古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

吉村昭『熊撃ち』を読みました。

2018年11月13日 06時00分51秒 | 古希からの田舎暮らし
 高齢になると本を読むのが遅くなります。数日かけて吉村昭の『熊撃ち』という小説を読みました。人間を襲って肉を食った羆(ひぐま)は、人間を襲うようになるのをはじめて知りました。
 この本は昭和54年の出版。ずいぶん古いです。しかし時間をかけて取材した事実が、引き締まった文章で書かれており、いまも圧倒的な迫真力をもっています。文庫本で長く読み継がれており、これからも生き残る本です。
 ぼくが吉村昭という作家と出会ったのは遅く、三木市に移り住んで、図書館で借りた大型活字本『破獄』を読んでからです。彼の「自分の書く対象」と向き合う姿勢に感動しました。大袈裟に持ち上げたり、軽く扱ったりしない。真正面から「一対一」で向き合う。
 
 吉村昭は昭和2年生れの作家です。日本が戦争に負けた年に〈18歳〉になっています。太平洋戦争(当時の呼び名は「大東亜戦争」)のはじまったときは13歳。(血湧き肉躍る)開戦の放送に熱狂したかどうか知りませんが、10代の魂に刻み込まれたあの戦争を生涯かかえて生きるしかありませんでした。
 ぼくより10歳年上の作家の人たちは、あの戦争をどのようにかかえながら生きたか。
 昭和2年生れの作家に、なぜか惹かれるものがあります。
 
   城山三郎 / 吉村昭 / 藤沢周平 / 結城昌治 / 

 「人間」と向き合う姿勢がちがう。「真摯な」向き合い方といえばいいか。
 こころをいろどるように、時間をかけて本を読んでいます。おもしろくなければひと休みしながら。
 

 
 
 
 
 
 
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