白い対象物を撮るのはむずかしいものです。
ずっと前,野草紙を題材にして児童書を書いたときのことを思い出しています。編集者との話し合いで,挿入写真も自分で撮影したものを載せることになりました。
さて,いろんな野草から紙をつくるのですが,だいたいは白っぽい地をしているので,それを写真で再現するのはたいそうむずかしいのです。今とちがい,フィルムの時代だったので,プリントしてみないと出来がわかりません。一つの被写体を何度も撮り直したことが懐かしい思い出です。
ハクモクレンの白さもそんな対象物です。これを青空のもとで撮るのはまだしも,曇り空のもとで撮るのはわたしにはずいぶんむずかしい話です。空の雲と花弁の白とを写し込むのはたいへんです。微妙な白みのちがいが表現できれば何とか目標達成,というわけです。
ハクモクレンを撮るのはなかなかたいへん。「あっ,薄日がわずかに射した!」。
「このままで電車を入れたいなあ」。ほんの一瞬射した薄日が消えかかる瞬間,電車が来ました。ほっ。
当たり前ながら,光となかよくしないと満足のゆく写真が得られません。光ときっちり付き合えるカメラマンがうらやましい!