Amazon primeでロシア映画『アトラクション 制圧』を観ました。
(以下、ネタバレを含みます)
監督:フョードル・ボンダルチューク
キャスト:
イリーナ・ストラシェンバウム
アレクサンドル・ペトロフ
オレグ・メンシコフ
製作年:2017年
製作国:ロシア
上映時間:117分
あらすじはというと
ロシアの首都モスクワに巨大な宇宙船が墜落。
モスクワの街をなぎ倒し多くの死傷者を出しながら着陸した。
初めて遭遇する地球外生命体に戸惑う人々。
ロシア政府は即座に戒厳令を敷き事態の鎮圧を図ろうとする。
軍の司令官の娘ユリアは、宇宙船とともにやってきた異星人の一人で、
科学技術者であるヘイコンと知り合い仲を深めるが、
一方で、異星人に対する排斥の機運が高まっていく・・・
(Filmarks映画情報より)
まあ、ロシアのSF映画ということで、正直それほど期待せずに観始めました。
(難しいことを考えずに、気楽に観られればいいや、程度)
冒頭、宇宙船が墜落するシーンなどの映像はかなり迫力があり、
見ごたえがあります(ここがクライマックスか?)。
異星人はパワードスーツのようなものを着ていますが、
"中身"は人間そっくりです(赤い血を流します)。
物語中盤の異星人と人間が協力しての"脱走劇"は、
SFというより普通のバディ物ですね(見た目"人"ですから)。
凄く大雑把にいうと、「E.T.」や「第9地区」と同様、
地球外生命体(エイリアン)が、図らずも(侵略の意図ではなく)地球に飛来し、
地球人の協力を得ながら、故郷に帰っていく・・・ものの一つです。
ジャンル映画にしては117分はちょっと長いですし、
余計なラブシーンとかをカットして、90分くらいにすれば、
そこそこ面白いB級映画になったのでは・・・・・・などと思いました。
観てすぐの間は・・・
ですが、ふと、全く別の解釈ができるのでは?と思い始めました。
"彼ら"(地球外生命体)にとって「水」がとても重要な役割を果たします。
「水」を自由に操り、「水」によって身体の傷などを治し、
宇宙船の修理も行います。
映画の後半で一瞬出てくる"彼ら"の惑星の映像(記憶?)は、
噴水みたいに水が宙を自在に流れ、緑が生い茂る"天国"のようです。
(SF的な説明は特になし。"生命の根源"を象徴するもの?)
また"彼ら"は永遠の命を得ており、死の恐怖がないことから
感情を持っていない(希薄?)ようですが、
異星人「ヘイコン」は、主人公の女性「ユリア」と出会い、
彼女に助けられたことから、徐々に感情を表し始めます。
地球離脱のため、宇宙船に戻る間際で、ユリアは命を落としますが、
ヘイコンは、自らの永遠の命を彼女に与え、自分は死んでいきます。
そしてユリアは「水」によって細胞が再生され、一命を取り留めます。
【「水」による癒しや生まれ変わり・・・永遠の命・・・】
非常に「キリスト教」的なモチーフではないでしょうか。
そう思ってみると、随所にキリスト教と響き合うような箇所が
あったことに気付かされます。
「水」を自在に操るというのは、海を割ったモーセを思い出させますし、
自らの命を犠牲にしてユリア(人類)を救う姿は、イエスと重なります。
「水」による"生まれ変わり"は、キリスト教の"洗礼"そのものですし。
軍から逃れるためにユリアの家に行き、そこで老犬の目を治すシーンがあります。
盲人を癒すエピソードは、イエスの起こした"奇跡"として聖書に何度も出てきます。
また、唯一でてくる食事のシーンで、ユリアとヘイコンが一緒にパンを食べたり、
ユリア(恐らくは、まだそのような行為を経験していない)が、
軍の司令官である父親と面会するために「妊娠した」と嘘をついたり。
(イエスと弟子たちがパンを分け合う最後の晩餐や、聖母マリアの受胎の隠喩?)
ユリアとヘイコン、そしてユリアの父(軍の司令官)が収容された
宇宙船内に響く(マザー・コンピュータ?の)声は、「全能の父」でしょうか。
そして最後。
自らの命を犠牲にした(死んだ)ヘイコンの身体が微かに動きます。
死からの「復活」を暗示しているようです。
"深読み"のし過ぎかもしれませんし、監督や脚本家も意図していない
勝手な"解釈"かもしれません。
無意識のうちに「キリスト教」的な価値観が反映されている
だけかもしれません。
でも、単なる「ロシアB級SF映画」だと思っていた作品が、
思わぬ「名作」に「生まれ変わった」気がします。
改めてじっくりと鑑賞してみたいです。
(以下、ネタバレを含みます)
監督:フョードル・ボンダルチューク
キャスト:
イリーナ・ストラシェンバウム
アレクサンドル・ペトロフ
オレグ・メンシコフ
製作年:2017年
製作国:ロシア
上映時間:117分
あらすじはというと
ロシアの首都モスクワに巨大な宇宙船が墜落。
モスクワの街をなぎ倒し多くの死傷者を出しながら着陸した。
初めて遭遇する地球外生命体に戸惑う人々。
ロシア政府は即座に戒厳令を敷き事態の鎮圧を図ろうとする。
軍の司令官の娘ユリアは、宇宙船とともにやってきた異星人の一人で、
科学技術者であるヘイコンと知り合い仲を深めるが、
一方で、異星人に対する排斥の機運が高まっていく・・・
(Filmarks映画情報より)
まあ、ロシアのSF映画ということで、正直それほど期待せずに観始めました。
(難しいことを考えずに、気楽に観られればいいや、程度)
冒頭、宇宙船が墜落するシーンなどの映像はかなり迫力があり、
見ごたえがあります(ここがクライマックスか?)。
異星人はパワードスーツのようなものを着ていますが、
"中身"は人間そっくりです(赤い血を流します)。
物語中盤の異星人と人間が協力しての"脱走劇"は、
SFというより普通のバディ物ですね(見た目"人"ですから)。
凄く大雑把にいうと、「E.T.」や「第9地区」と同様、
地球外生命体(エイリアン)が、図らずも(侵略の意図ではなく)地球に飛来し、
地球人の協力を得ながら、故郷に帰っていく・・・ものの一つです。
ジャンル映画にしては117分はちょっと長いですし、
余計なラブシーンとかをカットして、90分くらいにすれば、
そこそこ面白いB級映画になったのでは・・・・・・などと思いました。
観てすぐの間は・・・
ですが、ふと、全く別の解釈ができるのでは?と思い始めました。
"彼ら"(地球外生命体)にとって「水」がとても重要な役割を果たします。
「水」を自由に操り、「水」によって身体の傷などを治し、
宇宙船の修理も行います。
映画の後半で一瞬出てくる"彼ら"の惑星の映像(記憶?)は、
噴水みたいに水が宙を自在に流れ、緑が生い茂る"天国"のようです。
(SF的な説明は特になし。"生命の根源"を象徴するもの?)
また"彼ら"は永遠の命を得ており、死の恐怖がないことから
感情を持っていない(希薄?)ようですが、
異星人「ヘイコン」は、主人公の女性「ユリア」と出会い、
彼女に助けられたことから、徐々に感情を表し始めます。
地球離脱のため、宇宙船に戻る間際で、ユリアは命を落としますが、
ヘイコンは、自らの永遠の命を彼女に与え、自分は死んでいきます。
そしてユリアは「水」によって細胞が再生され、一命を取り留めます。
【「水」による癒しや生まれ変わり・・・永遠の命・・・】
非常に「キリスト教」的なモチーフではないでしょうか。
そう思ってみると、随所にキリスト教と響き合うような箇所が
あったことに気付かされます。
「水」を自在に操るというのは、海を割ったモーセを思い出させますし、
自らの命を犠牲にしてユリア(人類)を救う姿は、イエスと重なります。
「水」による"生まれ変わり"は、キリスト教の"洗礼"そのものですし。
軍から逃れるためにユリアの家に行き、そこで老犬の目を治すシーンがあります。
盲人を癒すエピソードは、イエスの起こした"奇跡"として聖書に何度も出てきます。
また、唯一でてくる食事のシーンで、ユリアとヘイコンが一緒にパンを食べたり、
ユリア(恐らくは、まだそのような行為を経験していない)が、
軍の司令官である父親と面会するために「妊娠した」と嘘をついたり。
(イエスと弟子たちがパンを分け合う最後の晩餐や、聖母マリアの受胎の隠喩?)
ユリアとヘイコン、そしてユリアの父(軍の司令官)が収容された
宇宙船内に響く(マザー・コンピュータ?の)声は、「全能の父」でしょうか。
そして最後。
自らの命を犠牲にした(死んだ)ヘイコンの身体が微かに動きます。
死からの「復活」を暗示しているようです。
"深読み"のし過ぎかもしれませんし、監督や脚本家も意図していない
勝手な"解釈"かもしれません。
無意識のうちに「キリスト教」的な価値観が反映されている
だけかもしれません。
でも、単なる「ロシアB級SF映画」だと思っていた作品が、
思わぬ「名作」に「生まれ変わった」気がします。
改めてじっくりと鑑賞してみたいです。
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