夜の10時。コンビニで買った2リットル入りのペットボトルを飲みながらPCに向かっています。
暑い日が続きますが、今年も何だかんだでエアコン無し。
昼間はさすがにツライですが、夜なら窓を開ければ少しは涼しい風が入って来ます。
休日の昼間は本屋さんに避難。
読んだのは、読みたい! と思っていた村田沙耶香さんの『コンビニ人間』(文藝春秋)第155回芥川賞受賞作。
まずは読みやすい。
スラスラと読めます。
文体のせいもありますが、登場人物の感情表現がシンプルであまり複雑に考えなくていい。
そのくせ極端な設定で物語を書くので、コンビニという慣れ親しんだ日常が舞台なのにSF小説みたい。
10人産んだら1人殺せる人口調整のための殺人出産がシステム化している日本を描いた『殺人出産』(講談社)
人間は人工受精で産まれ生殖行為と快楽が切り離され、人工子宮で男性でも出産できる『消滅世界』(河出書房新社)
極端な設定はところどころに細かいほころびも見えますが、そんな細かいことは気にしないで書きたいテーマを書くのがこの人のスタイルみたいですね。
けっこう好きです。
今回の『コンビニ人間』では、「普通」がわからずに生きる一人の女性が主人公。
30代の普通の女の格好を学ぶためにコンビニで働く同じ年代の同僚のファッションを盗み見たり、周りのひと達の口調をマネたり。
何度も繰り返される「何でコンビニでアルバイト?」「何で結婚しないの?」という質問には「普通」の答えを妹に用意してもらったり。
なぜ小鳥が死ぬと悲しむ人間が焼きトリを美味しいといって食べるの?
小鳥の死は悲しいことだというのに、その墓にたむけるために平気で花を摘んで花を殺すことができるの?
よくわからないけれど、普通でいなければ家族が悲しむ。普通でいなければ社会から排除される。それは本意じゃない。
彼女に「普通」を教えてくれたのがコンビニ。
服装、あいさつ、言葉使い、すべてがマニュアル化されていて、それを守っていればその人は「店員」として認識される。
「仲間」と認めてくれる。
暑い日は冷たい飲み物がよく売れる。朝はサンドイッチにおにぎり。新商品は目立つ場所に。
商品はいつもきれいに並んでいなければならない。異物は取り除かれる。
そんな彼女の日常に小さなヒビが入り、ゆがみ、壊れていく・・・
誰でも他人に気遣い、遠慮したり我慢したり、近づきすぎてぶつかったり、遠すぎて届かなかったり、日々人間関係には苦労していると思います(苦笑)
割り切れないのが人間、矛盾しているのが人間、キレイに並ばないのが人間ですからね(笑)
もちろん小説は「比喩」なわけですし、現実の人間は小説に登場する人々よりもうちょっと複雑だと思いますが、「コンビニ人間」の視線で世界を見るのも面白い☆
楽しく読めました。
文藝春秋
発売日 : 2016-07-27
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