前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
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(一服ざる)

フランク 『ピアノ五重奏曲ヘ短調』

2010-03-17 20:56:23 | セザール君の作品
弦楽四重奏曲に続いて、フランクのピアノ五重奏曲ヘ短調を
聴きました。

この作品は晩年の傑作群の中では最初期の1879年に
作られました。


フランクの作品は総じて"渋い"ものが多いですが、
それでも交響曲などは終楽章は長調に転じて明るく締めくくられます。

ところがこのピアノ五重奏曲は違います。
言葉は悪いですが徹底的に"救いがない"というか、
最後まで暗いまま終わります。
初めて聴いたときは、かなり驚きました。


特に終楽章(第3楽章)は、何かに追い駆けられているような、
危機が迫りくるような恐怖感を覚えます。

"思索的"とか"叙情的"とか言われることもあるようですが、
私には"恐怖"、"危機感"という風にしか感じられません。
(もちろん「名曲」であることには違いないですが)


私のお気に入りの演奏、
ヤナーチェク四重奏団&エヴァ・ベルナートヴァ(P)が
特にそういう雰囲気だからかもしれません。
(録音の古さも影響しているかも・・・)




ところで、ピアノ五重奏曲というジャンルは、
モーツァルトもベートーヴェンも残していません。
ピアノ三重奏、ピアノ四重奏は書いていますのでちょっと不思議です。
「弦楽四重奏団+ピアノ」という編成が"奇異"に映ったのでしょうか?


その代わり、ロマン派に傑作が多いですね。
シューベルト、シューマン、ブラームス、ドヴォルザーク、
フォーレ、フランク、ショスタコーヴィチ・・・。
(シューベルトの作品は「弦楽四重奏団+ピアノ」という編成ではなく、
第2ヴァイオリンの代わりにコントラバスが入っています)

しかも、フォーレを除いてみな1曲づつしか書いていません。
(と思います。初期の習作は除きます)


ベートーヴェン以降、弦楽四重奏曲は"内省的"というか
少し"堅い"ジャンルになりましたが、
ピアノ五重奏曲は親しみやすい?というか解り易い感じがします。



ピアノは"万能楽器"ですが、唯一「持続音を出せない」という
欠点があります(言うまでもなく弦楽器は持続音が大得意)。
ですから、一つの旋律を最初はピアノで、再現部では弦楽器で、
なんてやってくれますと結構うれしいです。
(非常に"ベタ"な手法かもしれませんが・・・)

こういう"ツボ"はドヴォルザークが外さないんですよね。

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