☆第414話『島刑事よ、永遠に』
(1980.7.11.OA/脚本=畑 嶺明&小川 英/監督=竹林 進)
『太陽にほえろ!』5人目の殉職者は島公之=殿下(小野寺 昭)となりました。
過去の爆弾事件で半身不随の重傷を負った殿下の婚約者=三好恵子(香野百合子)が、アメリカで5度の手術とリハビリを経て奇跡の復活を遂げ、約1年半ぶりに帰国するのを出迎えるため、奇しくも「爆弾事件」を解決させたその足でウキウキしながら車を走らせた殿下は、対向車線をはみ出して来た暴走トラックを避けて車ごと崖から転落し、壮絶な爆死を遂げるのでした。
勤務時間内とはいえ私用の移動中に起こった交通事故による死で、それは果たして「殉職」と言えるのか?っていう議論が未だにファンの間で続いてるけど、そんな事はどうでもいい。退勤後に刺されたマカロニ(萩原健一)も病気で死んじゃうスコッチ(沖 雅也)も、番組内で死ねばみな殉職って事でいいじゃないですか。
私はそんな事より、ベテランの殿下がこういう形で降板したせいで、レギュラー刑事の殉職が単なる卒業セレモニーになっちゃったのが未だに残念です。これを皮切りにあの人もこの人も殉職、とにかく降板するなら「殉職するのがステイタス」みたいになって、退職や転勤だとまるで「残念な人」みたいな空気まで生まれちゃった。
何もかも結果論ではあるんだけど、若くして逝く新人刑事の殉職には美学みたいなものを感じたし、そもそも新人刑事の成長を描くドラマなんだから、一人前になった時点で華々しく散るというのは理にかなってます。
だけどベテラン刑事の殉職には「話題作り」以外の意味が何も見いだせません。演じる俳優さんは「ケジメ」として「死なせて欲しい」思いがあったみたいだけど、番組の1ファンとしては殉職を安売りして欲しくなかったです。
殿下以降の殉職編で私が意義を感じたのはボギー(世良公則)ぐらいで、あとの人たちは転勤でよかった。そして度々ゲストで復帰してくれた方がファンはよっぽど嬉しいですよ。
そんなおかしな流れの口火を切ったのがこの第414話ですから、正直なところ私は好きじゃありません。視聴者を泣かせる為にだけ引っ張り出された三好恵子さんがあまりに気の毒だし(なんて悲惨な人生なんだ!)、テーマ曲やブリッジ曲を多用しすぎてうるさいし、ご都合主義な展開も多いしで、歴代の殉職編の中でも私個人の評価はかなり低いです。
良かったのは爆弾魔に扮した原口剛さんの演技と、『あさひが丘の大統領』の生徒役だった大村波彦さんがゲスト出演されたこと、ぐらいでしょうか。大村さんはこのあと杉サマの『大捜査線シリーズ/追跡』に刑事役でレギュラー入り。結果的に神田正輝さんとトレードされたような形になりました。
PS. もし仮に、番組の視聴率がまだ絶好調だった時期に小野寺さんの降板が決まったら、殉職という形にはならなかったかも? 数字を稼ぐには殉職というカードを出すしかない、当時の切羽詰まった状況が殉職のバーゲンセールを生んでしまった気がします。
私も殉職に関しては同じ意見です。
そこまで皆殉職する必要があったんですかね〜
私も殉職ではなく、転勤や転職で年に一回でもゲスト出演して欲しかったな。
ハナ肇さんみたい刑事を辞めて料理人になるとかね。
ボン刑事は大阪に帰って、家業を継ぐとか…
個人的にはロッキー刑事が生きていたなら、夫婦で協力して犯人を逮捕したり、子供絡みの事件が起きたりと面白かったんじゃないかなと想像しちゃいますね。