ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『帰ってきたウルトラマン』#37

2018-10-11 13:22:36 | 特撮ヒーロー









 
☆第37話『ウルトラマン 夕陽に死す』

(1971.12.17.OA/脚本=上原正三/監督=富田義治/特殊技術=大木 淳)

たまたまCATVの放映を録画して観たエピソードが、あまりに壮絶な内容だったもんで、レビューすることにしました。

ちょうど3クールの締めくくりにあたる第37話ってことで、ウルトラマン(通称ジャック)に変身する主人公=郷 秀樹(団 時朗)の恋人、すなわちヒロインの坂田アキを演じる榊原るみさんと、その兄=健を演じる岸田 森さんが揃って降板するんだけど、その去り方がいくら何でも悲惨すぎて、子供がこんなの観たらトラウマ必至です。

いや、私も『帰ってきたウルトラマン』は小学生の時リアルタイムで観てた筈なんだけど、あまりのショックで記憶から抹消されてたみたいですw

地球征服を企むナックル星人が、邪魔なウルトラマンを排除する為にそのスペックを徹底研究し、ウルトラマンの必殺技を無効にする対策を立てると同時に、郷秀樹を精神的に追い詰めるべく坂田アキを狙うんですね。

で、秀樹へのクリスマス・プレゼントを買いに行った帰り道のアキを襲い、無理やり車に押し込み(宇宙船とかじゃないのねw)、それを止めようとした兄の健をまず轢き殺し、アキはそのまま拉致するのかと思いきや、ドアを開けて彼女を地面に叩き落とし、数十メートルに渡って引きずり回して、そのまま路上に放置し去って行くという残虐さ!

戦いには関わってない一般市民、それもまだ18歳のいたいけな少女を、そんな情け容赦の無い、しかも光線銃で撃ち殺すとかじゃなく、そんなリアルな方法で殺さんでも! 基本、こども番組なのに!w

確かに、より残酷に殺した方が秀樹を錯乱させるには効果的かも知れないけど、そもそも殺すより拉致して人質にした方が、ウルトラマンを倒すには手っ取り早いと思うんだけどw

好視聴率により放送延長が決定するも、他番組への出演を優先して契約更新しなかった榊原さんと岸田さんに対する、スタッフの怨念を想像させる作劇ですよねw

何はともあれナックル星人の作戦はみごと成功し、情緒不安定なまま闘いに挑んだウルトラマンは、完膚なきまでに叩きのめされ、敗北を喫します。

この時のウルトラマンのやられ方がまた、やけに生々しいんですよねw 怪獣ブラックキングにウルトラマンを羽交い締めにさせたナックル星人が、武器や飛び道具を使わずに、ひたすら殴る蹴るの暴行を延々と繰り返すという、あれは闘いじゃなくてただの「リンチ」ですw

BGMがまた、ピンチの時に流れる激しい曲じゃなくて、葬送曲みたいに悲壮なメロディーで、夕陽をバックにした映像もやけに美しく、この場面は大人の眼から観ても怖いです。(逆に、大人だからこそ怖く感じるのかも知れません)

ヒロインの殺され方にせよウルトラマンのやられ方にせよ、現在の放送コードじゃ100%NGだろうと思います。当時からして「これってどうなの?」って、みんな思ってたんじゃないでしょうか?

かくして、瀕死状態のままウルトラマンは磔にされ、あとは処刑の時を待つばかり。せっかく放送延長が決まったのに、主人公はこのまま死んでしまうのでしょうか!?

(んなワケないんだけど、つづく)

殺された榊原るみさんは、当時19歳。同じ年に映画『男はつらいよ 奮闘篇』でマドンナを演じ、青春ドラマやホームドラマ、時代劇でも長きに渡って活躍されてますが、刑事ドラマへのご出演は意外に少なく、Wikipedia情報によれば『夜明けの刑事』『華麗なる刑事』『特捜最前線』に1回ずつゲスト出演されたのみ。なんだか勿体ないことです。

なお、惨殺された坂田アキは2008年の映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』にて再登場し、榊原るみさんと団時朗さんがちゃんと出演されてます。この映画で描かれたのはパラレルワールドであり、アキは死なないで郷秀樹と結婚生活を送ってる設定なんだそうです。なんか、ホッとしましたw
 

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『仮面ライダー』#04―2 | トップ | 『帰ってきたウルトラマン』#38 »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (キアヌ)
2018-10-12 09:09:22
生後、タローやレオはやっていたようですがほぼ記憶になく、忘れもしない物心がはっきりして初めて見たのが、小学生のとき再放送された帰ってきたウルトラマンでした。

たしか平日の4時から毎日放送されていたので、学校が終わったら飛んで帰っていました。

昔の特撮番組はとにかく陰影が濃く、大人の世界をのぞき見てるようでドキドキしました。

この話ももちろんウルトラトラウマで(笑)、小学生時代のトラウマといえばの原作版デビルマンと、このエピソードがダントツです。

当時はとにかく怖かった思い出でしかなかったですが、青年になって改めて見たとき、(やっぱりエグいのはエグいですがw)敵の攻撃方法、ありえない絶望、敗北、2大ヒーロー登場、勝利というものすごく多彩でバランスのとれた構成に驚愕しました!

見せ方でいえば昭和ウルトラヒーローで一番好きです!



今考えても私達の子供時代は今なら普通にアウトなあしたのジョーやベルばら、999が子供番組として放映されてたわけですから作り手の皆様のど根性をすごく感じますし、感謝しています!
返信する
>キアヌさん (ハリソン君)
2018-10-12 10:43:21
当時のテレビ番組は、良くも悪くも我々の人格形成に大きな影響を与えてますよね。このエピソードでは暴力の恐ろしさを学んだかも知れません。もしかすると、好戦的という世間の批判に対するアンサーだったのかも?

現在のテレビ番組は、そういう責任を負うことから逃げてる感じがしますね。それもまた、世間が何でもかんでもテレビ番組のせいにした結果なんでしょう。番組をつくってるのは視聴者なんですよね。
返信する
Unknown (3282811085643)
2019-03-30 23:07:46
帰ってきたウルトラマンのネーミング問題
帰ってきたウルトラマンて、未だにファンの間では帰マンやジャック等様々な名前で呼ばれてますが、何故放映当時にハッキリとした名称を付けなかったんですか?最初の構想では初代ウルトラマンが帰ってくるという設定だったそうですが、実際は初代ウルトラマンとは別人として制作されたのだから、放映開始前にしっかりとした名前を付けないとおかしいと思うんですけど…
自分は平成世代なのでジャックの方がしっくりきますが、帰マンや新マンはウルトラマン個人の名前として相応しいのかなぁ…? 他のウルトラマンにはセブンやエースとか格好いい名前があるのに…
自分がもしリアルタイムで試聴していたら、帰マンや新マンとかの名前じゃなくて、初代ウルトラマンとは別人ならハッキリとした名前を教えてくれよ! と疑問を制作者にぶつけていたと思います
でもジャックという名前は放映終了後かなりたってから決まったことから、当時の制作者や試聴者は帰マンや新マンという名前でも、特に疑問を感じなかったてことですよね?
どうしてベムスターやナックル星人とブラックキングの時に帰ってきたウルトラマン(後のウルトラマンジャック)の名前が付かなかったのですか?
こんな質問ですが、回答よろしくお願いします
因みに帰ってきたウルトラマンがウルトラマンジャックに命名されたのが1984年の映画「 ウルトラマンZOFFY ウルトラマンの戦士VS大怪獣軍団」です
返信する
Unknown (harrison2018)
2019-03-30 23:46:19
私はそれほど特撮番組に詳しくないので、実際の理由はまったく知らないのですが、おそらく、あの当時は『ウルトラマン○○』という名前をつける発想そのものが無かったんだろうと思います。

今回のエピソードで初代マンとセブンが再登場するまで、世間では『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』はまったく別世界の物語として認識されてましたし、スタッフもそのつもりだったはずです。

つまり『帰ってきたウルトラマン』は『ウルトラマン』の続編ではなくて、リメイクだった。「ウルトラマン」はそれぞれの番組に1人しか存在しないワケで、だから他に名前をつける理由が無かった。「新マン」や「帰マン」は2つの番組を区別するためにファンが勝手にそう呼ぶようになっただけで、番組を創った人たちはただ「ウルトラマン」としか呼んでなかった。

で、今回の初代マン&セブンの再登場がウケたから、それを何度か繰り返す内に「ウルトラ兄弟」という設定が出来ていき、そうなると「ウルトラマン」が二人いる事になってややこしいから、新しい方を「ジャック」と名付ける事にした。

という事だろうと私は思いますが、真相は分かりません。もっとコアな特撮ファンの方に聞いて頂ければ良いかと思います。
返信する

コメントを投稿