「八幡炎炎記」村田喜代子 平凡社
敗戦後、製鉄の町・八幡で複雑な家庭事情を抱えながらもたくましく生きるヒナ子を描く。
力強く、たくましいヒナ子が小気味いいし、なんともほほえましいです。製鉄所で真っ赤な鉄が高炉から出てくる場面や最後の職人の話が印象的です。
「ユルスナールの靴」須賀敦子 河出書房新社
「きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする。行きたいところ、行くべきところぜんぶにじぶんが行っていないのは、あるいは行くのをあきらめたのは、すべて、じぶんの足にぴったりな靴をもたなかったせいなので、と。」このプロローグの文章がすごくステキです。作家ユルスナールと自分の生きてきた軌跡を交差させ、思いをはせるこの本。須賀さんの圧倒的な教養に少しでもついていければ、もっと深く感動できたのにと思うと残念です。
敗戦後、製鉄の町・八幡で複雑な家庭事情を抱えながらもたくましく生きるヒナ子を描く。
力強く、たくましいヒナ子が小気味いいし、なんともほほえましいです。製鉄所で真っ赤な鉄が高炉から出てくる場面や最後の職人の話が印象的です。
「ユルスナールの靴」須賀敦子 河出書房新社
「きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする。行きたいところ、行くべきところぜんぶにじぶんが行っていないのは、あるいは行くのをあきらめたのは、すべて、じぶんの足にぴったりな靴をもたなかったせいなので、と。」このプロローグの文章がすごくステキです。作家ユルスナールと自分の生きてきた軌跡を交差させ、思いをはせるこの本。須賀さんの圧倒的な教養に少しでもついていければ、もっと深く感動できたのにと思うと残念です。