実写映画化が話題の角野栄子さんの『魔女の宅急便』が、版元を変えて角川書店で文庫化されましたね。
パラパラっと読みましたが、文庫版特典というか、あとがきも 解説もなくて、ちょっとガッカリしました。
これだと単行本で買った人は買わないって!
なぜそれがわからない角川文庫!
そしてなぜわからないハリポタ文庫化、静山社!!
同じくこの3月に文庫化された、伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』(双葉文庫)を読みました。
タイトルが楽曲のタイトルに由来するのは伊坂作品の定番。
軽妙な文体と飛び出た感性による比喩の数々♪
私はドカベンの不知火も、レオタードを着た美人三姉妹も知ってますよ!
しかし、主人公が五股をかけてて、その5人に別れを告げに行くって(苦笑)
いや、確かにそういう話っていえばそういう話なんだけれど、それだけで終わっていないのが伊坂幸太郎!
とっても面白いお話になっています。
この作品のそもそもの始まりは、太宰治の未完の小説『グッド・バイ』の続編か完結編を書かないか、という企画だったそうです。
ちなみに太宰治の『グッド・バイ』は、過去の愛人たちと別れるため、絶世の美人を自分の奥さんに仕立て上げ、「こんなにキレイな奥さんにはかなわないわ」と愛人たちに思わせて手を切るというお話(苦笑)
しかもこの絶世の美人が、大食いで怪力、声を出せばガラガラ声、部屋もゴチャゴチャという、実はがさつ女、という設定なんです(笑)
1人目の美容師をやっている愛人に「これが私の妻です」と紹介する男も男ですが(愛人は男が妻帯者だと知っています)、「妻の髪を切ってやって下さい」とお願いする男!(驚)
しかも腕がいいというその女性に対して、男と二人っきりになった時その「絶世の美人」は、「そんなに、うまくもないじゃない」と言いたい放題。
「バイバイ、ブラックバード」では、この「絶世の美人」がさらに強烈なキャラに変わっています!
太宰治の『グッド・バイ』は、2人目の愛人の所へ別れを告げに行く途中で終わっていますが、確かに続きが気になる作品。
「バイバイ、ブラックバード」では、主人公と女たちの出会いのシーンも描かれているのですが、これがよくできてる!
主人公が会いに行く5人の彼女もそれぞれ事情を抱えていて・・・・・・
笑ったり、泣いたり、しんみりしたり、クスッと笑ったり。
すべてがすべてスッキリ解決するわけじゃないし、(あれって結局どうなったの?)と思わせる、いわゆる「読者の想像力にまかせる」ところもあって、でもそんな放っぽり方も伊坂作品らしくて、まるで音楽を聴き終わって、その余韻にひたっているような読書感でした。
あー、面かった♪
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