方タクリがこんなに群生しているのは,種子がそれだけたくさんつくられ落ちているということです。結実に至るには昆虫が介在しているはずです。カタクリとギフチョウの組み合わせはよく知られていますが,この群生地にはギフチョウは棲息していません。では,どんな昆虫が訪れているのかという疑問が湧きます。その話題については過去に取り上げました。
今回も撮影しながら,そのことを気に掛けていました。はじめに見かけたのはヒラタアブ,ビロウドツリアブ,モンシロチョウでした。そのうち,ヒラタアブは蕊にとまったのを見かけ,カメラを向けようとした途端逃げられました。
その後ハナアブが花の奥に入るのを目撃。体長はせいぜい 1cmほどです。これは複数の花で観察できました。出て行くときに撮ろうと構えていたのですが,あまりにもすばしっこくて撮影できませんでした。
腹部だけではおもしろくないなあと思っていると……。
なんとか一枚だけ,撮れるチャンスがやって来ました。全身が確認できる程度には写っています。からだの一部が葯に触れています。
大群落を取り囲む観察小径から見た例です。ほんの一例に過ぎません。それだけにこの画像の貴重さが増します。