古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

ドイツ映画『白ばらの祈り』 《ゾフィー・ショル 最期の日々》

2011年09月03日 16時50分45秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
 CS放送728チャンネルで7月末に映画を見ました。その映画への思いを引きずったままひと月が過ぎてゆきました。なにかを伝えようと思うのにかたちになりません。ブログや解説を勝手に引用して、映画の紹介をします。
 2005年制作で、日本では2006年に上映されました。国内外のいろんな映画祭で賞を受けています。
 1943年(昭和でいうと18年で、太平洋戦争で日本が敗退を重ねるようになったときです)2月、ミュンヘン大学の学生だった21歳のゾフィー・ショルがゲシュタポに逮捕されました。彼女が逮捕 ⇒ 取調べ ⇒ 裁判 ⇒ 両親と面会 ⇒ 処刑 になった2月18日からの5日間を、映画は史実にそってたどっています。実はベルリンの壁崩壊後、東ドイツに保管されていたこの事件の取調べ調書・裁判記録が発見されました。映画はナチス・ゲシュタポの手で記録された発言をそのまま劇映画として構成しています。事実のもつ重みが胸にこたえます。ネットの映画紹介を写します。


 第二次世界大戦下のドイツ・ミュンヘンで「打倒ヒトラー」を国民に呼びかけて、反ナチス抵抗運動をした学生グループ「白ばら」。そのメンバーであるゾフィーが、兄と大学構内で反戦ビラをまいているところを見つかり、逮捕され、反逆罪、敵対幇助・軍の士気喪失の企て等の罪によって人民法廷で死刑を宣告され、即日処刑されるまでの5日間を描いた作品。
 監督が連邦公文館に眠っていたゲシュタポによるゾフィーの取調べ調書を忠実に映像化しているので、この映画の見せ場であるゾフィーとベテラン尋問官のやり取りは創作では生み出せない言葉の重みがひしひしと伝わって圧倒される。
 主人公のゾフィーは地元ドイツでは時代を超えた有名人アンケートで4位にランク(30代以下の若者では1位)されるくらい神格化されているヒロインだが監督は取り調べ中に気丈に振る舞っていたゾフィーが死刑を宣告された後に牢獄で昂ぶった感情を抑えられずにひとり泣く場面を挿入することで、彼女を英雄として奉らない。それによって観客は彼女の痛みを身近なものとして共有でき、命を懸けて守り抜いた人間の尊厳が何であるのかを理解できるのだ。
 処刑室に連行されてきたゾフィーを、物でも処理するように遅疑逡巡することなくギロチンで斬首するラストシーンに、国家の前ではいかに個人が無力であるかを思い知らされる。


 戦争の映画なのに戦闘場面や官憲による凄惨なリンチなど一切なくて、むしろ静かなやりとりだけが描かれています。史実の重みがずしりとこたえたままひと月、自分なりにあの戦争をめぐる思いをまた書くつもりです。
 5月、退職者の旅行で生野銀山を訪ねたとき、知人が『アソシエ・トモ』というブログで反戦の発信をしていることを知りました。同年輩の人が己の信念にしたがって行動していることに敬意を表します。そのブログをのぞいて見ると、来年度の中学校の教科書採択がすんだようです。そして社会の歴史の教科書では種々の圧力や思惑により、侵略戦争を是とする勢力が伸びているようです。
 ある本を読んでいたら「東京は石原老人のおもちゃになっている」と書いてありました。年寄りの思いつきや手なぐさみで首都の政治が行われ、大阪では維新の会とかで教育介入がすすんでいます。『白ばらの祈り』という映画をつくり、国民が高く評価し、多くの人々が見る国とのあまりのちがいに、ため息が出ます。
 ※ 映画はDVD化されており入手可能です。

 

 
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