2022年冬シーズン、フジテレビ系列の月曜夜9時「月9」枠でスタートしたミステリードラマ。田村由美さんの人気コミックを映像化した作品です。
天然パーマで偏屈者の大学生=久能整(菅田将暉)が、自ら容疑者とされた殺人事件の真犯人を見事に言い当て、それ以来、刑事たちの捜査&謎解きにムリやり協力させられるというお話。
主人公自身は動くこと無く、刑事たちが集めて来た情報や関係者との会話からヒントを得て推理する、ミステリーの中でも「安楽椅子探偵」と呼ばれる最もノン・アクティブなジャンルで、本来なら私が最も忌み嫌う種類のドラマですw
だけどこれが面白いんですよね! ミステリーとしても良く出来てるけど、それより何より主人公=整(ととのう)の「屁理屈トーク」こそが断然面白い!w
過去、本来なら興味が無いラブコメやホームドラマのジャンルでも、『デート/恋とはどんなものかしら』や『オレの話は長い』にはどっぷりハマりました。その両者に共通するのも主人公の「屁理屈トーク」でしたw
なぜ屁理屈が面白いかと言えば、世間一般のマジョリティたちの常識……という名の「思い込み」を打ち砕くカタルシスがあるから。なぜ打ち砕けるかと言えば、屁理屈は物事の「本質」を的確に突いてるから。
例えば本作の第1話では、殺人容疑を掛けられ取調べを受ける整が、コワモテ刑事のエンケンさんに「目撃者がいる」と言われても全く動じずに「刑事さんはその目撃者の人と知り合いなんですか?」と質問し、「善意の第三者だ」と言われるとこう返します。
「じゃあ僕と立場は同じですよね? 刑事さんがよく知らない人物。それなのにどうして、その人は本当のことを言っていて、僕の方は嘘をついてると思うんですか?」
第1話はミステリーとしてもホントによく出来てたと思います。意外な真犯人の設定とキャスティング、その真実が明かされるタイミングといい、絶妙の絶品!でした。ただ……
最後に取ってつけたように泣かせようとするのだけは頂けない! 真犯人に対して大学生が説教じみた人情論を語ったり(1stエピソード)、被害者たちが犯人に同情して急に庇い始めたり(2ndエピソード)、そこで唐突に主題歌が流れたりなんかして、「はいっ、ここで泣いて!」っていうお膳立てがチョー押しつけがましくて私はシラケちゃう。せっかくそこまで面白かったのに!
原作通りならまぁ仕方ないけど、もしドラマ化の過程で付け足したとすればマジ「病気」だと思う。とにかく泣かせなきゃ視聴者が納得しない!って思い込んでるテレビ屋さんたちの病気。あるいは、本当に泣かなきゃ納得できないなら視聴者こそが病気なんです。
泣けるか泣けないかで作品を評価するのだけはホントやめて欲しい! 結果的に泣くのはいいけど、泣かせることを目的にして創ったり、泣くことを目的にして観るのは異常な行為だと私は思う。この変態どもっ!
だから視聴を続けるか否かはビミョーなとこだけど、伊藤沙莉さんが初の刑事役に挑んでおられるのは見過ごせません。伊藤さん演じる大隣署の新米刑事=風呂光聖子(ふろみつ せいこ)の成長ストーリーとして見れば、これは「刑事ドラマHISTORY」のカテゴリーに入れてもいい位なんですよね。(とりあえず探偵物のカテゴリーに入れてます)
そして聖子の先輩刑事に尾上松也、上司に筒井道隆が扮するほか、1stエピソードのゲストが遠藤憲一、2ndエピソードのゲストが永山瑛太、佐津川愛美、ヒコロヒー、金田明夫、以降も門脇麦、柄本佑、鈴木浩介といった人たちが登場するらしい、さすが月9と言うほかない豪華キャスティング!
余計な「お涙頂戴」がつくづく残念だけど、基本的には面白いしこれだけのキャストが揃うなら、これは観るしか無さそうです。
セクシーショットは2ndエピソードで殺されちゃった、乃木坂46の元メンバー・白石麻衣さんです。