詩集「四季の風」夕愁白嶺<京都の雨> 2022年03月26日 | 四季の風 <京都の雨> 京都の小夜の雨は 泣きそぼつ女のように 青白きうなじにて 細々と降り頻きる さびさびと京都の雨は 優雅な京人形のように 色白くなまめきて 薄らと降り敷きる しとしとと京都の雨は 舞妓の小唄のように せつなげに悶えて 行く人の肩を打つ 京都の雨の心は 小町娘の袂のように 知染めた文の数々の 儚い慕情だと思う 京都の春雨は 泣きそぼつ女だと思う 京都の時雨は 泣きそぼつ女だと思う