005-08-19 13:29:05 | 読書
黒い雨・・・原爆が落とされた後黒い雨が降り
その雨に打たれただけで原爆症に蝕まれていく姪と
一被爆者の忍苦と不安の日常が描かれている。
戦後六十年を期にTVでも色々な特集があった
その中で、原爆を作った博士に、被爆者たちがあの惨状を訴え
死者たちに一言謝ってもらいたいという発言があった。
しかし、「ノー!市民とて戦争協力者、原爆を落とした事に誤りはない
私とて真珠湾で沢山の友を失った」・・胸を突かれる思いだった。
自分の痛みだけ主張、他者の痛みは感じない。
人間性を麻痺させるのが戦争なのだと・・・
人間が人間であるために戦争など起こしてはいけない。
平和だった六十年、これからも平和を保つために
一人一人が心に銘記しなくてはいけない。
★★★★★



長い長い殺人 (宮部みゆき)

2005-08-13 13:48:30 | 読書
刑事の財布、強請屋の財布、目撃者の財布、探偵の財布、
そして犯人の財布まで10個の財布が語る持ち主の行動
其処から思いがけない事件解決。
少し読み始めて、前に読んだ事があることに気が付いたが
面白さは変わらず最後まで楽しめた。
長年付き合ってくれている私の財布は
私の事をどのように見ているのだろう?
シミジミ・・財布を眺めてみた。
★★★★