先日、私が所属するサークルで「勉強会」がありました。
といっても決して堅苦しいものではありませんが、内容は大変充実していました。
なにしろ"講師"の方は、
在京有名オーケストラに在籍される現役バリバリの一流演奏家ですから。
メンデルスゾーンの交響曲第4番イ長調『イタリア』の第1楽章を題材に、
ソナタ形式についての解説をして戴きました。
ソナタ形式は、長年クラシック音楽を聴いている者にとってはよく目にする馴染みのある言葉ですし
その意味するところも何となくわかっています(のつもりでした)。
ただそれは「まず提示部があって、次に展開部がきて、また提示部が再現する」
という程度のものですが・・・。
提示部で示された第一主題および第二主題を再現部で如何に展開させるかが作曲家の腕の見せ所であり、
そのためベートーヴェン以降、再現部がどんどん複雑になっていったこと、
マーラーやブルックナーなど再現部を拡大して曲が更に長大になっていったことなどなど
「なるほど。なるほど。」と頷くばかり。
逆にモーツァルトは非常に展開部が短いなど、普段あまり気に留めていない点も・・・。
メンデルスゾーンの作品はかなり古典派的な色合いが強いようです。
以下は私が覚えている(理解できた)範囲での解説?です。
(もっと細かい指摘も多数ありましたが・・・)
<提示部>
ヴァイオリンで生き生きとしたイ長調の第一主題が現れます。
第二主題は木管を中心に奏でられますが、第一主題と対比させるためにホ長調で現れます。
<展開部>
展開部では通常、提示部で登場した第一主題と第二主題を使用しますが、
ここでメンデルスゾーンにとっての誤算?が。
第一主題と第二主題は"表情"はかなり違いますが、音型が若干似ているため、
この二つでは展開させ辛いのです。
そこで第二主題に代えて新たな旋律を登場させ、この旋律でフーガを展開させます。
そこに第一主題の冒頭部分(断片)も顔を出し、最後ではフーガ主題と第一主題断片が連なります。
※第一主題断片も転調しながら繰り返し出てきますので「二重フーガになるのですか」
と質問しましたが、第一主題はあくまでも"断片"なので「二重フーガとまでは言えない」
とのことでした。なるほど、納得。
(二つの主題が"同時"に出てくるわけではないので、そもそも「二重」ではありませんが)
そしてオーボエのロングトーンに導かれて転調しながら再現部へと移行します。
(この転調を導くオーボエが絶妙とのこと)
<再現部>
イ長調の第一主題は同じですが、第二主題はここではホ長調ではなく同じイ長調で現れます。
曲を終わりへと導くためです。
そしてコーダでは第一主題と展開部のフーガ主題が組み合わされます。
講師の方は、曲に合わせて「第一主題」、「フーガ主題」など"字幕"が出るよう
ご自分で編集したDVDを用意されており、至れり尽くせりです。
メンデルスゾーンはマタイ受難曲をはじめバッハ大先生の作品の発掘に力を注ぎました。
(それがバッハ大先生の再評価へと繋がります)
もともとバロック、古典派など過去の偉大な作曲家に影響を受けていた人です。
私も昨年N響でメンデルスゾーンを聴いたとき、
それまではもっとロマン派的な作曲家という印象を持っていましたが
楽器編成も含めて、意外と古典派的だなあと感じました。
今回、改めてこのように解説してもらいその理由がわかりました。
メンデルスゾーンは幼少期から音楽の才能を発揮し夭折しましたが、
モーツァルトがいなければ、真っ先に「天才作曲家」として名前があがったのでは、
とおっしゃっていました。
正直、今まであまり好きではない作曲家でしたが、俄然興味が湧いてきました。
ソナタ形式の解説以外にも、
スメタナが交響詩『モルダウ』の楽譜に書いた注釈(情景描写)を字幕付きで聴いたり、
(川辺の風景が過ぎ去って行く様子を音量で表現している・・・などの説明も)
ベルリオーズの幻想交響曲の「イデー・フィクス(固定観念)」の変化や
第5楽章での情景描写を管弦楽でどう表現しているか等々、興味深い話ばかりです。
特にグレゴリオ聖歌の「怒りの日」を初めて引用したのが幻想交響曲らしく、
フランス人作曲家ならでは、ともおっしゃっていました。
(キリスト教が盛んな国では軽々しく引用などできなかったかも・・・)
大変参考になる、そしてなにより極めて贅沢な「勉強会」でした。
といっても決して堅苦しいものではありませんが、内容は大変充実していました。
なにしろ"講師"の方は、
在京有名オーケストラに在籍される現役バリバリの一流演奏家ですから。
メンデルスゾーンの交響曲第4番イ長調『イタリア』の第1楽章を題材に、
ソナタ形式についての解説をして戴きました。
ソナタ形式は、長年クラシック音楽を聴いている者にとってはよく目にする馴染みのある言葉ですし
その意味するところも何となくわかっています(のつもりでした)。
ただそれは「まず提示部があって、次に展開部がきて、また提示部が再現する」
という程度のものですが・・・。
提示部で示された第一主題および第二主題を再現部で如何に展開させるかが作曲家の腕の見せ所であり、
そのためベートーヴェン以降、再現部がどんどん複雑になっていったこと、
マーラーやブルックナーなど再現部を拡大して曲が更に長大になっていったことなどなど
「なるほど。なるほど。」と頷くばかり。
逆にモーツァルトは非常に展開部が短いなど、普段あまり気に留めていない点も・・・。
メンデルスゾーンの作品はかなり古典派的な色合いが強いようです。
以下は私が覚えている(理解できた)範囲での解説?です。
(もっと細かい指摘も多数ありましたが・・・)
<提示部>
ヴァイオリンで生き生きとしたイ長調の第一主題が現れます。
第二主題は木管を中心に奏でられますが、第一主題と対比させるためにホ長調で現れます。
<展開部>
展開部では通常、提示部で登場した第一主題と第二主題を使用しますが、
ここでメンデルスゾーンにとっての誤算?が。
第一主題と第二主題は"表情"はかなり違いますが、音型が若干似ているため、
この二つでは展開させ辛いのです。
そこで第二主題に代えて新たな旋律を登場させ、この旋律でフーガを展開させます。
そこに第一主題の冒頭部分(断片)も顔を出し、最後ではフーガ主題と第一主題断片が連なります。
※第一主題断片も転調しながら繰り返し出てきますので「二重フーガになるのですか」
と質問しましたが、第一主題はあくまでも"断片"なので「二重フーガとまでは言えない」
とのことでした。なるほど、納得。
(二つの主題が"同時"に出てくるわけではないので、そもそも「二重」ではありませんが)
そしてオーボエのロングトーンに導かれて転調しながら再現部へと移行します。
(この転調を導くオーボエが絶妙とのこと)
<再現部>
イ長調の第一主題は同じですが、第二主題はここではホ長調ではなく同じイ長調で現れます。
曲を終わりへと導くためです。
そしてコーダでは第一主題と展開部のフーガ主題が組み合わされます。
講師の方は、曲に合わせて「第一主題」、「フーガ主題」など"字幕"が出るよう
ご自分で編集したDVDを用意されており、至れり尽くせりです。
メンデルスゾーンはマタイ受難曲をはじめバッハ大先生の作品の発掘に力を注ぎました。
(それがバッハ大先生の再評価へと繋がります)
もともとバロック、古典派など過去の偉大な作曲家に影響を受けていた人です。
私も昨年N響でメンデルスゾーンを聴いたとき、
それまではもっとロマン派的な作曲家という印象を持っていましたが
楽器編成も含めて、意外と古典派的だなあと感じました。
今回、改めてこのように解説してもらいその理由がわかりました。
メンデルスゾーンは幼少期から音楽の才能を発揮し夭折しましたが、
モーツァルトがいなければ、真っ先に「天才作曲家」として名前があがったのでは、
とおっしゃっていました。
正直、今まであまり好きではない作曲家でしたが、俄然興味が湧いてきました。
ソナタ形式の解説以外にも、
スメタナが交響詩『モルダウ』の楽譜に書いた注釈(情景描写)を字幕付きで聴いたり、
(川辺の風景が過ぎ去って行く様子を音量で表現している・・・などの説明も)
ベルリオーズの幻想交響曲の「イデー・フィクス(固定観念)」の変化や
第5楽章での情景描写を管弦楽でどう表現しているか等々、興味深い話ばかりです。
特にグレゴリオ聖歌の「怒りの日」を初めて引用したのが幻想交響曲らしく、
フランス人作曲家ならでは、ともおっしゃっていました。
(キリスト教が盛んな国では軽々しく引用などできなかったかも・・・)
大変参考になる、そしてなにより極めて贅沢な「勉強会」でした。
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