かなり駆け足でしたが、
交響曲全曲を一通り聴いてみました。
どれも聴いていて楽しい曲ばかりで、
また驚くほどバラエティに富んでいました。
全集を買わない限り、
例えば第60番『うかつ者』なんて曲は
聴く機会はなかったと思います。
いや、まだ名前がついてるから聴いたかもしれませんね。
でも20番台、30番台の名前もついていない曲などは、
一生聴かなかったと思います。
一番印象に残っている曲は
第39番ト短調《木枯らし》(←勝手に命名。しつこく言い続けます)
です。
冒頭の印象的な短調の旋律を展開させて
最後まで一気に突き進む第1楽章は、
ハイドン先生の交響曲の中で
一番かっこいいのではと思います。
聴いたことがない人は是非一聴を!
ですが、何よりの収穫は大げさかもしれませんが
「音楽観が変わった」ということでしょうか。
クラシック音楽は主に交響曲を中心に、
ベートーヴェン~ブラームス~ドヴォルザーク~
チャイコフスキー~ブルックナー~マーラー・・・
といった標準的な道筋を辿ってきました。
その後、現代音楽を聴いたり、
遡ってモーツァルト、バッハを聴いたり・・・。
ハイドン先生の時代を過ぎると主に器楽曲は、
思想や精神性といったものの表現手段
という意味合いが強くなりました。
(私自身もそのような「付加価値」を
必要以上に求めていたような気がします。)
それに比べて
雇い主や聴衆を楽しませるために作られた曲は、
一段低く思っていたような気がします。
でもハイドン先生のおかげで音楽観は変わりました。
当時から聴衆に多くの作品が愛され、
今でも芸術性と独創性、そして親しみやすさで
聴く人を魅了する音楽史上稀有な大作曲家。
それがハイドン先生なのだと思います。