2023年春シーズン、TBS系列の日曜夜9時「日曜劇場」枠でスタートした、黒岩勉 脚本による刑事ドラマ。
アメリカから期間限定の交換研修生として来日した、FBIで「ラストマン(最後の切り札)」と呼ばれてるスーパー捜査官はなんと、まったく眼が見えないというスーパーハンデを背負っていた!
全盲であるがゆえに研ぎ澄まされた聴覚、嗅覚、そして状況分析力で、誰よりも早く的確に捜査を進めるFBI特別捜査官=皆実広見(みなみ ひろみ)に扮するのは、実に4年ぶりの連ドラ出演となる、福山雅治。
そんな皆実捜査官のアテンドを命じられた、警察庁人材交流企画室の室長でありつつ警視庁捜査一課に務める警部補=護道心太朗(ごどう しんたろう)に、たぶん連ドラにおける刑事役は初めての、大泉 洋。
護道が所属する捜査一課佐久良班で指揮をとる警部補=佐久良円花(さくら まどか)に、吉田 羊。
皆実&護道コンビに敵意を持って足を引っ張る捜査一課の凡庸な刑事たちに、松尾 諭、永瀬 廉、奥 智哉。
アイカメラとパソコンを駆使し、遠隔で皆実捜査官の「眼」となってサポートする、捜査支援分析センター(SSBC)の技術支援捜査官=吾妻ゆうき(あがつま ゆうき)に、テレ朝『ケイジとケンジ』の続編よりも日曜劇場を選んだ、今田美桜。
皆実捜査官が日本にいる間、滞在するホテルで使用人を務める難波望海(なんば のぞみ)に、青森県ご当地アイドルから全国区に躍り出た、王林。
そして代々警察庁長官を歴任する護道ファミリーの長男で、護道心太朗の兄である警察庁次長=護道京吾(ごどう きょうご)に、上川隆也。
京吾と心太朗の父親で現在は隠居生活を送る、元警察庁長官の護道清二(ごどう せいじ)に、寺尾 聰。
この護道ファミリーがどうやら、過去に皆実のファミリーと因縁があったようで、恐らく皆実捜査官を全盲たらしめた少年期の事故(事件?)と深く関わってる。
皆実捜査官が来日した本当の目的はその真相解明(あるいは復讐?)であり、心太朗はそれを知らずに彼とバディーを組んでる。
……といった後付けの設定遊びなんか、まったく不要だと私は思うんだけど、視聴者の興味を1クール引っ張るため(というかスポンサー連中を安心させるため)の言わば強制保険だから、受け入れなきゃしょうがない。
別にそんなの無くたって1話1話が面白けりゃみんな観るだろうに、ほんとテレビ屋さんたちは病気だと思います。
ともあれ、初回はたいへん面白かったです。有り得ないと言っちゃえばそれまでだけど、まったく眼が見えない刑事が現場に出てバリバリ捜査し、時に凶器を持った犯罪者と対峙するという、このシチュエーションに勝るスリルはそうそう無い!
で、盲導犬替わりに大泉洋さんがついて廻るというw、そんなシチュエーションだけで抜群の楽しさがあるし、おまけに今田美桜ちゃんが常に無線で「繋がって」くれてるなんて! 雅治めえええーっ!!💨
そうして全盲というハンデをポジティブに変換し、むしろ強味にさえしちゃう皆実捜査官のしたたかさが実に小気味よい!
そこに凡百の刑事ドラマ=謎解きゲーム番組とは違う明確なメッセージが感じられて、私は大いに気に入りました。日曜劇場なのに!
そのテーマが最もストレートに表れてたのが、クライマックスにおける犯人逮捕のシーン。
安倍元総理の射殺犯を彷彿させる(つまり自身の境遇を恨んで犯行に及んだ)若い爆弾魔に、護道刑事は「甘ったれんな!」って一喝するんだけど、皆実捜査官は優しくこう諭す。
「確かに今の社会は、弱い人は要らないという考え方です。でも、排除された人たちにも、やれる事はあります。それを見つけ出すのは、とてつもなく大変な事ですが、助けてくれる人が必ずいます」
「私は、多くの人に助けられて、生きて来ました。世の中には、不必要な人間なんて、いないんです」
これを『相棒』の杉下右京とかに言われると、説教臭いし綺麗ごとにしか聞こえないけど、全盲の捜査官に言われちゃうと納得するしかない。
まさに、このメッセージを若い世代に伝えるべく生まれたキャラクターなんだと感じました。いや、若くない私のハートにだって刺さりましたよ。日曜劇場なのに!
で、その直後のシーンにおける、皆実&護道の掛け合いがまた秀逸! さっき皆実が犯人に言った言葉の優しさに、ちょっと面食らった護道が言うワケです。
「驚きました。アメリカの警察はもっとドライかと思ってましたよ」
「あれはマイクの先にいる人たちに聞かせていたんです。ああいうの好きでしょ、日本人は」
「…………」
「これで私の好感度は爆上がりです」
「……意外と腹黒いんですね」
「ハンディキャップのある人間がみんな聖人君子だと思ったら大間違いです。私たちは特別でも何でもありません」
「…………」
「どこにでもいる、ごくありふれた人間です」
これで私は皆実広見というキャラがめちゃくちゃ好きになりました。おかしいな、日曜劇場なのに!
福山雅治がよく喋り、大泉洋が受けに回ってる構図もまた新鮮でイイ!
まあ、主役コンビを目の敵にする捜査一課の描かれ方がくそワンパターンでつまらんし、前述の「過去の因縁」設定にも辟易したりするけど、それ以外はホント素晴らしかったです。日曜劇場なのに!
セクシーショットはもちろん、満を持しての今田美桜さんです!
ただ、初回はたぶん、これまでに無かったキャラ設定がとにかく新鮮で面白かった、っていう側面があるので、次回以降それをキープ出来るかどうか、お手並み拝見です。日曜劇場の底力を見せて頂きたいですよね。
見るつもりはなかったのですが ここの文章を読んで
これは是非見なければ!と思い 見逃し配信で見ました。
めちゃめちゃ面白かったです。
福山さんの できることは スーパーマン並みにできるけどできないことは人よりできない、 誰かの手を借りなければできないことが多いという設定最高です!
日本人なのに高級ホテル在中設定やアメリカの特別捜査官的なキャラづけも驚くほど違和感のない福山さんはもうさすがです、人間を超えていますね。
テーマの方も ちょうど今の時代、絶望してしまったいじめられっ子が命がけで復讐してくるという、多分これから増えるであろう事例だと思うので他人ごととは思いませんでした。
それにしても 大泉さんは本当にうまい役者さんですね。
福山雅治さんのアニメ的存在をさらに強く成立させているのは大泉さんがあってこそだと思います。
ダメ人間もエリートも熱血漢も違和感なくできる素晴らしい俳優さんだと思います。
今後もスーパーマンだけど毎回常に大ピンチを意識させる福山劇場、とても楽しみです!
ご紹介本当にありがとうございます!