詩集「四季の風」夕愁白嶺<中宮寺> 2022年03月15日 | 四季の風 <中宮寺> 法隆寺夢殿の横手に 慎ましき中宮寺あり 中宮寺の弥勒菩薩は 母なりや 唯 唯 暖かき 微笑はその頬に 指先に いみじき優雅の香となりて ほのぼのと慈愛に煙立つ 現世の流転の人生に 破るる者 打勝つ者 尋ねきて憩はば 変らじきその眼差 青白き悩みに 赤熱の野心に 嘆き 驚きつつも 幾百星霜朝な夕な 弥勤菩薩は首傾げ 何人にも 唯 唯 暖かき