詩集「四季の風」夕愁白嶺<大和路> 2022年03月18日 | 四季の風 <大和路> 奈良から京都へ 朝もやの立込める大和路は 深閑と肌に冷たき 白壁作りの家を横切り 古びた寺院を横目に 朽ちこぼれし土壁に沿いて 大和路はさびさびと続きぬ 果てしなき流転の運命に 刻一刻と衰滅の大和の 堪難き息吹きを受けて 心ならずも眉をひそめぬ 新生の生命なき処 この路もまたかくて等しき 行く旅人の心も知らず 大和路はひたすら侘しきのみ