最近読んだ本。
梨木香歩 著
『ピスタチオ』(筑摩書房)
ピスタチオ
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2010-10
主人公のフリーライターの女性がたどる、生命と魂の物語。
飼い犬の子宮にできた塊から始まり、知り合いの不可思議な死を知ったことで、アフリカに降り立ち、現地の人々に崇拝されている呪術医を訪ねることになります。
精霊や魔術といった、超常的なものを信じるのではなくて、「人間が必要としてきた物」として冷静に見つめる主人公。
アフリカの地には適さないと思われたピスタチオの木が、物語を思わぬ方向へと導いていきます。
私の大好きな作家、梨木香歩さんらしい、自然と生命の関係にひたれる一冊。
吉野せい 著
『洟をたらした神』(弥生書房)
洟をたらした神―吉野せい作品集
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:1975-04
1988年(明治32年)生まれの吉野せいさん。
夫と共に福島の地で厳しい開墾生活を送る日々を綴ったノンフィクション。
肉体労働の毎日の中、子供を育て、食べ物を手に入れ、ボロの衣服に継ぎを当てる。
炭鉱労働者。戦争に食糧供出。貧しさの中でもがく人々。
つらい現実を生きながら、子供たちの生命の輝きをその行動と言葉の中に見つけ、人々の心情を観察し、時に不条理な事柄に耐えて拳を握る…
幼い娘が畑仕事の帰り道、なにげにこんなことをつぶやくのです。
何にもねえから、花煮てくうべな。
こちらに訴えってくる言葉の力。
私はこの本を読んで衝撃を受けました。
茨木のり子 著
『茨木のり子集 言の葉1』(ちくま文庫)
『茨木のり子集 言の葉2』(ちくま文庫)
茨木のり子集 言の葉Ⅰ(全3巻) (ちくま文庫)
価格:¥ 861(税込)
発売日:2010-08-09
茨木のり子集 言の葉2(全3巻) (ちくま文庫)
価格:¥ 861(税込)
発売日:2010-09-08
茨木のり子さんは1926年(大正15年)生まれ。
惜しまれつつも2006年にお亡くなりになりましたが、ちくま文庫のこれは全3巻からなる自選作品集。
第1巻には、敗戦時20歳だった自分を詠んだ「わかしが一番きれいだったとき」
第2巻には「自分の感受性くらい」
そして私はまだ読んでいませんが、第3巻には「倚りかからず」などの詩が収められいて、その他、エッセイなども読むことができます。
私が好きなのは第1巻に収められている「汲む」という作品。
戦中戦後、価値観の180度変わってしまった時代の中で、そこに生きる人々、女性、これからの社会を見つめて書かれた数々の作品。
自分の足で立つこと、自分で決めて、自分で行うことを選んだ茨木のり子さんの意志を感じることができる作品です。
この作品集からも、言葉の力を感じました。
ある意味、強烈に殴りつけられました。
茨木のり子さんの感受性が、とっても好きです。
いい読書ができました☆
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