ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『五番目の刑事』#02

2019-01-15 00:00:33 | 刑事ドラマ'60年代









 
☆第2話『けだもの狩り』(1969.10.9.OA/脚本=石森史郎/監督=永野靖忠)

原田(原田芳雄)が隣町の所轄署との合同捜査でコンビを組んだ、ベテランの鈴木刑事(信 欽三)が何者かに襲われ、拳銃を奪われてしまいます。

犯人の顔は見なかったものの左利きであることが判明し、鈴木は家出したまま行方不明の息子=武(寺田 農)に疑いの眼を向けます。最近あちこちで借金して回ってるらしい武も、やはり左利きなのでした。

で、武と恋仲らしいソープ嬢の春恵(太地喜和子)と会った鈴木は、彼女が妊娠していることを知り、その為に武はカネが必要になったんだろうと疑惑をますます募らせます。

そうこうしてる間に鈴木の拳銃を使った殺人事件が連続発生。武のアパートを突き止めた鈴木は、机の引き出しから銃弾の空薬莢を見つけてしまうのでした。

一方、事件の背後に暴力団どうしの抗争が絡んでると睨んだ原田は、その線から捜査を進め、笹内(石川徹郎)という男に眼をつけます。笹内は、ソープ嬢・春恵の実の兄だった!

果たして、真犯人は武なのか笹内なのか? それぞれが捜査により犯人の居所をつかみ、二人で踏み込む鈴木と原田。そこに潜んでいたのは果たして……?

暗闇から狙撃され、必死に「銃を捨てるんだ武!」と叫ぶ鈴木をかばって撃たれたのは、息子の武その人でした。

そう、真犯人は笹内だった。武は恋人の兄である笹内の犯行を知り、鈴木に相談するつもりだったのに、父は息子が自分を恨んでるものと思い込み、犯人だと決めつけてしまった。

「父さん……春恵のこと、頼むよ……あの子は父さんが思ってるようなアバズレじゃない」

そう言って武は、涙を流す鈴木の腕に抱かれ、息を引き取るのでした。

これもまぁ悲惨な話だけど、ゲーム感覚で作られた昨今のドラマや漫画みたいな陰湿さは感じません。そこに描かれてるのは父と息子の確執、ありがちな心のすれ違いであり、こんな事にならないようコミュニケーションを大切にしようっていう創り手のメッセージでしょうから、ちゃんと魂がこもってます。

一番可哀想なのは、恋人(そしてお腹にいる子の父親)を失い、同時に凶悪犯の妹になってしまった春恵で、原田がその事実を彼女に伝える無音のラストシーンがとても切ないです。

演じる太地喜和子さんは当時27歳か28歳くらいだけど、妖艶さと純朴さを兼ね備えた少女っぽいエロ可愛さで、二階堂ふみさんにもよく似てて、萌えますw

この僅か1年後にゲスト出演される『太陽にほえろ!』第11話では、実年齢より上のアバズレ人妻をこれまた違和感なく演じ、大女優の凄みを見せつけてくれます。ほんと素晴らしい女優さんです。

そして寺田農さんもお若い! いや、信欽三さんの息子役にしては大人っぽ過ぎるんだけどw そもそも主演の原田芳雄さんがとても30歳手前とは思えぬ貫禄ぶりですw

ストーリーの主役は完全にゲスト=鈴木親子で、レギュラーの刑事たちが単なるナビゲーターに過ぎないのがちょっと残念だけど、それこそが『太陽にほえろ!』以前の刑事ドラマの特徴なんですよね。これがもし『太陽~』なら、長さん(下川辰平)あたりがゲスト親子の悲劇を目の当たりにし、自分の息子との距離感を見つめ直すみたいな「共感」のドラマが描かれた筈です。

時代は巡り、現在は刑事のプライベートを描かない作品が主流になってますが、そろそろ一周して『太陽~』型の刑事ドラマが復活してもいい頃かも知れません。

謎解きメインの『相棒』型ドラマは(あくまで個人的に)早く廃れて欲しいんだけど、日本の景気がもっと良くならない限り、やっぱ安上がりに作れる謎解きモノが幅を利かせ続けるんでしょうね。破滅です。
 

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2023-01-28 10:03:13
五番目の刑事
原田芳雄さんがとてもカッコよくって良かった。
最終回は続編が作れない終わり方でした。全員でやめちゃうなんてビックリすぎます。それだけに貴重な作品です。
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