2000年の春シーズン、TBS系列の金曜夜10時「金曜ドラマ」枠で全11話が放映された刑事ドラマ。
子供を誘拐し、警察や両親をあざ笑うかのようにクイズを出題して来る正体不明の犯人に、警視庁刑事部捜査一課のSITに所属する桐子カヲル警部(財前直見)が挑みます。
カヲルと無線越しにタッグを組む所轄署の白石巡査部長に内藤剛志、対立するインテリ課長の緒沢警部に生瀬勝久、その部下に温水洋一、佐藤二朗、誘拐された子供に当時6歳の神木隆之介、その母親に森口遥子、担任教師に鈴木紗理奈、そしてカヲルの過去を知るワケありの管理官=蓮見に竜 雷太が扮するほか、内山理名、星野真里、岡本 麗、浅香 唯、矢部美穂、光石 研、徳井 優、羽場裕一etc…といったキャスト陣が脇を固めます。
1話完結ではなく1クールかけて1つの事件を追うフォーマットと、女性主人公の病的なキャラクター、謎が謎を呼ぶゲーム的な展開、そして精神世界を描いたシュールな映像など、前年に同じ放映枠でヒットした『ケイゾク』(中谷美紀 主演) から笑いの要素を抜いて『沙粧妙子/最後の事件』(浅野温子 主演) とミックスさせたような世界観。
決して私好みの内容じゃないんだけど、独自の路線を突き詰めて新たなジャンルを開拓しようとする、創り手たちの心意気は素晴らしいと思います。素晴らしいんだけどしかし、これはちょっとやり過ぎたかも知れませんw
カヲルは人の心が読めちゃう特殊能力により精神を病み、ふだんは精神科に入院してる設定で、移動中の車内で自分の髪をバサバサ切るわ、イラついたら自分で髪を引っこ抜くわ、初対面の生瀬さんにいきなり真顔でグーパンチを食らわせるわと、そりゃ病院にいてもらわないと困っちゃうガイキチぶりを遺憾なく発揮。
しかも、かつて自ら堕胎して死なせた子供の幻影らしきものにも苦しんでおり、初回からいきなり『エヴァンゲリオン』後半みたいなカオス世界が展開しちゃう。
まだ主人公に感情移入できてない内からそんなもん見せられても……って思うし、人の心が読めるから病んでるのか、子供を堕ろしたから病んでるのかどっちやねん?とも思っちゃう。
盛り込み過ぎ&飛ばし過ぎで、我々視聴者が主人公に肩入れする隙間がない。謎解きに興味がない私にとって、そこが作品を観続けるか否かのポイントになりますから、この調子だとちょっとキツいです。
竜雷太さん演じる蓮見管理官のルックスや佇まいにも『エヴァ』の匂いがプンプンしてて、いよいよアニメ世代、ゲーム世代の感性が刑事ドラマにも反映されてきた実感があります。
私はゲームをやらないし、アニメは観てたけど『宇宙戦艦ヤマト』ブームあたり迄で『ガンダム』以降はほとんど観ておらず、やっぱり実写「テレビ映画」の感性が染み付いてますから、ちょっと肌に合わないんですよね。
まぁしかし、そんな自分の好みはともかくとして、似たような番組ばかりの団子レースになっちゃった今となっては、まだ各作品に強い個性があったこの時代が懐かしいです。やり過ぎ、飛ばし過ぎ、大いに結構!
なお、シリーズ物以外で2000年に放映された刑事ドラマは、この『QUIZ』と同じ春シーズンにフジテレビ系列・火曜夜10時枠で放映された『ショカツ』(松岡昌宏&田中美佐子主演、全12回) ぐらいしか他に見当たらず、ジャンル全体としては冬の時代が続いてる感じです。
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