☆第105話『香港―マカオ 警官ギャング』
(1977.5.21.OA/脚本=高久 進/監督=鷹森立一)
この1本のエピソード(正味45分)の中で、立花警部補(若林 豪)&速水刑事(森マリア)という2人の新レギュラーが初登場し、現職刑事の犯罪という大事件も描き、さらに香港ロケまで敢行!という、盛り沢山を通り越して、いくら何でも詰め込み過ぎなこの作劇が『Gメン'75』の特長です。
それだけじゃありません。銀行強盗グループの逃走車に撥ね飛ばされ、即死した主婦と幼児は立花警部補の愛する妻子だった!
さらに、その主犯格が現役の刑事だった! しかも彼は立花警部補の義弟(妹の旦那)だった!というw、二重三重に悪い偶然が重なりまくる悲劇も『Gメン』では日常茶飯事だったりします。
2003年に刊行されたムック『刑事マガジンVol.01』に切通理作さんが寄稿されたコラムに、こんな記述がありました。
「例えば刑事が犯人を追うと、自分の恋人が事件に関わっていて殺されてしまう。そこまでは『太陽にほえろ!』でも回によっては使う話かも知れません。しかし恋人を殺したのが自分の先輩刑事であり彼女の兄だった……というところまで1本の話で描くと『Gメン'75』独特のノリとなります」
「他にも、定年退職を前にした刑事が勤務最後の日の終わる時報とともに殉職するとか、刑事が退職する日に家出していた娘の死を知らされるとか、刑事が犯人を追いつめたらそれが娘の婚約者でつい射殺してしまったとか、現実的に考えたら万に一つもあり得ないような悲運が起きるのです」
「そしてラストは、親の目の前で子が殺されて終わったり、逆に子の目の前で親が殺されて終わったり、恋人にとりすがる女の姿で終わるなど、ゲスト主役にとって悲劇の頂点で終わる回が多かった」
『Gメン'75』とは、そういうドラマですw 私はそもそも辛気臭いのが苦手だし、その回しか出てこないゲストキャラに感情移入できないし、レギュラーの刑事たちが悲劇の傍観者でしかないのも気に食わない。だから好みに合わないワケです。
けれども、もはや現在のテレビ番組じゃ不可能であろう、この極端すぎる作劇が、今となっては新鮮で面白く感じちゃう。やっぱ、昭和サイコーです!w
そして若林豪さん、シブ過ぎ!
『太陽にほえろ!』の山さん=山村警部補(露口 茂)よりシブい刑事はいないだろうと思ってたけど、立花警部補(後に警部に昇格)も負けてないですね。拳銃を構える姿はまるでジェームズ・ボンド。
画像2枚目をご覧下さい。赤ちゃん用のがらがらオモチャを持ってもシブいのは、世界を見渡しても若林豪さんしかいませんw
相変わらずぼちぼち小説書いています…まぁそれは置いておいて。
Gメンのメンバーにしてもゲストにしても、毎回悲惨な目に遭い過ぎな気がしますね。
特に可哀そうだと思ったのが響刑事。
ある話では、友達の女子高生殺されて、その原因が「お前が妙なこと吹き込んだせいだろ!」と被害者遺族に罵られる。理不尽。
沖縄ではもっと悲惨で、事件関係者家族からよそ者扱いされて拒絶、不良米兵にレ●プされかける、ハブには噛まれる…。
もうね、いっぺん、Gメンを知り合いの精神科医に見せて「彼ら、うつ病になったりしませんかね?特に響刑事。」と聞きたい衝動に駆られます(←馬鹿)
若林さんがレギュラー入りする前に出られた「殺し屋刑事」でも若林さん扮する紅林刑事の奥さんとお子さんが殺されてしまいました。
定年間近の刑事で定年前に殉職する刑事役は長門勇さんがやられてました。
そういえばこの立花警部補登場編での犯人はキャプテンウルトラ・中田博久さんでしたね。中田さんが刑事や警察官で出てくると怪しいと思ってしまい最終的には悪い警察官という結末なんですよね(^_^;)