ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『クロコーチ』2013

2019-09-05 12:00:17 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2013年の秋シーズン、TBS系列の金曜夜10時「金曜ドラマ」枠で全10話が放映された、リチャード・ウー&コウノコウジによる人気コミックを原作にしたミステリードラマ。

長瀬智也扮する神奈川県警刑事部・捜査第二課黒河内班班長の黒河内(クロコーチ)警部補は、政治家や実業家たちのスキャンダルを握り、それを揉み消すのと引き換えに裏情報や賄賂を受け取る筋金入りの悪徳刑事。

そんな「県警の闇」と呼ばれる黒河内を監視(内偵)すべく、当時絶賛売り出し中だった剛力彩芽ふんする捜査一課の新人キャリア=清家警部補が相棒役を命じられ、彼について回ることになります。

2011年の刑事ドラマ『悪党』がチームぐるみでやってた違法捜査の数々を、本作では黒河内が全部1人でやっちゃう。それを長瀬智也くんが思いっきりアクの強い芝居で、生き生きと演じてるのが見ものです。

もちろん、彼の真の目的は正攻法じゃ裁けない巨悪の駆逐で、政治家の犯罪隠蔽に手を貸したりするのも、全てはその背後に潜む大物を追い詰める為の計算。

最初は黒河内を告発する気満々だった見せかけの相棒=清家も、やがて彼の真意を理解し、本物のバディになっていくのでした。

そんな二人が立ち向かう警察庁出身の県知事=沢渡(渡部篤郎)が、どうやら昭和43年に日本中を震撼させた「三億円事件」と深い関わりがあるようで、本作は戦後最大の未解決事件の真相にも迫っていく、なかなか骨太にして大胆なストーリー。大人の男が観ても楽しめる数少ない連ドラと言えそうです。

だけど基本的には謎解きドラマだし、話はなかなか前に進まないし、肝心な所で詰めが甘い黒河内(そこで解決したら話が終わっちゃうからっていう作劇上の都合)にイライラさせられる事も多く、私はいまいち乗れませんでした。

だから本筋よりも、まだ初々しい剛力彩芽さんのエリート刑事っぷりが見もので、その凛とした佇まいと愛らしさとのギャップに眼が釘付けになります。

年齢を重ね、場数を踏んでも衰えないその透明感は、日本エンタメ界の至宝だと私は思うんだけど、目立ちたがり屋のIT社長なんかとくっついたばかりにテレビでお見掛けしなくなっちゃったのは残念なことです。

そんな剛力さんに、香椎由宇さん扮する科捜研の女が、毎回意味もなく接近してセクハラする描写もツボでした。なのに、途中で香椎さんが第2子の妊娠(夫はオダギリジョーさん)を理由に降板しちゃうんですよね。

代わりに第4話から芦名星さんが同じポジションで登場し、別キャラにも関わらず剛力さんへのセクハラ趣味は引き継いでくれて安心しましたw

そんなお遊び演出が活きるのも剛力さんの透明感があればこそで、この逸材を芸能界から奪ったIT社長がつくづく恨めしい。とっとと(そして永遠に)宇宙へ行きなはれ。

ほか、捜査一課長に小市慢太郎、監察官に大地康雄、刑事部部長に利重 剛、本部長に風間杜夫といったレギュラー陣に、森本レオ、石丸謙二郎、名高達男、山本 學、いしだ壱成、奥田恵梨華、小出恵介、板尾創路etc…といったゲストたちが絡んでいきます。
 
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『刑事のまなざし』2013

2019-09-05 00:00:23 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2013年の秋シーズン、TBS系列の月曜夜8時「月曜ミステリーシアター」枠で全11話が放映された刑事ドラマ。薬丸岳さんの同名小説を映像化した作品です。

少年鑑別所で更正のサポートをする法務技官から警察官に転職し、東池袋署・刑事課強行犯係に配属されて43歳の新米刑事となった男=夏目信人(椎名桔平)が、カウンセラーにも似た眼差しで被害者やその遺族の感情に寄り添いつつ、殺人事件の謎を解いていきます。

要は巷に溢れる人情系ミステリー番組の1本に過ぎない、ってことで放映当時は即座に切り捨てたんだけど、今あらためて観ると非常に丁寧に創られた作品で、泣ける謎解きドラマをお求めの方にはオススメ出来そうです。

夏目が法務技官から刑事に転職したのは、幼い娘が通り魔事件の被害に遭って植物状態となったのがキッカケで、救うべきは加害者より被害者だと思い直したから。

そんな背景があるだけに、扱われる事件の内容も毎回ヘビーで、例えば初回はシングルマザー(森口瑤子)の家に住みついたロクデナシ男が放火で殺され、そいつとの再婚に反対してた息子(野村周平)が自首するんだけど、夏目刑事は真犯人が母親であり、息子は母親から逃げたくて自首して来たことを見抜きます。

つまり、母親は息子を殺すつもりだったのに手違いで交際相手を死なせてしまった。動機は、息子を誰よりも愛してるがゆえに、その存在を消さないと自分の(女としての)幸せを犠牲にしてしまいそうだから、という恐ろしく身勝手なもの。

全く有り得ない話じゃないにせよ、あまりにレアケース過ぎて私は感情移入しづらいです。ただ、心が壊れかけた息子に人間らしい感情を取り戻させる為に、夏目が植物状態の我が娘の姿を見せて励ますラストシーンには、野村周平くんの好演もあって泣かされました。あくまでも被害者を救済していくドラマとして、実に正しい結末だったと思います。

かように人間の心情が多面的に描かれ、心理学ドラマとしての見所もあり、謎解きにも捻りが効いてて力作だし、良く出来た作品だとは思います。ただし、毎週観たい作品かと問われると、やっぱり私は「いや、それほどでも」と言わざるを得ません。

いつも書いてるように、私は「良いドラマ」が観たいんじゃなくて「面白いドラマ」が観たい。どんなに真摯な姿勢で創られ、どんなにクオリティーが高くても、そこに新鮮な「面白味」が無いとダメなんです。

あまりにマイペースな夏目刑事に同僚たちが振り回されるコミカルな描写もあるにはあるんだけど、そういうのは過去のドラマでさんざん見て来ましたから「ああ、そのパターンね」ってなもんでスパイスとしては効き目が弱い。その程度の面白味じゃ重いストーリーに弾みはつきません。

やっぱり、あまりにも型に嵌まり過ぎてるんですよね。主人公のキャラクター、同僚刑事たちの配置の仕方、ストーリーの進め方、まとめ方、そして泣かせパターンと、鉄壁とも言えるスタンダードスタイルから一歩もはみ出さない。

真犯人が最も意外な人物であることすらお約束の1つですから、もはや新鮮な驚きはどこにも無い。真面目にやればやるほどそうなっちゃう。刑事ドラマに新鮮さを求める方が不毛なのかも知れないけど、新番組なんだから何かしらの新しさは示して欲しいです。当然の欲求です。

結局「誰がどう演じるか」で観るか観ないか決めるしか無く、椎名桔平さんは良い役者さんだと思うけど、私の眼差しを釘付けにするだけの魅力は(今回のキャラクターには)無いと言わざるを得ません。

ほか、強行犯係の係長に要潤、ベテラン刑事に松重 豊、紅一点に小野ゆり子、心理カウンセラーに板谷由夏、本庁捜査一課刑事に北村有起哉、夏目刑事の妻に吉田 羊、娘に山田杏奈、小料理屋の店員に藤本 泉、といったレギュラーキャスト陣。小野ゆり子さんは前年に大森南朋さんと結婚されたばかりでした。
 
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