いきなりレトロになります。今までこのブログで取り上げてきた中で、最も古い作品になるかと思います。
『警視庁物語』は1956年から’64年にかけて全24作が公開された、東映製作による人気シリーズ映画。
先月からCS東映チャンネルで順次放映されてるんだけど、ひたすら刑事たちの捜査過程を追うだけの内容でドラマ性がほとんど無く、レビューしようも無いと思ってスルーしてました。
が、このシリーズが『特別機動捜査隊』から『特捜最前線』へと繋がっていく東映刑事ドラマの原点オブ原点であり、『七人の刑事』等にも多大な影響を与えてると知り、無視するワケにいかなくなった次第。
それと、このシリーズのうち16本が約50分に再編集され、1967年1月から4月までNETテレビ(現テレビ朝日)系列の日曜夜8時枠で放映されてたんですよね! つまり連ドラにおける刑事物の古典でもあるから、是非とも記録として残さなきゃいけない。
本作のキャラクターたちがそのまま登場する、続編的な後番組『刑事(でか)さん』は完全にテレビのオリジナル作品で、それが『特別機動捜査隊』や『五番目の刑事』等に枝分かれしていくんだから、やっぱ無視しちゃいけない重要作です。
今回取り上げた『警視庁物語/追跡七十三時間』(脚本=長谷川公之/監督=関川秀雄) は、1956年公開のシリーズ第3作。
Wikipediaに記されたテレビ版の放映リストに『追跡七十三時間』のタイトルは無いんだけど、改題されてるかも知れないし、とにかく古いもんでそのリストも正確かどうか判りません。
いずれにせよ70年近く前の作品がこうしてレストアされ、クリアな画面と音声で鑑賞できることが何より素晴らしい! どんな作品でもちゃんと遺しとくもんです。
事件は、深夜のガソリンスタンドで店主が射殺された件を発端とする、同じ軍用拳銃を使った連続殺人。まずは拳銃の出処を探り、オトリ捜査で売人を捕まえ、そこから糸を手繰り寄せるように地道な捜査で、犯人へと辿り着く。
まさに「事件捜査とはこういうもの」っていう教科書みたいな内容で、当然カーチェイスも銃撃戦も無く、ましてや取調べで容疑者をぶん殴ったりはしません。’70年代の刑事ドラマだけ異常なんですw
じゃあ一体なにを楽しめばいいの?って話だけど、たぶん当時は警察がどんな過程で捜査を進めるのか、ほとんどの一般市民は知らなかったでしょうから、それを刻銘に見られるだけで充分面白かったのかも知れません。
で、捜査過程なんかとっくに見飽きてる現在の我々からすれば、当時の人々が見飽きた昭和中期の風景や文化、風俗こそが新鮮で面白い!
「ホステル」とか「ベットハウス」とか、現在は耳にしない単語が色々出てくるし!
屋台で売ってる焼きそばが一杯60円で、それを百円札で払ってるし!
極めつけは焼鳥キャバレー! そんな風俗があったとは全然知りませんでした。
拳銃のことを「ハジキ」じゃなく「パチンコ」って呼んだり、他にも「枕さがし」とか「パンパン」とか、すっかり死語になった俗称が普通に使われてて新鮮です。
そんなこんなで刑事たちが犯人の隠れ家に辿り着き、逮捕する瞬間がクライマックスになるのは今も昔も変わりません。
が、捕まった犯人が泣きながら犯行動機を語ったりする描写はなく、あっけなく連行されてジ・エンド。
替わりに挿入される罪状と刑の内容を記したテロップに、創り手(というより警視庁?)からのメッセージが感じられます。つまり、最後は絶対こうなるんだから、バカな真似はすんなよと。
刑事ドラマっていうのは本来、警察のプロパガンダが目的で生まれたのかも知れません。いや、確実にそうでしょう。
警視庁捜査一課の刑事たちに扮したのは、永田靖、神田隆、南原伸二、須藤健、山本麟一 。
私は知らない俳優さんばかりの中、モグリの医者役で花沢徳衛さんが……
そして犯人役で加藤嘉さんがゲスト出演されてます。
いずれも’70〜’80年代の映画やドラマで老人役を数々演じられた名優だけど、花沢徳衛さんは’56年当時の方が老けて見える!w
女優さんは不忍鏡子、谷本小夜子、藤里まゆみ、稲植徳子といった方たちがご登場。
中でも犯人の内妻に扮した星美智子さんが、ちょっとセクシーな姿を見せてくれて印象に残ってます。
1935年から2013年に至るまで、物凄い数の作品に出ておられる大ベテラン女優で『特別機動捜査隊』には30回近くゲスト出演されており、今もご健在です。
コルトM1903の通称32オートだと思いますが
これ多分実銃ですね
ハドソンが日本初のモデルガンモーゼル軍用を出すのは1962年ですから
モデルガンではありえないし
日活コルトはこんなに似ていません(笑)
警察の協力のもと作られた作品なんでしょう
発砲シーンはあったのですが、ブローバックはしてなかったので、電気発火仕様みたいです。