ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『警視庁殺人課』#14

2022-02-06 13:00:21 | 刑事ドラマ'80年代

1981年、しばらく続いてた刑事アクションドラマの大ブームには翳りが見えてたけど、それでもテレビ朝日は月曜の夜8時に『走れ!熱血刑事』、そして9時に『警視庁殺人課』と、2時間続けて刑事アクションを放映してくれてました。

だけど両番組とも視聴率には恵まれず、学園ドラマ調だった『走れ〜』はハード路線に、そして『警視庁〜』は逆に人情路線へと舵を切らざるを得なくなっちゃいました。

それで視聴率が上がるとは到底思えないのに、なんでそんなムダな改革をしちゃうんだろう?って、私はずっと疑問に思ってました。けど、自分が企業の歯車として働くようになってようやく理解しました。

業績不振に陥ったり不祥事を起こした企業は、何らかの改革案を提示しないと支援を受けられなくなっちゃう。個人レベルの話でも、例えば宅配ドライバーの私が誤配や交通事故を起こせば、具体的な改善策を会社に提出して認めてもらうまで乗務復帰させてもらえない。

それと全く同じなんですよね。やれクリエイターだ夢を売る商売だと言ってても、マネーが絡むかぎりサラリーマンと何も変わらない。正しいか間違ってるかじゃなく、売れるか売れないかで全てが評価されちゃう世界。

見返してやるにはBIGマネーを掴むしか無いんです。マネーマネーマネー! マネー・イズ・クレイジー! いつかヤツらに叩きつけてやる!!ってな話です。

だから、ソフトだった番組はハードに、派手だった番組は地味にと、判りやすく見た目を変えなきゃしょうがないワケです。テレビ局の偉いさんやスポンサー連中に内容の良し悪しなんて解かりゃしませんから。

そんなワケでこの『警視庁殺人課』では、ミスターがマグナムで悪党を射殺しなくなり、エンジェルが必然性なくオッパイを見せてくれなくなっちゃいました。その2つ無くして一体なにが残るねん!?って話ですw

だけどこの第14話は恐らく、路線変更が決まる前に完成されてた脚本で、ハード路線の名残りが色濃く残ってます。最後にミスターは射殺こそしないけど、見方によっちゃそれより酷い事をやってくれますw

そこに現場スタッフたちの「射殺がダメならこれでどうだっ!?」っていう反骨心、気概を私は感じました。昨今のテレビ番組からはすっかり消え去ったスピリットです。



さて、ここで警視庁殺人課のメンバーをおさらいしておきます。とりあえず体力派ナンバー1「ウルフ」こと久保刑事(剛 竜馬)は今回から出ませんw なぜ唐突に消えたのか?っていう説明も一切ありませんw

演じる剛竜馬さん(元プロレスラー)が何か警察沙汰を起こして降板になったと聞いた記憶があるけど、ウィキペディアやDVDの解説書には記載されてないので定かじゃありません。

芝居が出来る人じゃないのは一目瞭然で、番組が人情路線になったら出番も無くなっちゃうだろうから、どのみち降板する運命だったと言わざるを得ません。



ニューヨークで殺人術を学んで来た殺人課の親分「ミスター」こと五代警部(菅原文太)。前述の通り、愛銃マグナム44をぶっ放す機会がこれから激減しちゃいます。残念!(カレーライス食ってる場合じゃない!)



お色気担当だった筈の「エンジェル」こと眉村刑事(一色彩子)も前述の通り、もう二度とおっぱいを見せてくれません。無念!



ただ1人、体力派ナンバー2の「チャンス」こと村木刑事(関根大学)だけは、ナンバー1のウルフがいなくなって出番が増えるからウハウハかも知れません。まさにチャンス!



ベテランの「ビショップ」こと額田警部補(中谷一郎)も、人情路線へのシフトで見せ場が増えるからウハウハかも知れません。(関係ないけど刑事部屋にパトライトを設置してるのが微妙にダサい)



ミスターの右腕で熱血漢の「秀才」こと虎間刑事(三田村邦彦)は女性との絡みが増え、どうやら「殿下」的なキャラクターにシフトしつつある模様。今回も顔馴染みのホステスさんから有力な情報を聞き出します。



そして常にミスターの良き理解者で陰から殺人課を支援する、田丸刑事部長(鶴田浩二)は相変わらずのいぶし銀。この人が登場するとやっぱり画面が引き締まります。

というメンバーでお送りする今回の『警視庁殺人課』ですが、ストーリーはサラッと流しますw



☆第13話『連続美女殺人事件・女を喰う虫』

(1981.7.13.OA/脚本=神波史男&奥山貞行&石森史郎/監督=原田隆司)

ある昼下がり、ミスターが勤務中、誰がどう見ても場違いな代々木公園で油を売ってたら、愛車ポルシェ356の前で倒れてる少女を発見。どうやら心臓発作を起こしてる様子で、すぐに救急車を呼びます。



倒れてたのは香織(大久保和美)という女子中学生で、どうやら身寄りは歳の離れた姉の由香(鈴鹿景子)だけ。心臓を患ってる妹にアメリカで手術を受けさせる為、由香は決して本意じゃない水商売で懸命に働いてるのでした。



由香を演じる鈴鹿景子さんは当時、文学座の看板女優で刑事ドラマへの客演も多数。今回、秀才役の三田村邦彦さんと直接の絡みは無かったけど、1年後に『太陽にほえろ!』#527でがっつり共演する事になります。

その頃、ミスター率いる殺人課は高級コールガールばかりを狙った連続殺人事件を捜査中。コールガールとの関係を隠蔽したい政治家に雇われて彼女らを殺害したのは、表向きは一流カメラマンで女たらしの、椎名という男。演じたのは、卑劣なエリートや卑劣な色男と言えばこの人!の藤木敬士さんw



で、椎名は夜の店で知り合った由香ともチョメチョメな関係。香織がアメリカで手術を受ける為の、金銭的な支援を全面的に引き受けるという、椎名の甘い言葉を由香は信じてしまったのでした。

そんな姉の献身に、香織は「お姉ちゃんばっかり可哀想!」と涙を流します。この『水戸黄門』や『必殺』シリーズ的な設定と展開、イヤな予感がします。



そう、相手は藤木敬士なんです。卑劣なんです。そんな口約束を守るワケがないどころか、由香が殺人課のミスターと接点を持った事実を知るや、今度は由香の口を封じるべく入院中の香織を拉致! そしてアジトへと誘き出し、姉妹まとめて抹殺しようとします。



もちろん、我らがミスターはすぐに姉妹の危機を察知し、殺人課メンバーたちを引き連れて椎名のアジトへ急行!



これまでのミスターなら、すぐさまマグナム44を取り出し、問答無用で椎名一味を皆殺しにする筈だけど、局の偉いヤツらに改革案を提出した以上、そうはいきません。

さて今回、ミスターは射殺の代わりにどうやって悪党を懲らしめるのか?

「人間のクズめっ!」



まずは渾身のダイナマイトどんどんパンチを120発ほど浴びせるのは、まあ当たり前。もちろん、そんな程度じゃ藤木敬士の卑劣さは矯正できません。本番はこれからです。

「チャンス、こいつを運べ」

この手のチカラ仕事は本来ならウルフの担当だけど、幸か不幸か今後はチャンスの独壇場です。



さて、ビルの屋上まで椎名を運ばせたミスターが、いったい何をやらかすつもりなのか? もうお分かりですね。

「チャンス、放り投げろ」

「ええっ?」

「そんなクズは捨ててしまえ」

「…………」

なるほど! 自分の手は汚さず、部下にやらせちゃうとこが実にミスターらしい!w もちろんチャンスは逆らえません。

「ど、どうなっても知りませんよ!?」



というワケで藤木敬士、一巻の終わりですw 天罰だから仕方ありません。

まぁ、これじゃ偉いヤツらの神経を逆撫でしちゃうだけですからw、もちろんビルの下で警官隊が巨大マットを用意してました、っていうフォローは入ります。テレビというメディアの限界ですね。

だけどマグナムとは違った形で、ミスターの恐ろしさをしっかり見せてくれたスタッフの心意気に拍手!

言うまでもなく、由香&香織の姉妹は無事に救出されました。アメリカで手術を受けられるか否かには言及されなかったけど、きっと何とかなると信じるしかありません。



なお、今回のラストシーンで田丸刑事部長がミスターのマンションを訪れ、脚が不自由なミスターの妹=可奈子(里見奈保)に水着をプレゼントします。

可奈子役の里見奈保さんは、後に芸名を本名の「鶴田さやか」に改名されます。そう、田丸刑事部長を演じる鶴田浩二さんの実の娘(三女)で、このシーンが本作初のツーショット共演となりました。

鶴田さやかさんは他に『大空港』#06や『あぶない刑事』#49、『はぐれ刑事純情派』第4シリーズ#20、『愛しの刑事』#12、『さすらい刑事旅情編VI』#15 等の刑事ドラマにゲスト出演されてます。


 


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2 コメント

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Unknown (適当谷損気)
2022-02-07 16:13:47
>>路線変更
同じテレ朝の番組である「西部警察」は、この頃はまだハード(悪く言えばバイオレンス)路線でしたし、殺人課が大門軍団の二番煎じか劣化コピー(と言ったら酷すぎか)みたく見られてたのも大きいのではないでしょうか

ところで、この話、殺人課が犯人の注意をそらすために覆面パトカーを爆破してしまう(!?)というとんでもない展開があるんですよね
大門軍団だってそんなことやらないぞ(笑
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Unknown (harrison2018)
2022-02-07 18:50:17
車、爆破してましたねw あれは犯人側の車だと思ってましたが、覆面パトカーでしたか! どうかしてますねw
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