ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『警視―K』#04

2018-11-21 17:10:16 | 刑事ドラマ'80年代





 
☆第4話『LiLi』(1980.10.28.OA/脚本=高際和雄&勝 新太郎/監督=勝 新太郎)

睡眠薬を飲まされ絞殺された資産家の、清楚で物静かな未亡人(ジュディ・オング)に、賀津警視(勝 新太郎)がマジ惚れしちゃうというエピソード。

本人は必死に隠してるんだけど、やたらソワソワするわ急にオシャレになるわで、周囲の人間にはバレバレというお茶目さw

タバコの煙を未亡人が嫌がるのを見るや、自分の手のひらでタバコを揉み消し、真顔で「熱くないです」ってw

石原裕次郎さんや渡 哲也さんには決して似合わない、勝新さんだからこそ成立するストーリー、勝新さんだからこそ笑えるユーモアですよね。

で、未亡人はこう言います。

「主人は、私が殺したんです。私が殺したようなものなんです」

夫は結婚記念日に浮気相手の「リリ」に殺されたらしく、全ては夫を浮気に走らせた自分のせいだと思ってる未亡人に、賀津警視は同情し、ますます肩入れしちゃう。

ところが! リリという女の所在がさっぱり掴めず、未亡人には事件当日のアリバイが無い。本当にリリという女は存在するのか?

やがて、未亡人の様子に異変が表れます。急にヒステリックな声を上げたり、独りで誰かとブツブツ会話していたり……

そして賀津警視は、リリを名乗る女からクラブに呼び出されます。目の前に現れたのは、派手なメイクをして妖艶な笑みを浮かべる、あの未亡人なのでした。

そう、夫を殺したのは、言葉通り彼女自身だった。資産家の妻として生きる為にずっと抑えて来た、彼女の淫らな本質がリリという別人格となって現れたワケです。

「結婚記念日だから、勝負したの」

彼と最期の時を過ごしたのは未亡人ではなく、自分だと言って勝ち誇るリリに、賀津警視は哀しく投げ手錠を放るのでしたw

刑事が惚れた異性が実は犯人だった!っていうネタは定番なれど、そこに多重人格という病理的な問題を絡ませた脚本が秀逸で、『警視―K』にしては解り易くw、見応えがありました。

深刻で悲劇的なストーリーなのに、決してウェットにならない勝新演出も素晴らしいと思います。

未亡人に鼻の下を伸ばした賀津警視に、娘の正美(奥村真粧美)がヤキモチを焼いて風邪引きを装い、賀津がオタオタと心配するラストシーンも微笑ましい。

聖女と悪女を巧みに演じ分けたジュディ・オングさん(当時30歳)の芝居も素晴らしかったです。

『エーゲ海のテーマ~魅せられて』を大ヒットさせた台湾出身の歌手として知られるジュディさんだけど、元々9歳の時に劇団ひまわりに入団された女優さんで、私もテレビ放映で観た記憶がある'60年代の劇場版アニメ『サイボーグ009』2作で003=フランソワーズを演じられた声優さんでもあります。

台湾映画、アメリカ映画にも数多く出演され、'79年に島田陽子さんがヒロインを務めて話題になったアメリカの大ヒットドラマ『将軍/SHOGUN』も、最初はジュディさんにオファーが来たんだそうです。(『魅せられて』大ヒットによる多忙で断念)

日本では時代劇への出演が多く、刑事ドラマは『非情のライセンス』や『はぐれ刑事純情派』『警視庁捜査一課長』等にゲスト出演されてます。近作だとレギュラー出演された『銭の戦争』『嘘の戦争』が印象深いですね。

ついでに書くとw、このエピソードには勝新さんが主宰された「勝アカデミー」の第一期生=大柴 亨さんもチョイ役でご出演。後のルー大柴さんです。
 

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