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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『警視庁捜査一課9係』シリーズ '06~'17

2019-05-28 00:00:26 | 刑事ドラマ HISTORY









 
テレビ朝日系列・水曜夜9時の刑事ドラマ枠で2006年4月クールからスタートし、2017年4月クールまで(『相棒』等と交互に)全12シーズンが放映された、テレビ朝日&東映の制作による人気シリーズ。

主演の渡瀬恒彦さんが急逝され、一旦ピリオドを打った後も井ノ原快彦主演『特捜9』としてリニューアル、2019年春現在シーズン2まで放映されており、まだまだ続きそうな勢いです。

このブログで刑事ドラマの歴史を振り返って来て、現在の刑事ドラマは完全に原点回帰してるんじゃないか?って思えて来ました。

1972年に『太陽にほえろ!』が登場する迄の刑事ドラマは、あくまで事件の顛末を描くものであって、主役は犯人や被害者だった。刑事はドラマの進行役であり解説役に過ぎなかったんですね。

それを逆転させ、初めて刑事の心情や成長をメインに描いたのが『太陽にほえろ!』であり、それ以降は『太陽~』の作劇スタイルから人情ドラマの部分を掘り下げた番組や、アクション面を強化した番組など、あくまで『太陽~』を原型にした(つまり刑事こそが主役になる)ドラマの時代が長く事になります

その流れを25年目にしてようやく変えたのが、1997年に登場した『踊る大捜査線』です。これ以降、刑事のプライベートはほとんど描かれなくなり、警察上層部と現場の対立を軸に、組織内のゴタゴタをリアルに描くドラマが主流になりました。

で、それを更に進化させつつ、上質な謎解きミステリーの要素も取り入れて、ひと味違うスタイルを築いたのが2002年スタートの『相棒』です。

『相棒』以降、レギュラー(つまり刑事たち)のキャスティングは地味にして、毎回のゲスト(犯人や事件関係者の役)にメジャーな実力派俳優を呼んで、犯人と被害者たちのドラマこそをメインに描く番組が、また主流になって来たように思います。

もちろん一概には言えなくて例外もあるんだけど、全体的な流れとしては、主役が「事件」→「刑事」→「組織」→「事件」と変遷して来たのは間違いないでしょう。

そんな流れの中にあってこの『警視庁捜査一課9係』シリーズは、基本的には主流に沿って「事件」を主役にしつつも、それを捜査する刑事たちの個性をとても細かく描写することで独自の面白さを醸し出してます。それが長年続いてる人気の秘訣かも知れません。

まずレギュラーの刑事達が(あまりに個性的すぎて)ちっとも一枚岩になってないのがユニーク。そもそも係長の加納倫太郎(渡瀬恒彦)に、チームをまとめる気がサラサラ無い感じなんですよねw

いっさい指示を出さず、部下たちが勝手に動いてるのを黙認し、報告を聞いたらサッサと出掛けて自分1人で捜査してる。何を思って動いてるのか、視聴者にもいっさい教えてくれないw シリーズ初期はそれで部下たちが困惑したり怒ったりもしたけど、シリーズが続くにつれ皆それに慣れちゃってるのがまた可笑しい。

コンビの組み合わせが常に決まってるのもユニークで、一番若手の浅輪刑事(井ノ原快彦)が係長と組まされ、いつも振り回されてるw

浅輪が係長の娘=倫子(中越典子)と恋愛関係で、その成り行きがシリーズを通したサイドストーリーになってるんだけど、これも刑事のプライベートをあえて描かない昨今の作品としては珍しい。

で、小宮山(羽田美智子)&村瀬(津田寛治)が洗練されたエリートコンビで、対照的に泥臭い青柳(吹越 満)&矢沢(田口浩正)のコンビと仲が悪いw

私は特に、やたらプライドの高そうな津田さんを、吹越さんが常におちょくってる様子がツボに入りましたw 後に登場する日テレの『デカワンコ』もそうだけど、この吹越さんの尖ったユーモアが作品のクオリティーを底上げしてます。

捜査ばかりのドラマでも、捜査そのものを面白く見せる工夫が、吹越さんを中心にしたレギュラーキャスト陣の力量によって行き届いてる。だから謎解きメインでも決して退屈しないんですよね。各々のコンビが勝手気ままに動きながら、それぞれ持ち寄った成果がラストで結実し、事件解決に至る作劇にはカタルシスも感じます。

また、シリーズが続いていく中で人間関係が変化するのもユニークで、特に現場を指揮する「主任」の座が(不祥事などにより)村瀬から青柳、そして小宮山へと変遷し、上下関係がいきなり逆転したりするのが凄い。シーズン1では新米だった浅輪=井ノ原くんが『特捜9』に至っては先輩たちを差し置いて主任ですからね。

考えてみれば、10年以上も続きながらレギュラーメンバーの入れ替えが(亡くなられた渡瀬さんは例外として)いっさい無い点が何より珍しい。ずっと同じメンバーだからこそ関係の変化も見所になって来るワケです。

とはいえ9係を取り巻くサブキャラクターはそのつど補強され、シーズン4から監察医の早瀬川(原沙知絵)、シーズン10から警視総監の神田川(里見浩太朗)がレギュラーに加わるほか、遠藤久美子、畑野ひろ子、浅見れいな、金児憲史、石橋保、中村俊介、田中実、豊原功輔、誠直也、名取裕子、佐戸井けん太、野際陽子、竹中直人etc…といった人たちが歴代のセミレギュラーを務めておられます。

渡瀬さんが亡くなられた時はさすがに続行はムリかと思ったけど、そのスピリットを浅輪刑事=井ノ原くんが受け継ぎ、加納係長は新しい任務に就いた設定で『特捜9』がスタートしました。

渡瀬さんの抜けた穴はとてつもなく大きいけど、そもそも上司の命令で動く連中じゃないもんでw、係長がいなくてもチームの在り方は何も変わらず。これからも自由勝手な捜査で我々を楽しませてくれそうです。
 
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『特命!刑事どん亀』最終回

2019-05-27 00:00:20 | 刑事ドラマ2000年~









 
☆最終指令 (第15話)『哀しき暗殺者』

(2006.7.17.OA/脚本=安本莞二/演出=村田 忍)

ナイフとライフルによる暗殺事件が頻発し、どうやら同じクライアントに雇われた複数の殺し屋が暗躍しているらしい。

で、その暗殺団の一員と思われる人物から、黒幕は心理学教授の神岡(若林 豪)であるとのタレコミがあり、その証拠を掴むべく極秘捜査課が動き出します。

ところが、神岡が主宰するセミナーのメンバーをチェックしてみたら、かつて警視庁で亀田(西田敏行)の部下だった女性=杏子(とよた真帆)がいたから驚いた!

杏子は狙撃班の優秀なスナイパーだったものの、事故で亡くしたばかりの夫との子供を妊娠しており、それを知った亀田に危険な任務から外され、出産を機に退職したのでした。

さらに調べてみると、その時に生まれた息子が難病で、杏子は莫大な治療費を1人で背負う境遇にある。恐らくその弱みにつけこんだ神岡が、彼女の射撃の腕を暗殺に利用してる。難病の子供を言わば人質にして……

怒りに燃えた亀田は、やはり射撃の名手である八重樫(的場浩司)を組織に潜入させ、神岡が狙う次のターゲットを探ります。

このところミスが続いた杏子に代わるスナイパーとして、神岡に見込まれた八重樫は次なるターゲットの資料を受け取るんだけど、その中身を見て極秘捜査課メンバー全員が驚いた! 神岡が次に消そうとしてるのは、喫茶店のマスターを装って極秘捜査課を束ねるファンキーな壮年男……そう、我らが「どん亀」こと亀田呑その人だった!

もちろん、田所(渡辺いっけい)が発明した麻酔弾を使って八重樫は暗殺の偽装を企てるんだけど、彼が撃つ前に亀田は胸に被弾し、倒れてしまいます。撃ったのは杏子。そう、全ては亀田を誘きだして暗殺する為に神岡が仕組んだ罠だった!

こうして主人公の亀田が殉職し、悪が勝利し、『特命!刑事どん亀』は悲しく幕を閉じるのでした。(完)


……なんて結末になる筈もなくw、神岡の目論みを全て察してた亀田は先手を打ち、密かに杏子を説得して暗殺を偽装してもらったのでした。

かくして神岡は逮捕され、暗殺組織は壊滅します。正義は必ず勝つ。現実はなかなかそうはいかないからこそ、せめてドラマ世界はそうあるべし。

その後、杏子がどうなったのか具体的には描かれてないけど、雰囲気から察するに別人として息子と共に暮らしていくみたいです。ノーマルな刑事物なら暗殺の罪を見逃すワケにいかないところだけど、本作は言わば裏警察の話でありスピリットは時代劇ですから、なんとなく許されちゃうみたいですw

でも、そんなファンタジーが許されたのも2000年代末あたりまで。このあと劇場版『相棒』の大ヒットにより生々しい現実描写がトレンドとされ、刑事ドラマから甘い理想が排除されていきます。

ゲストのとよた真帆さんはモデル出身だけあってスタイル抜群、黒づくめのスナイパー役でカッコ良かったです。ライフル銃を持ってサマになる女優さんなんてなかなかいませんからね。

また、この最終回にはラスボス=若林豪さんのボディーガードとして清水あすかさんも登場。『七星闘神ガイファード』『超神星グランセイザー』のヒロインにして鳳龍院心拳・護衛護身術17代目宗師。本作でも切れ味鋭すぎる空手アクションを見せてくれました。が、的場浩司さんにすぐ倒されちゃうという扱いは勿体無かったように思います。
 
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『特命!刑事どん亀』#07

2019-05-26 12:00:24 | 刑事ドラマ2000年~









 
☆指令7『姿なき爆弾魔』(2006.5.22.OA/脚本=伊藤 崇/演出=藤尾 隆)

今回の指令は連続爆破事件の解明と容疑者の確保。黒幕は長谷川初範さん扮するセラピストで、カウンセリングに来た患者から復讐したい相手を聞き出し、時限爆弾を渡して犯行に及ぶのを高みの見物するという、筋金入りのサイコパス。

極秘捜査課の柊警部補(沢村一樹)が精神疾患の患者を装って潜入するんだけど、その芝居が後にNHKのコント番組『サラリーマンNEO』で披露される「セクスィ~部長」そっくりでw、当時はまだバリバリの二枚目俳優だった沢村さんの、お笑い志向やエロ男爵としての本性が垣間見えて面白いです。

ほか、メカニック担当の田所警部(渡辺いっけい)が造ったチューインガム型のプラスチック爆弾を、そうとは知らずに宮内警視正(柄本 明)が食べちゃうベッタベタのギャグシーンも、今やすっかり名優&重鎮扱いされてる柄本さんが、水を得た魚みたいに活き活きと演じておられて微笑ましいですw

こう書くと全編おちゃらけた話みたいだけど、極秘捜査課とは別ルートで黒幕の正体に迫るジャーナリストが爆弾で暗殺され、その部下だった女性記者が復讐に燃えるという、いかにも時代劇的なシリアス展開も盛り込まれ、クライマックスのアクションを盛り上げてくれます。

セクシー画像はその女性記者に扮したゲスト=宮本真希さん、出演当時28歳。元・宝塚歌劇団星組の娘役で、退団後は '99年公開の主演映画『おもちゃ』(深作欣二監督) におけるヌード&体当たり演技で注目され、2019年現在まで堅実にご活躍中。『科捜研の女』シリーズや『相棒』シリーズ等、刑事ドラマにも多数ゲスト出演されてます。
 
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『特命!刑事どん亀』2006

2019-05-26 00:00:17 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2006年の4月から7月まで、TBS系列・月曜夜8時枠で全15話が放映された刑事ドラマ。制作はTBS&テレパック。

東京の下町にある喫茶店「パンジー」を隠れ蓑にした、警視庁の特命チーム「極秘捜査課」のメンバーたちが主に潜入捜査で難事件を解決していく、非常にストレートな勧善懲悪アクションドラマ。

それもそのはず、TBSの月曜夜8時と言えば当時の「ナショナル劇場」、つまり長年『水戸黄門』を放映してきた枠で、その視聴者(主にお年寄り)層をターゲットにした番組なんですね。

だから犯人はとことん悪いヤツで、その背景にどんな事情があろうともドラマでは一切描かれません。敵の正体は序盤ですぐ判っちゃうし、どんでん返しの類いも一切ありません。

アクションドラマはそれで良いのだと思います。若い時に観れば「ベタ過ぎるやろ!」って小馬鹿にしたかも知れないけど、今となっては「いや、これでいいのだ」って思っちゃうw

葵の御紋の印籠に代わって登場するのは、旭日章が刻まれた「赤い警察手帳」と「金の手錠」で、それをクライマックスの出動時にメンバー1人1人が手に取っていく場面は『必殺』シリーズのお約束シーンも彷彿させます。

アクションはほぼ格闘技で占められており、銃器を使うのは敵から奪った場合のみ。道具の類いは最後のトドメに使う警棒ぐらいで、もちろん間違ってもぶっ殺すようなことはしません。

そういう健全さも若い頃だと物足りなく感じたもんだけど、今となっては以下省略。私もトシを取ったという事です。

課長を務める「どん亀」こと亀田 呑(かめだ どん)警視に西田敏行、二枚目の柊警部補に沢村一樹、男勝りの速水巡査部長に黒谷友香、コワモテの八重樫警部補に的場浩司、見習いの秋山に猪野 学、メカニック担当の田所警部に渡辺いっけい、長唄のお師匠さんでもある藤島監察医に余 貴美子、マネージャーを務める宮内警視正に柄本 明、という極秘捜査課のメンバーに、捜査一課刑事の金田明夫、警視総監の里見浩太朗(初回のみ特別出演)といったキャストも加わります。

言うまでもなく、ストーリーは単純でもこれだけ芸達者なメンツが揃えば、その掛け合いを観てるだけでも(少なくとも我々お年寄りはw)充分に楽しめます。

特に西田さんと柄本さんのアドリブ合戦は必見レベルだし、刑事ドラマ初レギュラーの沢村さん&的場さんの切れ味鋭いアクション、『はみデカ』の頃より板について来た黒谷さんの刑事っぷり等、見所は多いです。

視聴率も二桁で安定してたみたいだし、昨今は若い連中より年配層の方がアクション物を好むのかも知れません。なのに、2008年の劇場版『相棒』大ヒット以降、刑事ドラマは謎解きゲーム一色に染められちゃう。

面白ければ謎解きでも何でも構わないけど、それ一辺倒じゃいくら年寄りでも飽きちゃいます。たまにはこんな番組もあって良いんじゃないでしょうか?
 
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『時効警察』シリーズ '06~'07

2019-05-25 12:01:33 | 刑事ドラマ HISTORY






 
『時効警察』は2006年の冬シーズンにテレビ朝日系列で全9話が放映された「金曜ナイトドラマ」枠の深夜ドラマ。制作はテレビ朝日&MMJ。

同じキャスト&スタッフによる続編『帰ってきた時効警察』は翌'07年、春シーズンに全9話が放映されました。

時効が成立した未解決事件を「趣味で」捜査する、総武警察署・時効管理課の警察官=霧山修一朗(オダギリジョー)の活躍を描いた、脱力系の謎解きコメディ。

霧山を囲む時効管理課のメンバーは、岩松 了、ふせえり、江口のりこ、小出早織。だけど霧山とコンビを組むヒロインは、なぜか交通課婦警の麻生久美子w さらに刑事課の豊原功補も絡んで来ます。

過去に何度か、チラッと観たことはあるんだけど、ちょっと「狙い過ぎ」の変人キャラや小ネタ、小芝居の数々が自分の好みに合わないと感じ、敬遠してました。

だけど最近、再放送であらためて第1話を観たら面白かったです。初回ゆえに小ネタ&小芝居がまだ抑え目なのかも知れません。

すでに時効が成立し、解いても仕方がない事件の謎を趣味で解く、オダギリジョーさんの飄々とした佇まいが心地良いし、彼に想いを寄せる麻生さんの腐女子ぶりがまた可愛いくて、萌えますw

三木聡、園子温、岩松了、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、そしてオダギリジョーetc…と、脚本&演出の顔ぶれがバラエティー豊かなので、回によって笑いのセンスが微妙に違い、自分の好みと合う合わないのバラつきがあるかも知れません。そういうファジーな部分も含めて楽しめば良いのだと思います。

2019年には更なる続編『時効警察2019』の制作も発表されました。またここでレビュー出来るのが楽しみです。
 
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