ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#255

2019-09-24 23:23:08 | 刑事ドラマ'70年代






 
ボン単独活躍編の最終作となる本エピソードは、複数の小さな事件が同時多発し、人手不足な藤堂チームが右往左往されられた挙げ句、そのほとんどが徒労に終わっちゃうという、1つの大事件をスッキリ解決させるのが基本の『太陽にほえろ!』としてはかなりの異色作、かつ実験作と言えましょう。

次回より毛むくじゃらの新人刑事を迎えることの理由づけ、として創られた話なのかも知れないけど、この作劇法は後に『太陽~』の後番組としてスタートするリアリティー重視の刑事ドラマ『ジャングル』の基本スタイルとなり、やがて『踊る大捜査線』等にも応用されていきます。

だけど『ジャングル』の場合は『太陽~』スタイルに慣らされた大方の視聴者に受け入れられず「失敗作」の烙印を押されちゃいました。リアルなのは良いけどカタルシスに欠けるこの作劇法は、長期に渡る連ドラには不向きだったのかも知れません。

とは言え、そろそろマンネリ化しつつあった当時の『太陽~』においては新鮮で、ファンの間じゃ名作として知られるエピソードだったりします。


☆第255話『本日多忙』(1977.6.10.OA/脚本=杉村のぼる&小川 英/監督=木下 亮)

藤堂チームのメンバー1人1人の出勤風景を見せる冒頭シーンからして、まず異色。七曲署には珍しい平和な朝で、ボス(石原裕次郎)は「今日は開店休業だな」と余裕をかまします。

ところが、通勤途中の長さん(下川辰平)にビルの看板が落下、大きな怪我にはならなかったものの長さんは検査入院を余儀なくされ、まず1人脱落。

その現場検証に向かおうとした所にチンピラの乱闘騒ぎが勃発し、藤堂チームの慌ただしい1日が幕を開けます。

ゴリさん(竜 雷太)とボン(宮内 淳)がチンピラ達の制圧に向かい、山さん(露口 茂)と殿下(小野寺 昭)が看板の落下現場を検証。ボスはもちろん電話番ですw

で、看板は故意に落とされた=長さんが命を狙われた可能性が濃厚となり、長さんに恨みを持つ前科者のリストアップ、それぞれのアリバイ捜査、さらに長さんのボディーガードと、早くも仕事量が捜査員の数を凌駕しちゃいます。

そこに来て、聞き込み中の殿下が置き引きに遭ったサラリーマン(橋爪 功)に泣きつかれ、現金500万円が入ってるというバッグの行方を捜索する羽目に。

さらに山さんが捨てられた幼い兄弟を発見、その母親探しに翻弄させられます。

そして今度はイカレたヤク中男(蟹江敬三)が猟銃を乱射し、飲食店に籠城。無論そのテの危うい現場にはゴリさんとボンが駆り出されますw

「開店休業どころじゃねえな、こりゃ」

電話番のボスはそう言ってアッコ(木村理恵)を笑わせますが、現場で走り回る部下たちはたまったもんじゃありませんw

しかも、かつて長さんに捕まった青年が、ボンの聞き込みがきっかけで職場で前科バレしちゃうわ、殿下が置き引き被害者に経過報告の電話をしたら「ああ、実はあの鞄、タクシーに置き忘れてたんですよ」なんてケロッと言われちゃうわで、刑事たちの苦労がどうにも報われません。

そのとぼけたサラリーマンを演じる若き橋爪功さんの、心無い芝居がまた巧くて憎たらしいw

「どーもすいません、何の連絡もしなくって。警察が探してるってこと、すっかり忘れてたんっスわ、てっへっへ!」

「そうですか……見つかって良かったですね」

さすがの殿下も眼が笑ってませんw

一方、山さんはボンと合流し、ようやく捨て子の母親(伊佐山ひろ子)を発見します。どうやら夫に逃げられ、シングルマザーとしてやって行く自信が無くて子供を置き去りにしたんだけど、いざ対面するとやっぱり愛しく、泣きながら二人を抱きしめる若き母なのでした。

その様子を見て「山さん、良かったですね」と胸を撫で下ろすボンですが、山さんは下唇を突き出しながら言います。

「本当に良かったと思うか、ボン」

「え?」

「何も変わっちゃいない。これから先も、彼女は子供たちを抱えて苦労して、その苦しさに負けないという保証がどこにある? それが分かっていながら、俺たちにはこうするしか無いんだ」

後ろ髪を引かれながら、山さんとボンは母子を見送り、長さん襲撃事件(?)の捜査を再開。その結果、看板は実は老朽化による自然落下だった、つまり単なる事故だったことが判明し、一件落着。

すぐにボンは、アリバイを聞きに行った青年にその事実を報告するのですが……

「あんたはそれで済むだろうけど、俺はどうなるんだよ?」

ボンが聞き込みに行った後、前科者だったことがバレた青年は、居づらくなって職場を辞めたのでした。

ボンは彼の友人を装って職場を訪ねており、捜査に落ち度は無かった筈で、前科バレしたのは他に原因があったかも知れないんだけど、ボンは凹みます。

こうして全ての事件は解決し、長さんも無事に退院しました。けど、刑事たちには徒労感や後味の悪さしか残らない、散々な1日となりました。

「良かったんだよ、これで。長さんはこうして何でも無かったし、犯人もこさえずに済んだんだからな」

さっきボンに「本当に良かったと思うのか?」って言ってた山さんにそう言われても説得力がありませんw そんな淀んだ空気を吹き飛ばすべく、ボスは新人刑事の採用を発表するのでした。

「えっ、やっと欠員補充ですか! で、どんな刑事なんですか?」

「そいつは来てみなきゃ分かんねえな。こんなのかもな、こんなの」

「こんなの、こんなの?」

こんなの(画像5枚目のジェスチャー)とはつまり、毛むくじゃら人間のことだけど、視聴者には何のことだかサッパリ分かりませんw まぁ実際のところは、既にメディアで新人刑事=ロッキー(木之元 亮)のビジュアルが発表され話題になってましたから、大方の視聴者には分かってたかも知れません。

しかし、これほど慌ただしく多忙で、何から何までスッキリせず刑事たちが報われない『太陽にほえろ!』は前代未聞。今になって観直してもなお新鮮で、見応えがあります。

しかもゲストが野崎ファミリー(西 朱実、井岡文世、石垣恵三郎)に加えて橋爪功さん、蟹江敬三さん、伊佐山ひろ子さんと、通常ならメインゲストで起用される実力派の俳優さんたちが、ほんの1~2シーンの出番だけで次々登場する贅沢さ。その分もクオリティーが底上げされており、やっぱ凄い番組だとつくづく思います。

伊佐山ひろ子さんは当時24歳。ロマンポルノから一般作への転向に成功された女優さんの1人で、最近公開されたマーティン・スコセッシ監督のアメリカ映画『沈黙』にも出演される等、現在まで息長くご活躍中。

刑事ドラマへのゲスト出演も多数、中でも『太陽にほえろ!』と『特捜最前線』はいずれも計5回の最多出演。だけど私は何と言っても『大都会PART II』第3話で演じられた、立て籠り犯にストリップを強要される、地味なのにエロいウェイトレスの役が一番印象深いです。

ほか『大都会/闘いの日々』『新宿警察』『夜明けの刑事』『Gメン'75』『Gメン'82』『大追跡』『熱中時代 刑事編』『西部警察PART III』『ジャングル』etc…と、枚挙に暇ありません。
 
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『大都会 PART II 』#33

2019-09-24 22:22:31 | 刑事ドラマ'70年代







 
☆第33話『刑事失格』(1977.11.15.OA/脚本=永原秀一/監督=山崎大助)

街中でサラリーマンが包丁で刺され、現金を強奪される事件が発生。その手口と、犯人は眼の下に傷痕がある30歳前後の男という目撃証言から、黒岩デカチョウ(渡 哲也)たちは以前似たような事件で逮捕され、3ヶ月前に出所した河村(片桐竜次)の犯行じゃないかと睨みますが、ベテランのマルさんこと丸山刑事(高品 格)が異を唱えます。

「私には河村がやったとはどうしても思えんのだがね」

根は純朴だった河村をマルさんは眼にかけ、身元保証人まで引き受けてるのでした。

「3ヶ月前に出所した時、あいつは今度こそ更正したい、そう私に誓ったんだ」

しかし被害者の証言、現場に残った指紋、そして演じてる俳優が片桐竜次であること等、全ての要素が河村を犯人だと示してる。

とにかく河村を見つけ出し、身柄を確保するよう黒岩は指示を出しますが、マルさんだけは「事件の背景(動機)が見えないから」と単独捜査を開始。そこには河村が無実であって欲しいというマルさんの、祈りにも似た想いがあったのですが……

その願いも虚しく、同じ手口による第2の被害者が出て、その証言から河村が犯人であることが確定されてしまう。片桐さんが演じるとそうなってしまうのです。

「マルさん! どんなつもりであいつがマトモになりたいと言ったか知りませんがね、現実の川村はこの通り、元の狂犬に戻っちゃってるんですよ!」

一番若手のジンこと神刑事(神田正輝)に説教されちゃう始末で、マルさんはみるみる自信を無くしていきます。

一般的な刑事ドラマだと、ベテラン刑事の勘はだいたい当たるもんだし、容疑者の善意を信じすぎて失敗するのは新米刑事の十八番だったりするんだけど、それを哀愁漂う「いぶし銀」のマルさんにやらせちゃうあたり、やっぱり『大都会 PART II 』には前作『闘いの日々』のシビアな作風=倉本聰イズムの名残を感じずにいられません。

さて、河村の容疑は確定されたものの、マルさんはその犯行動機を追究すべく単独捜査をやめません。

それで判ったのは、河村が出所した直後に知り合った飲み屋のホステス=茂子(片山由美子)に惚れ、勤めを辞めさせて結婚したこと。なのに茂子はすぐにオトコを作って逃げてしまったこと。

本当に一から出直すつもりだったのに裏切られた河村は、自暴自棄になって本来の片桐竜次に戻り、恐らく茂子を殺すつもりでいる。

「川村はね、あんたと一緒に、少しくらい経済的に苦しくても、マトモな家庭で、マトモな生活がしたい、そう考えてたんじゃないのかね?」

マルさんに責められても、茂子は涼しい顔で言ってのけます。

「少しくらい経済的に苦しくたって? そんならそうと最初から言ってくれりゃよかったのよ。そしたら一緒にならずに済んだんだから」

そう、茂子は河村にカネを稼ぐ甲斐性が無いと見るや即座に切り捨てたワケです。なんでこんな女に惚れるねん?って思うけど、そこは片桐竜次だから仕方ありません。なんだか河村が可哀想にも思えて来ます。

マルさんの読みが当たり、包丁を持った河村が茂子を殺しにやって来ます。マルさんは茂子を守りつつ、河村を説得……というより懇願するのでした。

「昨日まで、私はお前をシロと信じてきた。それなのに、デカとしてこんな恥ずかしい思いをした事はない。これ以上、罪を重ねんでくれ。頼む!」

「身元引受人だからって、でかいツラすんな老いぼれ!」

マルさんは拳銃を抜き、歩み寄る河村の額に銃口を押しつけます。

「お前を説得出来ないくらいなら、私は刑事失格なんだ!」

「上等じゃねえか、撃てよ。撃つなら撃てよ!」

もちろんマルさんに河村を殺せるワケもなく、威嚇射撃するのが精一杯。それで茂子を守ることは出来たものの、河村は取り逃がしてしまうのでした。

いよいよ自信を無くしたマルさんは、刑事部屋にある私物をまとめ始め、徳吉(松田優作)らを慌てさせます。そんなマルさんを署の屋上に連れ出した黒岩は、二人きりで対話します。

「すみません、河村はどうかしてるんです。思い詰めてカーッとなって、自分を見失っているんです」

「自分を見失ってるのはマルさん、あんたですよ」

「…………」

「マルさん、気持ちはよく解ります。しかし、単独捜査は禁じてます。個人的な感情での捜査は、絶対にやめて下さい」

「……すみません。若いつもりでも、やはり歳には勝てません。もうこの辺りが……」

「なにを言ってるんですか。先輩のマルさんあっての我々なんです、自信を取り戻して下さい。頼みますよ」

現在ならカウンセリングを勧めなきゃいけないところだけど、もちろん黒岩デカチョウがそんな回りくどい対処をするワケありません。

自信を無くした部下には、あえて最前線に飛び込ませ、修羅場を乗り越えさせる。それが黒岩軍団(そして後の大門軍団)の流儀であり、そのスリルが癖になっちゃった団長の趣味なんですw

まず黒岩は、捜査課の事務員=幸子(美田麻紗子)に茂子の衣服を着させ、河村が現れそうな場所を歩かせるという、もう1つの趣味であるオトリ捜査(もちろん違法)を断行。

その現場にマルさんを連れ出し、現れた川村とサシで対決させた黒岩は、そのスリルを楽しみながら高みの見物するのでした。

もう刑事を辞める気満々だった筈なのに、アドレナリンが沸いてきたマルさんは河村を公園の噴水に放り込むと、自分もずぶ濡れになりながら叫びます。

「クロさん、こいつは! こいつだけは私に任せて下さい!」

夢中で河村をフルボッコにするマルさんの生き生きした姿を見て、駆けつけた徳吉もニヤリ。

「マルさん、まだまだ若いですなぁ」

かくして、河村の腕に手錠が嵌められます。どんなに洒落たアクセサリーよりも手錠が似合う男、片桐竜次。

びしょ濡れになったマルさんにジンがハンカチを渡しますが、マルさんは自分じゃなく河村の顔を拭いてやります。

そんなマルさんの想いが、河村の胸に全く響いてないワケでも無さそうだけど、ムショを出たらまた同じようなことを繰り返すんだろうと思います。理由は、片桐竜次だからです。

ストーリー自体はどうって事ないありがちなもんだけど、主役をマルさんに据えたことにより哀愁が加味され、印象に残るエピソードとなりました。やっぱり高品格さんの芝居には唯一無二の味があります。

ワルはあくまでワルであり、警察はやたら失態を繰り返し、平気で女子事務員をオトリに使い、最後はスカッと暴力解決。石原軍団らしさ満載のエピソードとも言えます。

茂子に扮した片山由美子さんは当時27歳。子役から活躍され、『ジャイアントロボ』や『プレイガール』等にレギュラー出演、『女囚701号/さそり』など映画出演も多数。

刑事ドラマは『特別機動捜査隊』(計4回)、『太陽にほえろ!』(第90話) のほか『俺たちの勲章』『新宿警察』『特捜最前線』等にもゲスト出演。'80年代前半に結婚され、それを機に一線を退かれた模様です。
 
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『大都会 PART II 』#01

2019-09-24 22:15:52 | 刑事ドラマ'70年代









 
倉本聰をメインライターに迎え、リアリズムと人間ドラマを追究した前作『大都会/闘いの日々』から一転、'77年春にスタートした第2シリーズ『大都会 PART II 』は永原秀一、斎藤憐、柏原寛司、峯尾基三らアクション畑のライター陣を器用、メインキャストの1人に松田優作という究極の活劇スターを迎え、弾丸が飛び交い、パトカーが次々クラッシュする石原プロモーション=ハードアクション路線のいよいよ幕開けとなりました。

ただし、派手な見せ場を優先するあまり脚本がユルユルになっちゃうのはパート3辺りからでw、このパート2(特にシリーズ前半)は『闘いの日々』の社会派要素も少なからず残っており、ドラマとアクションの絶妙なバランスで我々を魅了してくれました。


☆第1話『追撃』(1977.4.5.OA/脚本=永原秀一/監督=舛田利雄)

ファーストシーンは、城西署捜査課の黒岩デカチョウ(渡 哲也)とその右腕=徳吉刑事(松田優作)が深夜の渋谷を覆面車でパトロールし、ホステスがチンピラと揉めてる現場を見掛けながら「クロさん、どうしますか?」「ほっとけ」とスルーしちゃう、熱血番組『太陽にほえろ!』とはひと味違うハードボイルド演出。

そして追いかけるホシも連続婦女暴行殺人犯(しかも被害者の下着をコレクションするド変態)という、やはり品行方正な『太陽にほえろ!』では扱わない種類の極悪人(そしてド変態)で、その辺りの差別化は意図的なものと思われます。

過去3件の犯行が公園で行われたため、公園ばかり監視してたら裏をかかれて4件目はデパートのトイレで発生するなど、犯人側の方が賢くて刑事たちがやたら失態を繰り返すのも『太陽~』とは違う『大都会』→『西部警察』シリーズならではの特徴。これも恐らく意図的なもので、創り手たちは内心、警察をバカにしてるんだろうと思いますw

で、4人目の被害者=久子(永島暎子)は渋谷病院でドクター宗方(石原裕次郎)の手当てを受け、死なずに済むんだけど顔に酷い傷を負ってて、見舞いに来た幼い甥っ子が「こんな顔、久子姉ちゃんじゃない!」と言って泣きじゃくるという、そういう残酷さも『太陽~』には無いものだし、かつ『闘いの日々』から受け継いだ倉本イズムの一端だろうと思います。

そんなハードな描写があるからこそ、やがて久子が恐怖心を乗り越え、犯人のモンタージュ写真作成に協力するシーンは感動的だし、それを手がかりに刑事たちがカーチェイスの末に犯人を追い詰め、フルボッコにするクライマックスにはカタルシスを感じます。

シリーズが進むにつれそういったシビアさは薄れていき、放映枠が9時台から8時台に移った『西部警察』シリーズはひたすら明るい健全路線にシフト。それはそれで楽しいんだけど、やっぱりある程度のドラマ性を残した『大都会 PART II 』が一番見応えあります。

この第1話のラストシーンは、カーチェイス、パトカー炎上、そして銃撃戦を経て犯人を逮捕し、連行していく部下たちを見送りながら黒岩デカチョウが煙草に火を点ける。そこでスパッと幕を下ろすんですよね。

やがて定番化していく、渡さんや裕次郎さんの演歌をバックに描かれるエピローグが、この回には無い。それがまたハードボイルドでカッコいい!

スパッと終わる方がかえって余韻も残るし、レコードを売らなきゃならない事情も解るけど、ラストの演歌は無い方が良い……とまでは言わないけど無くても良い(途中のスナック場面における女性歌手の弾き語りはもっと要らないw)と私は思います。今さら言っても仕方ないけど。

それは『太陽にほえろ!』のラストシーン(刑事部屋におけるコント演出)にも言えることで、そういうルーティン的な演出が安定した視聴率に繋がる、みたいな法則が長丁場のテレビ番組にはあるんでしょう。確かに、無かったら無かったで淋しいかも知れません。

『大都会 PART II 』を彩る女優陣は、黒岩デカチョウの妹=恵子に仁科明子さん、黒岩に想いを寄せる渋谷病院看護婦=今日子に丘みつ子さん、同じく看護婦=典子に舛田紀子さん。← 舛田利雄監督の娘さんです。

そして第1話ゲストの永島暎子さんは当時21歳。前年に女優デビューされたばかりなのに安定の演技力で、この'77年には日活ロマンポルノ『女教師』で主演もされ、'83年の映画『竜二』では国内の助演女優賞を総なめにして一躍メジャーになられました。

本作が刑事ドラマの初ゲスト出演で、全ての出番を傷メイクの顔で演じる女優魂が買われたのか、第14話、第19話とやたら短いスパンで次々(それぞれ違う役で)ゲストに呼ばれてます。

ほか『七人の刑事』『鉄道公安官』『特捜最前線』『非情のライセンス』に各1回、『西部警察』に2回、『太陽にほえろ!』に3回ゲスト出演、『ジャングル』では桑名正博扮する小日向刑事の妻としてセミレギュラー出演されてます。
 
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『凪のお暇』最終回

2019-09-24 15:01:48 | TVドラマ全般









 
なにか新鮮なものが観られそう、と期待したドラマでしたが、恋愛ドラマ色が強まるにつれ興味がみるみる薄れ、ヒロイン(黒木 華)と男2人(高橋一生、中村倫也)の三角関係が出来上がって以降はどーでもよくなり、その辺からは「ながら見」になっちゃいました。

が、何となく居心地良さのある世界観なので一応ラストまで見届けることが出来ました。ながら見だけどm(__)m

結局、こういう話で1クール(女性視聴者を)引っ張るとなると、恋愛をネタにするしかないんでしょうね。別に恋愛ドラマを忌み嫌ってるワケじゃないけど、ヒロインはどっちの王子様を選ぶんでしょう的な話になっちゃうと、私はダメです。辟易します。

ただ、メインは自分で何も決められなかった女性が自立していく成長ドラマですから、どっちかの男を選んで結ばれてハッピーエンドっていうのはあり得ない。くっついちゃったら大なり小なり依存し合う関係が続くワケで、それじゃ何も進歩した事にならない。

だから結末は最初から判ってるんだけど、もし万が一どっちかとくっついたらボロクソ書いてやりたくて、それが楽しみだから最後まで観られたのかも知れません。ほんと歪んだ性格ですw

でもやっぱり、当然ながらヒロインは両方との離別を決意しました。フラれた男2人も言わば依存体質で、これを契機に彼らも成長出来そうな希望が見える結末でした。

だから文句は言えないんだけど、結局すべてが収まるべきところに収まった感じで意外性が微塵もなく、なにか新鮮なものが観られそうっていう当初の期待は裏切られた、と言わざるを得ません。

結局、いろんな人々との出逢いと交流が主人公を支え、成長させていく構図も「教科書通り」って感じで、まぁそりゃそうだよねって納得するしか無いんですよね。

大ハマり中の『それは経費で落ちません!』にも言えることだけど、結局「誰かと喜びを共有できること」が何より幸せっていうマジョリティーな価値観に、あらゆる作品が落ち着いちゃうのが私としては大いに不満です。

確かに、そういう相手がいればハッピーです。その通りだと思います。けど、そういう相手と巡り会えない人、うまくつき合えない人だって沢山いるはずで、そんな人にもその人なりのハッピーはあるんだってことを描くドラマが、10年に1本でもいいから創られないもんか?って思う。

決して否定はしません。でも、正解はそれだけじゃないでしょ?って。他にも正解が無数にある筈なのに、メディアが勝手に1つの正解を押しつけ過ぎてませんか?って。学校でクラスのみんなと馴染めないことがダメなこと、不幸なことって、みんなが思い込んでるのはいったい誰のせいなの?って。そりゃみんな空気を読んじゃいますよ、窒息しそうにもなりますよって。

昨今、報道番組はそうじゃない価値観をようやく肯定するようになって来たけど、連ドラは相変わらず「絆」こそが至高で「孤独」は底辺だ不幸だと決めつけてる。それを苦に自殺する人が増え続けてる現実を一体どう捉えてるのか?と問いたいです。

作品のクオリティーとは関係ない話になっちゃいましたが、初回を観た時にひと味違うものが観られそうな錯覚を勝手にしちゃったもんで、平凡この上ないストーリーにちょっとガッカリしました。

男と女がくっついて子孫を残す、あるいは身を守るために群れを作るっていうのは自然の摂理なんでしょうけど、そうしなくても生きていける世の中になってしまった以上、そうしない人を否定するような価値観は変えて行かなきゃいけない。せっかく変わりつつある価値観を、変わらないように変わらないようにとTVドラマ(特に民放の番組)が守り続けてる。視聴率を稼がなきゃいけない=多数派に媚びるしかないメディアの弊害です。

まさかこんな理由でイチャモンをつけられるとは、番組スタッフも全く思ってないでしょうねw ヒロインはちゃんと自立したんだし、間違ったことは1つもしてないのに、何を私は目くじら立ててるんでしょうか?w

何も間違ってはいないんだけど、例えば三田佳子さん演じる独居老人がサプライズパーティーでみんなに温かく迎えられる感動シーンを観ても、自分がそんな事されたら居心地悪くて逃げ出したくなるけどなあって、私なんかは思っちゃう。

独り暮らしを満喫する三田さんの描かれ方が素敵だなあって初回で思っただけに、結局みんなと一緒が一番ハッピー♪みたいな着地点に落ち着いちゃうのがすこぶる残念でした。

自分が孤独なもんだからそれを肯定して欲しいだけなんだろ?って言われれば、その通りかも知れません。いや、まったくその通りです。全員に肯定されなくたっていいけど、たまには誰かいないの?って思ってます。

私はとっくに開き直ってますから大丈夫だけど、死にたいほど苦しんでる人も無数にいる筈で、その存在の否定に繋がるような価値観は一刻も早く無くした方がいい。

同じことは『これは経費で落ちません!』にも言えるんだけど、あっちは他の要素が斬新で面白すぎて、そんな不満を感じてるヒマが無いんですよね。『凪のお暇』には、それだけのスキがあったという事です。

孤独に生きることが最高だとはさすがに思ってません。喜びや苦しみを分かち合える相手はいた方が良いに決まってます。そりゃそうです。

分かってるからこそ、同じことばかり繰り返し聞かせるのは、もういい加減やめて欲しい。自分が出来るんだから誰にでも出来ると決めつけないで欲しい。あまりにマイノリティな価値観による感想で恐縮ですが、だからこそ書く価値はあるんじゃないかと思って書きました。

セクシーショットはヒロイン・凪の元同僚で意識高い系OLたちのリーダー・足立さんを演じられた、瀧内公美さん。ほか、市川実日子さん、唐田えりかさん、水谷果穂さん、大塚千弘さん、藤本泉さん、といった女優さんたちが出演されてました。
 

コメント (4)
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